加治首相の議
第一話 訪問 Bパート
GGGが時空融合の直後に現在の地球の状況を世界中に説明したことで日本政府直属の秘密軍事組織としての顔を表に出したことになる。もっともこの世界に出現した日本政府は、極々一部を除いて誰もそんな事に無関心であった。聞いたことの無いGGGの放送より見知らぬ総理大臣のほうが関心ごとの中心になっていた。
そんな永田町に加治隆介は飛び込んでいったのであった。
それと同じ頃、霞ヶ関と永田町の混乱をよそに日本各地では新しい世界に対する動きが芽生え始めていた。例えば・・・
岡山県、柾木神社本社。
「なあ、柾木さん。あんたが政治と係わり合いを持ちたくないことは十分判っておる」
「それなら何で私に議員になれという話を持ってくるんじゃ」
東京都東雲市。
水原
誠は新進気鋭の時空間物理工学者である。時空融合が発生したとき彼も時空間制御技術の一端を持ってはいたが、その膨大な時空騒乱を制御できるものではなく、彼が出来たことは融合の原因となった時空騒乱の中心を特定できるようなデータを収集することと、エルハザードとの細い繋がりを維持することだけであった。
彼の妻イフリータはエルハザード出身である。1万年もの長き眠りから目覚め、水原誠との喜びに満ちた再開の後、ルーンや奈々美、シェーラ=シェーラといったエルハザードの並み居るライバルの祝福を受けて水原イフリータとして今に至っている。
日本連合王国首都、京都。
ここの連合王国政府も混乱していた
「陛下。今の我々では日本全国を把握できません。残念ながら江戸に出現した政府に政権を渡すしかございません」
「あ、そうですか。長い間ご苦労様でした」
九州、福岡市。第一龍騎兵連隊博多駐屯地。
『松浦中尉。うち・・・貴方の事を・・・好いとうおます』
『ひ、響君。自分ば大切にせなあかんとよ。もう一度胸に手ば当てて考えてみんしゃい』
「なに寝ぼけているんですか。緊急召集です。早く起きてください」
混乱する日本各地をよそに進行してくる謎の飛行物体。真っ先に出動した在日米軍が壊滅する中、永田町の政治家や霞ヶ関は責任を押し付けあう。
「目の前で戦闘が起こっているんですよ。今必要なのは中央政府を再建することより戦乱に巻き込まれた国民を如何に救うかでしょう。ぐずぐずしていたら何も出来ないまま日本が全滅します」
数々の危機を経験した加治の一括の前に反論できるものはいなかった。