ゾーンダイクが本格的に動く以前、唯一南極大陸へ到達した南極観測船「そうや」
彼女と、彼女に乗り込んだ観測隊員達は、南極という極限環境からその後の日本連合に衝撃的な変化をもたらす様々な物品や観測データを持ち帰ったのである。
また、彼女は意外な場所に意外なモノを運んできたのである。

 それは、・・・

奇跡の船が運んだモノ 「そうや」物語・番外編2「ザ・サムライ・ウォー」




南極観測の船旅、それは非常に長いものである
復路は、実際に採取した資料やデータの分類、解析等で、非常に多忙な2ヶ月を過ごした観測隊員たちであったが、
往路(仮設基地建設作業を含め約3ヶ月間の航海となる)は、一部の人員をのぞいて(索敵班・警備班)実に暇で暢気な旅路であった・・・
と書くのは、あまりに不適切である

その状況は「ヒマ」としか表しようが無いモノであった


しかし、幸いにしてこのことは、出発前にある程度予測されていた
そのため観測隊準備委員会は、様々な世界から転移してきたとある民間企業(最終的には、日本連合内でも有数の統合メディア会社に成長するレンタルビデオチェーン店)に依頼を行い、
現存するほぼ全ての映画作品を借り受けDVDに焼き込んだモノが用意された (なお、このときのデータ検索範囲は、上は、国会図書館から末は廃業寸前の映画館に溜め込まれていたフィルムや倒産したセルビデオ店の放出品まで、もちろんながら同業他社からも動画データを集めた)
ちなみに、観測隊に対する交換条件は、映画モニタとして鑑賞後のレポート提出、内容の確認・分類を行うことであった


持ち込まれた作品には、有名監督による超大作から、C級、Z級と分類される映画まであった、
また、原作が同じで監督やキャストが違うモノ(中には、話自体が変わってきてるモノもあった)や、無名の監督や役者による秀作もあった

それらの作品は、「そうや」の船内ホールで上映されることになるのであるが、
実際、題名とその粗筋程度の情報を知らせなければ人が集まらない訳で、
航行中の「そうや」には、映画班が組織され、案内ビラの印刷配布から、ホール内での観客誘導、感想の受付とそれを元にしたレポート作成まで全ての事を行った

また、この映画班は、「そうや」内で映倫と同じ様な役目も果たした
先行して上映予定作品を見ているのであるから当然と言えば当然なのであるが・・・
その映画班が性的、暴力的な表現の多用、以外の理由で成人指定を付けた映画があった

その作品とは・・・



「ザ・サムライ・ウォー」




とある城の中、襖を開け放ち1人の老臣が殿の元へ駆けつける

「佐藤殿、大変でござる」
「あの、憎き足利尊氏が、徳川家康を打ち倒し、とうとうヌルハチの秘宝を手にしたようです」

「なに、奴は、ムラマサの剣を守る家系の筈」
「3秘宝の2つを手に入れたと云うことは・・・」
「まさか、皇帝のお命を!!」

「そのまさか、でござる」
「ただ、皇帝の実子は、そのまま生かされているようです」

「なるほど、そうなれば新皇帝を即位させ、この国を支配するつもりだな」
「最後の秘宝、コケザルの壺を守るモノとして看過できぬ」
「皆のモノ出陣じゃ〜!!」

「御意!!」

背中の幟をはためかせ、勢いよく出陣していく騎馬武者たちのシーン


場面転換

何処かの原野、遠景に富士山が見えている
丘を踊り越えてくる騎馬武者たち・・・

突如草むらから現れる敵軍の指揮官
「放て!!」
号令とともに火を噴く多数の銃
(このシーン、ウェスタンで騎兵隊に撃ち倒されるネイティブの方々の様にバタバタと倒される騎馬武者たち・・・いかにも頭の悪い造りである)

「不覚!!」

「伏兵じゃ、転進、転進!!」

かなり数を減らし城に逃げ込む騎馬武者たち


場面転換


籠城中の城の中、軍議の最中である

「正義は我らにあり!!断固。徹底抗戦である」

「おう!!不忠モノに正義の刃を!!」


皆、満身創痍ながらもかなり盛り上がっている

「殿!!御下知を!!」

「うむ、この3週間皆よく戦った・・・だが、それも明日で最後だ」
「もはや、糧秣は尽き、矢弾も心許ない」
「明朝、城の西門より打って出る、妻子のあるモノは残り場内の領民を連れ北門より落ち延びよ」
「城の全てを使って良い、兵たちに最後の休息を十分に摂らせよ、以上じゃ」

