スーパーSF大戦

= =====アバンタイトル===== =


 3体のエヴァンゲリオンは、何処とも知れない白い闇の中お互いにしがみ着くようにして落下し続けていた。
 この空間では正常に時間が経過しないようで、エヴァの内蔵電源の消費は認められなかった。
 初号機専属パイロットのサードチルドレン・碇シンジは通信回線を開いた。

「ねぇ、アスカ」
「バカ、電源を消耗するから通信を切っておきなさいよ」
「それなら大丈夫だよ、さっきから見てたけど全然エネルギーが減ってないんだ。何故か分からないんだけど・・・。何しろ異次元の世界だからねぇ」
「だからでしょ、でもまぁ、丁度退屈してたし。支障がないなら良いわ。で、何か用?」
「・・・えっと、何って程の用は無いんだけど。」
「はっきりしないわねぇ。言っとくけどこれからどうなるかなんて全然分からないからね」
「アスカでも?」
「私でもよ。それより、最近シンクロ率急上昇中のシンジ様の方が何か分かるんじゃないの〜?」
「そんな、ボクに分かるはずないじゃないか」
「分かってるわよ、ばか」





「見て・・・」

 それまで沈黙を保っていた零号機専属パイロット、ファーストチルドレン・綾波レイがふたりの注意を喚起した。

「どうしたの綾波?」
「なによ優等生」
「あそこに何かあるわ」

 レイが画面上の一点を指し示すと、初号機、弐号機のスクリーンにも表示が現れた。
 全面が白で覆い尽くされたモニターの一点に、そこだけ黒く歪んだ空間が表示されていた。

「何かなあれ?」
「行くわよ、シンジ、ファースト」
「ええ?! 大丈夫?」
「アンタバカ!? そんなの行ってみなくちゃ分からないじゃない! このまま手をこまねいているよりは断然いいでしょ」
「それはそうだけど・・・」
「ファーストもいいわね?」
「いいわ」
「行くわよ」

 彼らが、そこへ移動しようと云う意識を思い浮かべたところ、エヴァが近付いているのか、特異点が近付いているのか分からなかったが、3機は黒点の中に消えていった。



第2話−かわりつつあるこの世−



−西暦2005年−


 川崎市沖に存在するGアイランドシティは宇宙開発公団の存在する、全周12kmの人工島である。
 宇宙開発公団とは科学技術庁管轄下の特殊法人である。
 だが、Gアイランドの地下深くには地上最強の勇者たちが存在する。
 宇宙開発公団総帥を務める大河幸太郎が長官を兼任する日本国立地球防衛軍、ガッツィ・ジオイド・ガード通称GGGがそれである。
 GGGは西暦2003年に地球に飛来したEI−01により地球外知性体の侵略から地球を防衛するために設立された。
 それに用いられる技術は地球外文明の産物であるギャレオンから与えられた、緑の星の技術であるGSライドなど、オーバーテクノロジーを駆使して成り立っている。
 さて、先日、新宿にある都庁ビルの眼前で行われたEI−02との交戦でデビューを果たしたガオガイガーであったが、各ガオーマシンの合体プログラムの不備や、ガオガイガーとフュージョンする勇者・獅子王ガイのサイボーグ体制御機構の不安定化により不眠不休の対応が行われている正にその時に、世界を揺るがす事件は発生したのであった!

 GGGベイタワー基地のエリアY、サイボーグガイ専用の治療室には獅子王ガイが専用メンテナンスベッドに横たわり各身体機能の調整を行っていた。
 ベッドからは沢山のコードやチューブ類がガイの体に伸びていた。
 彼の横にはウサギの耳のように髪をカラーで立たせた女性が、彼のことを心配しながら見つめていた。
 彼女の名は卯都木 命、2年前のEI−01の地球侵入事件によって天涯孤独の身となり、若干20歳でGGGの機動部隊担当のオペレーターとして活躍する女性である。
 ガイはゆっくりと目を開けると、命に目を向け、弱々しく声を掛けた。

「どうしたんだ、命。今日はずいぶんと静かじゃないか」
「ううん。ごめんねガイ、私のオペレーションがもっと上手だったらこんな事にならなかったのかも知れないのに」
「なにを言うかと思えば。命のせいじゃないさ。 ・・・身体機能の大部分を機械に置き換えたサイボーグ第1号なんだから、いろいろと不具合も出てくるさ。それも親父が対策を取っているし。気にするなよ」
「でも、・・・」
「オイオイ、・・・命がしずんでると、こっちまで沈んできちまう。いつものように明るい命を見せてくれよ」
「・・・ウン! そうね、ゴメン、ガイ。アハ」



