4月20日朝7時のニュース。
 日本中の家庭はテレビ画面に象を見ていた。アフリカ象ともインド象とも違う小型の象はナウマン象と解説されていた。広葉樹林の原生林の中でナウマン象はカメラを威嚇するように鼻を振り上げていた。
 映像が切り替わる。10mほど上からのアングルで撮られている動物は、上あごから突き出している巨大な牙が特徴のトラに似た猛獣、剣歯虎である。
 また映像が切り替わる。今度は機動隊の姿が映ってはいたが、彼らが見守る先には大型犬、いや狼の群れがこちらを見て立ちすくんでいた。これも先の2種と同じく絶滅しているはずの日本狼であった。
 今度は上空からの映像に切り替わる。広葉樹林の原生林の中で先ほどの剣歯虎が映っていた。アングルが引いていくうちに剣歯虎と対峙している自衛隊の迷彩色をまとったロボットが映し出された。さらに引いていくと画面の半分に現代の東京が映し出されていった。画面の隅にはナウマン象と日本狼の群れがまだ小さく写っていた。その映像は、北の丸公園の日本武道館や皇宮警察本部、宮内庁そして皇居を含む江戸城のお堀の内側の今の姿である。この自衛隊偵察ヘリからのライブ映像が、日本中の人々に世界が一夜で生まれ変わったことを知らしめた有名な中継であった。
 時空融合から一夜明けた市ヶ谷の防衛庁では、加治総理大臣が記者会見を開いていた。現在の皇居からの中継を背景に、自分を初めて見るであろう日本中の全国民に対して社会情勢が一夜で変わったことを伝えていた。
 
 

加治首相の議

  

予告編


 GGGが時空融合の直後に現在の地球の状況を世界中に説明したことで日本政府直属の秘密軍事組織としての顔を表に出したことになる。もっともこの世界に出現した日本政府は、極々一部を除いて誰もそんな事に無関心であった。聞いたことの無いGGGの放送より見知らぬ総理大臣のほうが関心ごとの中心になっていた。

 そんな永田町に加治隆介は飛び込んでいったのであった。

 それと同じ頃、霞ヶ関と永田町の混乱をよそに日本各地では新しい世界に対する動きが芽生え始めていた。例えば・・・

 岡山県、柾木神社本社。
「なあ、柾木さん。あんたが政治と係わり合いを持ちたくないことは十分判っておる」
「それなら何で私に議員になれという話を持ってくるんじゃ」
 

 東京都東雲市。
 水原 誠は新進気鋭の時空間物理工学者である。時空融合が発生したとき彼も時空間制御技術の一端を持ってはいたが、その膨大な時空騒乱を制御できるものではなく、彼が出来たことは融合の原因となった時空騒乱の中心を特定できるようなデータを収集することと、エルハザードとの細い繋がりを維持することだけであった。
 彼の妻イフリータはエルハザード出身である。1万年もの長き眠りから目覚め水原誠との喜びに満ちた再開の後、ルーンや奈々美、シェーラ=シェーラといったエルハザードの並み居るライバルの祝福を受けて水原イフリータとして今に至っている。

 日本連合王国首都、京都。
 ここの連合王国政府も混乱していた
「陛下。今の我々では日本全国を把握できません。残念ながら江戸に出現した政府に政権を渡すしかございません」
「あ、そうですか。長い間ご苦労様でした」

 九州、福岡市。第一龍騎兵連隊博多駐屯地。
松浦中尉。うち・・・貴方の事を・・・好いとうおます
ひ、響君。自分ば大切にせなあかんとよ。もう一度胸に手ば当てて考えてみんしゃい
「なに寝ぼけているんですか。緊急召集です。早く起きてください
 

 混乱する日本各地をよそに進行してくる謎の飛行物体。真っ先に出動した在日米軍が壊滅する中、永田町の政治家や霞ヶ関は責任を押し付けあう。
「目の前で戦闘が起こっているんですよ。今必要なのは中央政府を再建することより戦乱に巻き込まれた国民を如何に救うかでしょう。ぐずぐずしていたら何も出来ないまま日本が全滅します」
 数々の危機を経験した加治の一括の前に反論できるものはいなかった。
 

スーパーSF大戦 外伝 加治隆介の議 第1話 Bパート 鋭意構想中。
書き上げるまでしばらくお待ちください。
m(__)m。