「御意!!」

平伏した後足早に退出していく家臣たち

そして最後に殿様と、一人の老臣が残った

「領主加藤よ、近こうよれ」

「はは〜」

「おぬしを見込んで頼みがある」
「我が一族が皇帝より預かる秘宝コケザルの壺を持ち我が息子太郎と共に逃げ延びよ」
「おぬしの領地、忍者の里で有れば秘宝を守ることも容易いであろう」
「息子は、可能で有れば鍛えて、世の正義を示す光にしてほしい」

「御意!!」

領主の覚悟に涙しながら退出する老臣
そのまま彼は、大名佐藤の息子太郎を連れ、秘宝を抱えて城内から消えた

場面転換


ナレーション 「大名佐藤が城で壮絶な討ち死にを果たしてから7年の歳月が経った」
場面は、何処かの山奥に有る大きな屋敷に変わる

「太郎よ、この7年よく耐えた、これでおまえは1人前の忍者だ」

「はい、父上」

「ふむ、修行も終えたことであるし一つ昔話をしてやろう」

遠景になる、二人のいる土手の下で数十人の黒装束が組み手をやっている
他の場所では、突き、蹴り等の体術や、刀、槍等の訓練している

「・・・と言うわけで儂は、おまえの本当の父ではない」
「今日から本当の父の名を継ぎ佐藤と名乗りなさい」

「わかりました、父上、イヤ・・・領主加藤殿」

「私は、皇帝を足利尊氏より救い出し、一族に掛けられた秘宝強奪の嫌疑を晴らして参ります」

「良く言った、それでこそ大名佐藤の息子だ」
「このニンジャの里の全ての権限を銘刀スニッカーズーニと共に佐藤殿に預ける、自分の手足として好きなように使って下され」

ばっ、と手を振り上げる老臣加藤、つられて振り向いた佐藤が見たモノは、自分に向かって平伏している大量の黒装束軍団であった

場面転換


変装して足利尊氏の城塞に潜入する佐藤、付いてきた者に「ここからは、1人で行く、決して邪魔だてせぬように」と指示を出す

「御意」

古代中国のように城塞の内側に城下町がある、但し戦争による荒廃のためか?かなり寂れている
道行く人々の顔は、病人の様に痩せこけ着ているモノもくたびれている

何があったのか聞くと・・・寒波が来て収穫が少なかった所へ重税が課せられ皆困ってるとのこと
特に、佐藤の旧領地では厳しい取り立てのため餓死者が出たらしい

静かに怒る佐藤・・・

場面転換


いつの間にか黒装束になり城の天井裏へ忍び込んでいる佐藤

天井から音もなく舞い降り、皇帝の部屋に忍び込む

「何やつ!!」
「ここを皇帝の居室と知っての狼藉かっ!!」

怒鳴りつけた者は、着替え中の少女であった<
そう、皇帝は実は女帝であった

何かを感じ取り平伏する佐藤、懐より例の秘宝を取り出し、

「突然の参内申し訳ございません」
「臣は、佐藤、秘宝コケザルの壺をまもりしモノです」

「ほう、その秘宝、逆賊たる佐藤という者に奪われたと聞いておったが?」

「さにあらず、元は足利尊氏が他の秘宝を手にし、御身を自由に操って権力を握ろうと画策しただけのこと」
「疑いを晴らすため、この秘宝を御身にお返しいたします」

「あい、わかった」
「じゃが、こが無くば、身の証がたたんであろう、予が今一度この秘宝を下賜する」

「はは〜、ありがたき幸せ」

「佐藤と言ったな、一つ予が問いに答えよ」

「御意!!」

「民草は、いま悪政に苦しんでいると聞く・・・そは、誠か?」

「御意」
「但し、足利尊氏が私利私欲のために行っていることゆえ、御身には責任の無いことでござる」

「ふむ、では今一つ」
「最近、奴めが予を見る目が怪しげになってきた、予とて自然の理は、知っておる」
「何処かに予を解放しえる者はおらぬか?」