 彼女が顔に笑みを浮かべると、ガイも釣られたように笑いを浮かべた。だが、すぐに考え事を始めてしまい心配そうな表情になってしまった。

「どうしたのガイ? 」
「いや、EI−02と戦ったときに現れた緑のハネを持つ少年・・・。彼は一体 ・・・」
「長官は諜報部を使って調査を始めたそうだけど、・・・ 大丈夫かなぁ」
「どうして、何が心配なんだ? 」
「だって、あの子が私たちの味方だとして、あの位の男の子が突然あの黒服軍団に拉致されたら、いくらなんでも私たちのことを嫌いになったりしないかしら、なんて思ったの」

 ガイはその光景を想像してみた。そしてそれは充分にあり得ることだと彼女の説に納得した。

「そうだな ・・・。命の方から長官に進言しといてくれないか? 俺たち勇者のやることではないってさ」
「うん、そうする。 じゃあ、私はメインオーダールームに行くわ。そろそろスワンがしびれを切らすかも知れないし」
「ああ、じゃあな」
「また来るね、ガイ! 」

 彼女はガイに向かって手を振りながら通路に消えていった。


「ふふ、命は昔から変わらないな。あの時から、」

 そう呟くと獅子王ガイの意識は眠りの中に落ちていった。



 Gアイランドにあるカモメ第1小学校3年生の天海 護は同級生で幼なじみでもある初野 華、同級生の牛山 末男、数納 鷹泰、狐森レイコの5人で下校していた。

「ねぇマモルくん」
「なに、ハナちゃん」
「あのね、この前の時(EI−02迎撃戦)、急にいなくなってたけど、どこに行ってたの? 」
「え、えっと・・・」

 護はそれを聞いて動揺を隠せなかった。
 まさか、緑の羽根を生やして、謎の生機融合体を浄解していただのと言えるわけがないからだ。
 まさか、自分にそんな能力があるなどと夢にも思ってなかったし、今でも信じられない。

<でも、あの時はそうしなきゃならない気がしたんだ。>

 護が口ごもっていると牛山末男ことウッシーがからかい半分で言った。

「マモルゥ。トイレにでも行ってたんじゃないのか〜? エンガチョ〜!」
「ちっ、違うよー! 」
「ホントかぁ? 」
「ほんとだってばぁ」
「それにしてもあのロボットって凄かったよねー」

 今度は自慢げな顔をした男の子、数納 鷹泰が護に言った。

「あの胸にライオンが付いたロボットの事?」
「そう、ボクはバッチリビデオに撮ったけどね」 フフン
「なあにアンタ、いつもそんなの持ち歩いてんの? ビンボくさ〜いって感じ」

 如何にも金持ちです、と自慢げな数納少年に狐森レイコがお嬢様モードで突っ込みを入れた。
 すると、あっさりと数納少年は涙を流してしまった。
 しかし、狐森レイコはそんな数納を無視するかのように空想モードに突入した。

「ああ〜、それにしてもまたあのチョベリカチョロンさまに会えないかしら」
「チョベリカチョロン?」
「ほら、あの金色の超ベリーカッチョイイロンゲ様のことよ、ああ〜、チョベリカチョロンさまー」
「あはは」
「俺、あのロボットのこと知ってるぜ! 俺の兄ちゃんが働いてるスリージーのスーパーロボット、ガオガイガーってんだぜ」
「ガオガイガー?」
「ああ、俺の兄ちゃんが整備してんだぜ。ウチの兄ちゃんってスゲエだろ!」
「ウワッハー! ウッシーの兄ちゃんてスゴイや。ね、すごいねハナちゃん」
「え、う、うん、そうねマモルくん」

 何がどう凄いのか良く分からなかった華は戸惑ったように愛想笑いを浮かべた。
 5人はそうやってはしゃぎながら下校していたのだが、途中の海べりの道まで来たとき不意に護は立ち止まった。
 海辺から見える景色に護は妙な違和感を感じていた。
 なんだろう、またあのゾンダーがあらわれたのかな?
 護がそうして対岸の方をボーっと見ているとウッシーが大きな声で呼びかけた。