衣擦れの音

顔を少し上げる佐藤、その視線の先には素足があった
視線をあわせ、すっと近づく二人・・・
−しばらく間−
(主題歌らしき歌がかかり、バックに日本的な風景が流れる・・・この辺の造りはアメリカ映画っぽい)
歌が終わり、着衣の乱れ(襟元)を直しつつ話しかける皇帝、身につけていた首飾りを外し、佐藤へ差し出しつつ
「佐藤よ、そなたにこの護符を下げ渡す、以後我が唯一の家臣として忠義に勤めよ」

あわてて平服し、そのまま飛び下がる佐藤

「では、御免」

場面転換


足利尊氏が政務を行っている部屋
足利尊氏は、両脇に美女を侍らしたまま家臣の報告を聞いてにやけながら頷いていた
報告中の家臣がパタッと倒れ、足利尊氏の前に突如現れる佐藤

コケザルの壺を掲げながら宣言する
「我は大名佐藤!!」
「皇帝の名を借り悪業をする足利尊氏よ、武士の心得を持つなら潔く切腹せよ!!」

「ほほ〜、盗人が何かを吠えておるぞ、皆の者笑ってやれ」

扇子を上げると共に笑いはじめる家臣団

「は〜はっはっはっ!!」

扇子を降ろすと共にぴたっと笑いも止まる

「盗人よ何か言うことは有るか?」

「盗人ではない、この壺は先程恩賜を受けたモノである」

「ときに佐藤よ、その首飾りはどこから手に入れた?」

その問いには答えず、ただニヤリと微笑む佐藤

護符と佐藤の表情が持つ意味に気づき激怒する足利尊氏
「むむっ!!皆のモノ出あえ、出あえ、不埒モノを討ち取れぃ」

ざっと討ち手に囲まれる佐藤

すっと懐に手を入れ何かを床面に叩き付ける佐藤、爆煙が部屋に立ちこめる
煙が晴れると、先程まで囲んでいた討ち手の全員が刀を折られ気絶していた

場面転換


足利尊氏の居城を見下ろす小高い丘、その上に立つ佐藤
無言で手を振り上げ城を指し、そのまま丘を掛け下って行く

その後ろに黒装束が続々と現れついて行く
最初黒い固まりだったモノは、いつしか黒い奔流に・・・

何人かの黒装束が堀を飛び越え壁を登り進入、吹き矢で門番を倒して
内側から城門を開け放つ、城門からなだれ込む黒装束の群

各所で警備兵と戦闘し侵攻する黒装束

先程の丘の上からの視線で城を見ると真っ白だった城の外壁が下の方からジワジワっと黒くなっていく

城内の各所を制圧していく黒装束

しばらくして、各部隊の隊長と思しき忍者が数名、佐藤の元に報告に来る

「敵将足利尊氏は、天守閣に立て籠もった由にございます」
「残念ながら皇帝の身も同じくにて候」

「うむ、ご苦労であった、この場は、主らに任すゆえ、疲弊した領民達を救え」

「御意!!」

さっと散っていく隊長達
佐藤は、それを見送ってから背中に結わえたスニッカーズニを抜き天守閣に一人で突撃をかける

雑魚守備兵を蹴散らし、様々な罠を退けつつ進む佐藤

だいぶ天守閣の中を上がってきた佐藤、襖を開け放ち突入したところは畳敷きの大広間であっ
た、 そこには、目の前に屈強そうな武者が4人待ちかまえていた、
彼らは皆、長い槍を持ち舞うように回転しながら攻撃を仕掛けてきた

包囲される佐藤、武者が槍を突きだし、何かに刺さる鈍い音が・・・

一瞬後、垂直に立ち上がった畳1枚に4本の槍が突き刺さっておりその上辺に立っている佐藤
武者達の喉元には手裏剣が刺さっており、一斉にバタッと倒れる

そこからは、襖や障子を開けるごとに斬りかかってくる侍を切り倒し、
時々通りかかる大広間では、多少トリッキーな動きをする武者(2刀流であったり、火を噴いたり、最後の方は奇人変人・・・ノリは、ステージクリア式のアクションRPG)を倒しつつ進撃する佐藤

そして、最終決戦

対峙する場所は、武器庫、各種兵器が壁に掛かっている

部屋の奥にあった椅子から立ち上がり、ムラマサの剣を抜き叫ぶ足利尊氏

「こわっぱめ、とうとうここまで来おったか」
「しかし、その幸運もここまで、このムラマサの錆にしてくれるわ」

それに対して沈黙を守る佐藤、

ザッと間合いが詰まって斬り合うこと数合
ガキッといやな音が上がり砕け散る佐藤のスニッカーズニ

「がははははは、そのようなナマクラでこの儂を倒す気か?片腹痛いわ」

手持ちの手裏剣等を投げつつ壁際に逃れる佐藤
それらを剣で打ち落としつつ近づく足利尊氏

「効かぬ、効かぬぞ〜」

とうとう、手持ちの武器を打ち尽くし窓縁へ追い込まれる佐藤、絶体絶命の危機
ヒラリと身を翻し窓から城外へ飛び降り、庭へ逃れる(このシーン、カンフー映画のごとくスローモーションで多角撮り)

それを追いつつ叫ぶ足利尊氏

「儂の手でとどめを刺されることを誇りを思え」

器用に天守閣の屋根の各段を飛び降り庭に降りてくる足利尊氏

迎え撃つ佐藤は、徒手空拳

そこへ、天守閣の最上階から皇帝の声が

「佐藤よ、我が剣を取れ!!」

そう云って投げ出された一振りの剣、僅かに届かず庭の泉に落ちる

「がはははは、天にも見放された貴様は、もはや敵ではないわ」

迫り来る足利尊氏、
ふと、何かを感じて振り返る佐藤、そこには光を放ち泉から浮かび上がる剣があった

その剣を泉より引き抜き、怒りを載せて斬りかかる佐藤
しかしその斬撃は、軽くいなされてしまう

その時、剣から声がした「・・・主よ、怒りは何も生み出さぬぞ・・・」
それでも果敢に挑みかかる佐藤、怒りにまかせて攻め、とうとう壁際まで足利尊氏を追いつめる、
必殺の一撃を放った佐藤、しかしそれは、急に姿が揺らいだ足利尊氏にかわされ壁に大きな傷をつけただけであった

そして後ろから足利尊氏の声が聞こえた「がはははは、我が秘術空間転移である」
「この妖術を儂に使わせたのは、貴様が初めてじゃ、誉めてつかわす」
「褒美に儂の斬撃をくれてやる、さあ早くわが剣の錆と散れ」

そこからは、攻めれば空間転移で逃げられ、間合いを取ると急にかき消え違う方向から攻め寄せられ防戦一方となる

数度斬り合った後逃げられ、佐藤は苦しげにつぶやく「・・・く、奴は何処だ・・・」 それに答える剣「・・・主よ眼で見るな、心で視よ・・・心の中の大きな力、気を信じるのだ・・・」
それを聞き、眼を閉じ懐から出した布で目隠しをする佐藤

一瞬後、何もない場所に向かってダッシュし剣を一閃、

すると佐藤の背後からムラマサの剣を持っていた手を斬り飛ばされた足利尊氏が出現する
足利尊氏に言い放つ佐藤「峰打ちでござる」
それに答える足利尊氏「見事・・・」その後、その場にうずくまる

剣からまた声がする「・・・さあ、早く儂を使ってあの剣を叩き折れ・・・」
「・・・さすれば、あの男にかかっていた呪いも解けるであろう・・・」

その言葉に従いはじき飛ばされたムラマサの剣の元へ行く佐藤
カキンッと高い音がして折れるムラマサの剣、
そして「・・・これで、我が役目も終わりじゃ、主よ世話をかけた、さらばじゃ・・・」
そう云い残して佐藤の手の中の剣も折れる

それと時を同じくして先程まで地面に倒れ伏していた足利尊氏が腕を押さえつつ起きあがる

「剣により悪の道へ引き込まれたのは、儂の不徳の致すところ」
「佐藤殿、この場は儂の切腹をもって新たな世の始まりとしてくれぬか」
「悪政、悪業の責めは、全て儂に載せてくれ、その代わり我が家臣どもの事をくれぐれも宜しく頼み申す」