「どうしたー! マモルーっ! 先行っちゃうぞー」
「すぐ行くーっ!」

 少し離れてしまった友達に追いつこうと駆け出した瞬間、足がもつれた。
 Gアイランドが、いや、世界全体が大きく揺れたのである。

 護が海の方を見ていた頃、GGG本部のエリアY、3式空中研究所内にある研究施設の一角を陣取っている空間湾曲率測定器から、異常なデーターが検出され始めていた。
 獅子王麗雄博士率いる研究者集団は、それらのデーターの解析を始めた。
 異常を知らせる警報は宇宙開発公団総帥を務める大河幸太郎にも届いていた。
 彼は机の一角に<非常事態>の知らせを認めると、室内にいた秘書の桜(妙齢の美女)に声を掛けた。

「あ〜、桜くん。済まないが珈琲を煎れてきてはくれないかね。ブラックで、」

 書類の整理をしていた桜さんは大輪の薔薇のような笑みを浮かべて頷いた。

「かしこまりました、大河総裁。少々お待ち下さい」
「ああ、君の煎れてくれた珈琲は格別だからね」

「まぁ。それは腕を振るい甲斐がありますわ」

 大河総裁は嫌味を感じさせない笑いを浮かべて、桜を送り出した。

「さて、」

 大河総裁は机の引き出しの奥に隠されているボタンを押し込んだ。
 それと同時に椅子周辺の床が沈み込み、大河長官ごと地下のGGG本部へと直滑降していった。

 数分後。

「総裁。お待たせいたしました。 あら? 」

 また、大河総裁がいなくなっていた。ここ最近、こんな事が多い。

 まぁ、忙しい人だから仕方がありませんわ。


 GGGの司令塔、メインオーダールームにGGG長官大河幸太郎が降りてきた。
 いつの間にかアルマーニのスーツから妖しさ爆発だいのGGG長官服に着替えて、エレベーターから姿を現した。
 メインオーダールームのメインオペーレーターの全員がコンソールに向かって、鬼気迫る勢いで仕事をこなしていた。

「お早うございます、長官!」

 大河長官に気付いた卯都木 命オペーレーターが挨拶をし、それで長官の到着を知ったオペーレーター達全員が、長官に向かって挨拶を行った。

「おはよう諸君。獅子王博士、一体何が起こったのですか? 」

 大河長官はすぐ目の前の席に座っている老齢のはげ上がった男、GGGの統括開発責任者を任じる獅子王麗雄博士に訊いた。


「おお、長官。それがボクにもよく分からんのだよ、ただ、世界的な規模で空間の揺らぎが発生している。下手をすると今日が地球最後の日となるのかも知れん」
「ええ! それは・・・」

 さすがの大河長官も動揺を隠しきれなかった。だが、そこで怯まないのが勇者の勇者たる由縁である。

「博士、それは地球外知性体の侵略行動と考えて良いのですか? 」
「ふぅ〜む。いや、それは考えられんでしょう。例のギャレオンから受け取った情報からすると、彼らの目的は地球人類そのものに対する<福祉>な訳ですからな。こちらにとってはとことん迷惑な話だが、」
「だが、手をこまねいている訳にもいかん。牛山君、ガオガイガーの整備状態はどうかね? 」

 長官の呼びかけに振り返った男、彼は牛山家の長男で牛山一男、22歳牡牛座。
 植物栽培が生き甲斐の、優しそうな瞳をした大男だ。

「はい、ステルスガオー、ライナーガオー、ドリルガオーらのガオーマシンの整備は完全に行われています!」
「うむ、ガイの調子はどうですか? 博士」
「それが・・・」
「俺なら、この通りいつでも出撃 OKです長官!」
「ガイ・・」
「ガイ!」

 声がした方に振り向いてみると、金色のアルティメットアーマーを着けた獅子王ガイが扉に身を預けて立っていた。
 だがしかし、その様子はかなり辛いように見受けられる。

「いけるのだな、勇者よ」
「もちろんです。こんなことで挫けていたらサイボーグになった甲斐がないという物です。」
「ガイ! 無茶しないで、貴方の体はまだ完全じゃないのよ」
「心配するな、俺はサイボーグだ! 」
「・・・・・・だから心配なんじゃない・・・・・・」

「よし、それでこそ勇者だ! GGG機動部隊! 首都圏防衛任務に、出動せよ!」
「「「了解!」」」

 ガイは身を翻すと扉の向こうへ姿を消した。

「3段飛行甲板空母発進準備!」
「了解! 各ガオーマシンの発進準備を急げ!」
「関係各省庁への連絡を急げ、総理大臣への直通回線を開いてくれたまえ」

 メインオーダールームの喧噪はますます増して行くばかりであった。

「3段飛行甲板空母発進します」
「よし、承認」

 メインオーダールームの存在するヘキサゴンから3段飛行甲板空母が切り離され、地下水路を進んでいった。

 地面が大きく揺れて、護は足をもつれさせてしまった。

「あいたー! でっかい地震だなぁ」
「マモルくん大丈夫だった?」
「うん、だいじょうぶだよハナちゃん」
「しっかりしろよなマモル」
「へへ。え?」
「どうしたんだマモル?」