「判りもうした」
「領民には、悪政を為した皇帝とその配下は、落城のおり落命したと伝えよう」

「では、名誉ある切腹を許してくれるのか」

「偉大なる武者よ、それが武人の情けというモノであろう」

「ありがたい、では、まいる」

切腹する足利尊氏、その場から去る佐藤・・・

場面転換


すっかり修復された城、その中で婚礼が行われている
もちろんながら主役は、佐藤と元皇帝の少女

佐藤は、その場で皆に伝える
「姫は、唯一皇帝家の血を伝える方である」
「我は、これより皇帝家の血に混じりこの国の王として治世を為す、皆の者忠義・忠勤に励め」

「ハハ〜、御意!!」

平伏する文武百官、す〜っとカメラが引いていき遠景になりナレーションが始まる

「こうして大名佐藤は、新しい王となりジャパン国を治めその能力を遺憾なく発揮し、後の世まで名君として慕われた」

・・・以下スタッフロール・・・(平和な世というイメージを出すためか、城をバックにした田圃での田植え画像がエンディングテーマと共に流れる)



「・・・・・・・」
「・・・・・」

映画班の全員がスタッフロールが終わり、ブルーバックに不許複製等の但し書きが出てきてもぼーっとスクリーンを見続けていた
「なんて映画なんだろうか」

「ん?たしか・・・サムライ・ウォーだったっか?」

「いや、題名の事を話してるのではない、内容についてだよ」

「う〜む、でも凄じい内容だったな」

「ああ、視ているだけで頭が悪くなりそうなくらいにな

「まあ、突っ込み所が多くてメモを取るのが大変だったが・・・ヒロイックファンタジーとしては、ちゃんと造り込んであって良かったんじゃないかな?」
「随所に他作品のパロディが入っていたようだし」

「突っ込みどころか?例えばどんなのがあった?」

「そうだね、まずは、最初の騎馬武者達が背負ってる幟の文字かな?」
「漢字の構造が判ってないらしく偏と旁がグチャグチャになってたのが混じっていたが、まあ許容されるんじゃないのか?」

「混じっていた・・・君にはそう見えたかもしれないけど、あの字を組み合わせるとどうなるか?そこまで考えたか」

「いいえ、そこまでは・・・」

「じゃあ、教えよう、それらはおおよそ次の3パターン、1:出玉炸裂、2:新台入替、3:開店十時」

「まるで、パチンコ屋の幟だね・・・ってひょっとして」

「ああ、カラーリングやセットになってる絵を見る限り間違いなかろう」

「他の突っ込み所は?」

「大名の子を鍛えて立派な忍者に・・・ってのも無茶な話ですね」

「ゲームなら東洋の戦士がロードになったりニンジャになったりできるのが有るが実際には、そんなわけないよな」

「だって、忍者は消耗品、大名、領主は世襲制の世の中だしね」
「・・・・・・・」
「・・・・・」
「・・・」


討議内容です読まなくても話自体に変化は有りません・・・がやっぱり読んでみるよって、奇特な方はこの絵をクリックして下さい


「・・・」
「・・・・・」
「・・・・・・・」
「ところで、スタッフロールの後で気が付いたんだが、この映画は、史実を元にしており一部フィクションを混ぜ話を演出していますと但し書きがあったが、これを撮った監督は本気だったのかな?」

「監督は、どうやら日本贔屓のアメリカ人のようですね、でも、贔屓ってだけで理解をせずに撮っていたようですけど」

「まあ、キツイ映画、とは云っても冗談がキツイってだけですし・・・」

「でもな・・・最後まで観て気づいたんだけど、この大名佐藤、どうやら名字が大名で名前が佐藤らしい」

「・・・・・」
「・・・・」

結果、テスト上映終了後約20時間をかけた会議の末、この映画は日本の歴史について正しく理解をし、その上で冗談が判る者しか閲覧すべきではないとの結論に落ち着いた

つまり文化的R指定、「中学生以下の児童は、保護者の指導の元に観ること」と但し書きが付いた初めての映画となった・・・

ただ、世の流れというのはよくわからないモノで

「そうや」帰還後、件のレンタルビデオチェーン店では、「観ると頭が悪くなる映画(R指定)」の帯が付いているにも関わらず常に返却待ち状態が続き、
更には「サムライ・ウォー」を発端として、逆輸入モノのB級ニンジャムービーブームに火がついた
そのブームに乗って製作された映画の中には、わざわざ中華共同体でロケを行った作品まであった
また、ディープなマニアの間では、どの作品が正当な続編であるか?と言う話題がネット上で話題になり、ニンジャ・ワールドの歴史年表なんてモノが多数創られ、それを元に続編の撮影が行われる等という状況まで発生した
(ちなみに、一番出来が良いとされた歴史年表は、後&板版といわれるモノでその発生は、高知の・・・)

また、続編のなかで一番売れたのは、大名佐藤の配下、忍者・鈴木が迷宮探索し、奪われた家宝の茶器を取り戻すと同時に、迷宮の守護者が所持する宝物(魔よけの首飾り)を奪取する活躍を描いた「ニンジャ・イン・ザ・ダーク」という作品で、非常に味のある特撮が使われていた事で有名となった

ちなみに、この作品は後に特撮界の女王と渾名される国枝千里の事実上のデビュー作となるのであるが、それはまた別のお話・・・






 <アイングラッドの感想・・・というか何というか。とにかく長すぎ>
 江東学園中等部3年B組
 ここに長らく出番の無かったチルドレン達は在籍していた。
 担任の先生は変わらずインターポールからの出向である春麗で、進級の際のクラス替えで若干のクラスメイトが変わった他は去年と大差無かった。
 チルドレン専任護衛官である事を隠して接近している霧島マナことキリヤマ マナも相変わらずシンジにベタついてアスカとレイをヤキモキさせているし、その他にもアプローチを行い始めた人物がいた。
 それは新しいクラスメイトとして転入して来た、まるでコーカソイドの様な白い肌を持つ真田出維(でい)である。
 一見気弱そうな雰囲気を持つ出維だが外見に似合わず、なかなか積極的な性格をしていた。
 そんな彼女だが、クラスメイトのシンジが誰かを連想させるのか鉄壁を誇るアスカとレイのディフェンスを潜り抜けてアプローチする始末である。無邪気なところが多いので、単に付き合いが良いだけなのか本気なのかどうかは分からなかったが。
 勿論そんな彼女も普通の境遇ではなく、このクラスに入ってくるからにはそれなりの理由が有った。
 それはともかく、チルドレン達もそれまでの不幸な人生を吹き飛ばすような和気あいあいとした生活を続けていたのだが・・・その事件は唐突にアスカに襲いかかったのである!

 中間テスト・・・選択科目・歴史その@ 46点・・・赤点

 さまざまな世界が入り乱れた新世紀に入って既に歴史と言う分野は比較歴史学という高度な学問として取り扱われる難解な物になっていたが、多くの世界のメインの筋道は大きく分けて歴史@首都東京系、歴史A首都京都系、歴史Bその他と分けられており、高等学校以下の学校ではその地域に応じた歴史を教える事が通常の方法となっていた。幾ら正統なものが無いとはいえ、歴史はその国に住む者達のアイデンティティーを形作る重要な要素である。
 学校教育としてはないがしろにする訳には行かない物であった。
 教育界に於けるそこら辺の事情は割愛するとして、赤点を取った事実はいたくアスカのプライドを傷つけたのであった。
 努力の天才であるアスカはその事実に発奮した。何しろ恵まれた環境に生活し始めてシンジの成績がグングン伸びていたと言う喜ばしい事実があるにしろ、アスカがシンジをからかうネタとしていつも成績の事を取り上げていたのだ。たとえ一項目とはいえシンジに劣る項目が有る事は許されないのである。シンジの成長を喜ぶ内心はともかくとして。
 赤点が記されたテストを返却された当初は「生まれも育ちもドイツのアタシが東洋の片田舎の日本の歴史なんか知る訳ないじゃないの!」と息巻いていたのだが生来の負けず嫌いは伊達ではない。
 彼女は早速、先日発掘発見された高速通信網によって急速に便利になったインターネットを使い「歴史」に付いての調査を始めた。
 本来なら学校に付属する図書館で調べるのがベストであるが、自分の努力を知り合いに知られるのは彼女のプライドが許さなかったのだろう・・・それが不幸の始まりだとも知らずに。