 護は対岸の川崎地区の上空に、歪みが出来ているのを見ていた。

「あれ、何かな?」
「蜃気楼じゃない? ボク、初めて見るよ」
「アンタ莫迦ねぇ、東京湾に蜃気楼なんか出る訳ないじゃないの」
「うるるーっ」

 その時、護が声を上げた。

「見て!」
「え?」

 全員が護の指差す方向に注目した。
 すると、歪みの中から3つの巨大な人型が現れた。
 それらは凶暴な鬼のような雰囲気を持っていた。
 ひとつ目は一つ眼の「青鬼」のようであり、ふたつ目は巨大なひとつ角を持つ紫色の「鬼」、みっつ目は四つの眼を持つ「赤鬼」であった。

 それらは、突然の出来事に茫然としていたようだが、お互いの背中を合わせて警戒し始めた。

「オレ、兄ちゃんに電話してくる!」
「ボ、ボクも行くよ」
「じゃあ、ボクはここに残って見張ってるよ、ハナちゃんはみんなと一緒に行って」
「え、マモルくん、行かないの?」
「うん。ウッシー、ハナちゃん達を頼むよ」
「分かった。行こうぜみんな」
「怖くない、怖くない」
「ほら、グズグズしてないで急ぎなさい」

 マモルひとりを残して、4人は学校の方へと戻っていった。

 突然現れた巨大ロボットに向かって3段甲板空母が向かっていた。
 先行していたサイボーグガイは巨大ロボットの間近まで来ていた。
 化学プラントが密集するこの地区で、巨大ロボットはそれぞれがナイフのような武器を構えている。

ギャレオーン!


 ガイが右手を頭上に構えて叫ぶと、大気を割ってメカ・ライオンが飛来した。

フュージョン! 」



 そう叫ぶとガイは大地を蹴り、空中へと大跳躍し、メカ・ライオンの口中へと姿を消した。
 メカ・ライオンはガイを呑み込むと、変形を始め、巨大なメガノイド「ガイガー」へと変形した。
獅子王ガイは史上最強のサイボーグである。
彼がメカ・ライオンのギャレオンとフュージョンする事で、強力な戦闘用メガノイド=ガイガーへと変形することが可能なのだ!



「とうっ! この勇者ガイが来たからには、これ以上の狼藉は許さないぞ! てりゃあああああ!!!」

 ガイガーは「赤鬼」に向かって跳び蹴りを浴びせたが、何かに弾かれてしまった。

「なんだ? バリアーか! ガイガーではパワー不足だな。こうなったら!」

 メインオーダールームのディスプレイにガイガーの戦闘の様子が映し出されていた。
 ガイガーの攻撃が弾かれるたびに室内に失望のため息が漏れていた。

「みんな、我らの勇者を信じるんだ。」
「長官!」
「何かね! 卯都木くん!」
「ガイよりファイナルフュージョンの要請が入っています。」
「よし、ファイナルフュージョン・・・

承認っっっっ!!!!


「了解! ファイナルフュージョン・・・」

 卯都木命はキーボードを素早く叩き、ファイナルフュージョン・プログラム起動画面を呼び出した。

プログラム、ドラーイヴ!!



 ファイナルフュージョンはGGGの最高重要機密でもあるため、発動はコンピューター・プログラムのみでは行われず、卯都木隊員のコンソール上に、アクリルカバーにて封印してある起動キーを叩かないとプログラムがドライヴされない。
 しかし女性の腕力では、割れるように作ってあるとは言え本気を出さないとキーを押すことが出来ない。
 その為、彼女は日夜の特訓を欠かした事はない。
 彼女は右腕を大きく振りかぶると、日夜鍛えた腕力でアクリルカバーを叩き割り、その中にあったキーを力任せに押し込んだ。
 それによりGGG本部より、ガイガー及び、ライナーガオー、ステルスガオー、ドリルガオーにファイナルフュージョン管制プログラムVer.3.2156bが送信され、プログラムに従いガイガーを中心に合体プロセスが始まった。
 まず、ガイガーから電波攪乱物質が混入された緑色の霧が辺りに噴霧され、敵の合体プロセスの妨害を防ぐ煙幕となった。
 そしてガイガーの腕は背中側に折りたたまれ、ライナーガオーがガイガー胸部に侵入し肩部となった。
 次に脚部が折りたたまれ、ふたつに分離したドリルガオーが合体し脚部となった。
 最後にステルスガオーがガイガーの背中にドッキングし、エンジンユニットが肩部と接触、分離して腕となった。

ガオ・ガイ・ガー!!!