「フッフ〜ン♪ このアタシに掛かれば日本の歴史を調べるのなんかお茶の子サイサイよ! ブラウザーの検索機能を使えば簡単よね・・・ほら出た! えーっと何々? <我々「後&板(ゴーアンドバン)」が調査したところによると次の順番で指定したビデオを見ればこの混沌とした歴史に正しい筋道を付け、正しい知識を身につけられる事が可能であると断言できる>ほ〜ら御覧なさい。これでシンジよりアタシのほうが歴史に詳しい事を見せつけられるって物よね。えーと、<正しい知識のためにその1、まず最初に見るべきなのは当然の事ながら「サムライ・ウォー」である。>ふーん、確か・・・サムラーイがチョンマゲを付けてた時代よね・・・次に・・・」  アスカは生真面目にメモを取り、それら作品のリストを作り始めた。

 こうして彼女は深みにはまって行った。
 アスカがどうやってR指定の映画を借りることが出来たのかは・・・まぁ、学生の世界にも色々と情報を持つ人間がいるものだという事を思い出して貰いたい。親が「あの子とは遊んじゃいけません!」って嫌がる友人とかね。
 そして、それら一連の作品を観ている内にその破天荒な魅力を持つムービーにより世間一般の方々と同様にアスカもこの珍奇な一連の作品群の虜になってしまった。
 ただし、それらの人々とアスカが一線を画すのは他の人々があくまで洒落として受け止めていたのに対し、彼女が大真面目にそれらを本当の歴史だと認識してしまった所だろう。
 だからR指定になったと言うのに・・・。

 土曜日の夕方から日曜の夜遅くまでマラソンで一気にそれらの映画を観終わったアスカはすっかり自信を取り戻し、寝不足気味でハイになったまま月曜に意気揚揚出掛け、その日の一時間目にあった社会科の授業の時、クラスメイトの前で得意げに自分の知識を披露して下さりました。
 結果は・・・言わぬが華、かな?


「言わぬが華、かな? じゃなぁああいっっ!!」 グゴゴゴゴォォオオオオ!!!
 あっお久し振り。
「ふ・・・ふっふっふっふっふ。そう言えばここん所、ずぅっっとあたし達のこと放っといて他の人達ばかり活躍させてたわね・・・しかも、久し振りに出したと思えば・・・こんな・・・こんな役を振るなんて・・・アンタ、命は惜しくないようねぇええ!!」
 いえ、命は惜しいですが・・・
 ところで!
「何よ、言い残したい事が有るなら言ってみなさい。言わせてあげる」
 はは、感謝の極み。
 <この作品は後に特撮界の女王と渾名される国枝千里の事実上のデビュー作となるのであるが>って言うと・・・ケムラーの目! とかやると「あの・・・ちょっといいですか? ケムラーの目はもっと中央に寄っているんですよ」とか図解付きで説明してくれる、あの春風高校光画部出身のあの子でしょうか。
 うーむ、奥が深い。

「バスターァァッ! 葬ォムランッッ!!」

  カキーン

 一人でブルーインパルスゥゥゥ!   キラーン!
「はっ、しまった。越後の主砲で滅びないあいつがこの位で・・・っっド畜生ォォ」

 あ、それと小さな一読者さん、後藤さんと板垣さんを勝手に使用してしまい申し訳有りません。ではではーっ

「そこかぁっ! 待てぇい 」




日本連合 連合議会


 岡田さんのホームページにある掲示板「日本連合 連合議会」への直リンクです。
 感想、ネタ等を書きこんでください。
 提供/岡田”雪達磨”さん。ありがとうございます。


スーパーSF大戦のページへ


SSを読んだ方は下の「送信」ボタンを押してください。
何話が読まれているかがわかります。
その他の項目は必ずしも必要ではありません。
でも、書いてもらえると嬉しいです。






 ・  お名前  ・ 

 ・メールアドレス・ 




★この話はどうでしたか?

好き 嫌い 普通


★評価は?

特上 良い 普通 悪い