獅子王ガイとギャレオン、ガオーマシンの最終合体により史上最強の戦闘用ドロイドとなったガオガイガーは史上最強の勇者王となったのである。



 ガオガイガーは右手を「赤鬼」に突きつけた。

「地球外知性体の地球侵略は許さん! 行くぞ!

 ブロウクンマグナム!



 ガオガイガーの右腕が猛スピードで回転を始め、「赤鬼」目がけ打ち出された。
 しかし「赤鬼」はブロウクンマグナムを8角形のバリアーで受け止めると、弾き返した。

「ブロウクンマグナムが効かない!? ならば!」

 ガオガイガーは左腕を掲げながら「赤鬼」に向かって走り出した。

プロテクトシェード!!



 ガオガイガーが「赤鬼」に接近すると「赤鬼」もバリアーを展開した。
 プロテクトシェードとバリアーが接触すると、放電を起こしながら互いに浸食しあって行く。

「よし、いけるぞ! 」

 2機はお互いに拮抗した状態でいたが、それまで静観していた2機の「鬼」が、仲間の危機に動き出した。
 紫の鬼はガオガイガーの背中に回ると、ガオガイガーの背中、ステルスガオーの部分を掴み「赤鬼」から引き離し始めた。
 そしてそのままジャイアントスイングに入ると、ガオガイガーを海に向かって大きく投げ飛ばした。

「くそう。やるじゃないか。だが、まだだ!」

 そう言うとガオガイガーは立ち上がり、自分を投げ飛ばした「紫の鬼」に向き直った。
 ガオガイガーは右手を高速回転させながら「鬼」に向かって走り始めた。
 それを見た「紫の鬼」は腰から日本刀のようなプログレッシブナイフを取り外すと、水平に構えた。
 「紫の鬼」はガオガイガーのパンチをバリアーでしのぎながら攻撃の機会を伺っていたが、急に動かなくなった。
 それは他の2機も同様であった。

「いいぞ!! チャンスだ! 

ヘル・アンド・ヘヴン!

 ギルギルガンゴーグヴォー!!!



 破壊の右手、守りの左手が目映く輝いた。
 ガオガイガーはその両手を組み合わせ、ふたつの力を融合させた。
 これこそガオガイガーの最大かつ最強の破壊力と深刻なフィードバックを持つ必殺技、ヘル・アンド・ヘヴンである!!


 そのままの姿勢で助走を着けながら「鬼」に向かうガオガイガーであったが、それが炸裂する寸前「鬼」とガオガイガーの間に割り込んだ者がいた。

「待って! これはゾンダーじゃない!!」
「君はあの時の緑の羽根を持つ少年」

 立ち止まったガオガイガーとエヴァンゲリオン初号機の間に全身を緑色に輝かせた天海 護が浮いていた。 ガオガイガーだったらここで終わるんだよな

 ガイは組んでいた腕を離し、必殺技ヘル・アンド・ヘヴンを解除した。

「君、一体どういう事なんだ」
「これはゾンダーじゃありません!」

 マモルはガオガイガーに向かって呼びかけた。

「ゾンダー? つまりEI−01の仲間じゃないって事か?」
「EI−01って何か知らないですけど、この前の敵とは違う。敵じゃないんです!」
「敵じゃないって? しかし、この凶悪なマスクはどう見ても敵としか思えないが?」
『アンタ、バカ!!? エヴァンゲリオンは人類を救う事の出来る唯一の存在なのよ。敵を威嚇するにも強おもての方が良いに決まってるじゃん!』



 エヴァンゲリオン弐号機から声が響いてくると、うずくまっていたエヴァ各機の背中が開き、エントリープラグが露出してきた。
 そしてその中から全身に張り付くようなパイロットスーツを着た気弱そうな少年と強気な少女、そして線の細い少女が姿を現した。

 これが、これから永く続くことになる時空混乱現象の始まりの事件であった。



予告編へ

第3話へ

スーパーSF大戦の頁へ


掲示板へ