作者:OkadaYukidarumaさん



 夏休みも残り少なくなった8月のある日、三浦半島は Cafe’ Alpha の店先に空を見上げながらのんびり過ごしている中学生3人と、彼らのペットたち総勢9匹がいた。
 その中の男の子が、横浜の方向からこちらに向かってくるそれを見つけた。
「あっ、飛行船だ」
 少年はまだ少し不自由な体を動かし、指を空に向けた。そして少年の声に、たちまち残り22の眼が男の子の指さす先を見た。
 少年が見つけた飛行船はリフティングボディなのか滑らかな流線型をしており、上半分が太陽電池で黒く光っていた。そしてピンク色の機体下半分に大きく「I
Hart-mini.jpg FuwaFuwa」と書かれている。大きな二つのプロペラにより、飛行船にしては速いスピードで Cafe’ Alpha から少し外れた空を通過して行った。
「きれいな飛行船ね。でもキャビンの割りに機体が小さいわね」
 赤みがかった髪の女の子が、気になった点を漏らした。
「どういう事?」
 白銀の髪の色白い女の子が質問した。
「飛行船って言うのは大気との浮力で宙に浮かぶの。あの飛行船、ヘリウムを使っているならキャビンと比較して、あの3倍は大きな機体にならなければ浮かぶ事ができないわ。もっともエマーンみたいに慣性制御使ってるんなら話は別だけど」
 そんな子供達の会話を知る事もなく、その飛行船は相模灘上空を遠ざかっていった。





スーパーSF大戦 外伝

大西洋調査艦隊物語

インターミッション

『ふわふわ』




 実際の所その飛行船は子供達の予想を裏切り、慣性制御どころか重力制御すらも使っていない、大気との浮力で浮く至極平凡な原理で飛行してるのである。平凡でないのはその機体に使われている素材であった。
 この飛行船はその素材を製造販売する会社が試作し、今では宣伝広告として、そして動く社長室として使われている。
 その名前を「ふわふわ1」と言う。

「泉さんってば、相変わらず上機嫌ですね」
 「社長室」と名付けられた「ふわふわ1」のキャビンの一室で、壁に掛けられた液晶モニターに映る黒髪の女の子がこの部屋の主に話を振った。これに応えた者は、眼鏡を掛けて白衣をまとう、うら若き乙女であった。
「だってね、霧子ちゃん。ツハミ共和国を守りたいカチメロ大統領の頼みは果たせた。それに連合政府への『ふわふわ』売り込みは上手く行ったから、当分売れ残る心配は無くなった。つまり我が『ふわふわ社』も安泰って事よ」
「確かに連合政府への売り込みは成功しましたね。あちらも『ふわふわ』をどうしても手に入れたい事を隠しもしませんでしたし」
 この部屋にいる最後の一人、彼女の部下である同年代の男性が会話に加わってきた。
 この3人の内の生身の二人、浅倉 泉と保科 昶は正真正銘の日本人で年の頃は22歳と21歳。この若さで話に出た『ふわふわ社』の社長と専務である。
 彼らは仕事の都合でツハミ共和国に居住していたが、つき合いの深いその国の大統領から日本連合との交渉を頼まれた為に、着慣れない全権大使という肩書きを持って帰国してきたのであった。もっともそんな肩書きが無くても、彼女が『ふわふわ』を売り込むために帰国するのは時間の問題であったのだが。
 けれど、もし「ふわふわ」が外交カードに入っていなければ、それ以外に取り柄のないツハミ共和国の全権大使と連合政府首脳との会談は後回しにされていたかもしれない。既にこの時期、新世紀元年7〜8月の日本には、アジア・太平洋諸国からの外交官が大勢来日していた。流石にアメリカ・エマーン・中華共同体に匹敵する大国は他に無く、そのほとんどは小国からの外交官であるが、見かけは小さくとも取引に値するきらりと光る技術や資源を少なくとも一つは持つ国々が多かったからである。
 しかし、そんな国々からの全権大使が集まった中でもかなり早く加治首相ら連合政府首脳陣と浅倉 泉らツハミ共和国全権交渉団の国交交渉が行われた。民間企業でありながら高度百キロの高空に軌道カタパルトを建造した、その会社の社長が本業であるという全権大使に、連合政府でも並々成らない関心を持っていたのである。




「浅倉さん。ツハミ共和国にある軌道カタパルトは、貴方の会社が建造したんですか」
 首相府の最上階、都内を一望できる会議室に設けられた国交交渉の場で加治首相が泉に確認を取った。
「ええ、建造に2年かけた夢でした。けれど、今は静止軌道までで宇宙への道を閉ざされていますし、衛星打ち上げの依頼も途絶えて、今では巨大なモニュメントと化しています」
 彼女の軌道カタパルトも例外無く相剋界に宇宙への道を阻まれている。その上、最近衛星軌道上に展開し始めたインビットが時々ちょっかいを掛けてくるために、残念ながらその価値は半減していた。
「でもすばらしい技術力です。重力制御や慣性制御を使わずに、あれだけ巨大な建築物を、しかもたった2年で築きあげるとは」
 加治は太平洋調査艦隊司令長官、古賀海将からの報告書にあった写真付き資料を見ながら感嘆した。その写真は一見シュールレアリズムに則った芸術作品に見える。
 青空の下、日光降り注ぐ、椰子の木が生える海岸・・・
 珊瑚礁が造る、透き通った青い湾内に浮かぶカヌー・・・
 ありふれた熱帯の島の光景である。
 その上空に浮かぶ、空の半分を占めるような勢いの、巨大なアイスクリームのコーンに似た物体が無ければ。

 日本をはるか遠く離れた南の海、赤道直下は日付変更線の東側に存在するツハミ共和国。
 その国の名物は、昔はポリネシア文化と綺麗な青空そして透き通った海だけであったが、今は成層圏をはるかに超えた中間圏、宇宙の底と呼んでも良い高度百キロに建造された全長千百キロの軌道カタパルトである。
 カタパルトから発射した宇宙船が地球を一周しても同じカタパルトに戻るために、そして自転を利用して速度を稼ぐためにも赤道直下で有る事が条件にあがった。そして年間を通じて風が穏やかな地方が良い。その結果、赤道収束帯が候補地になった。その中で一千キロの軌道カタパルトが全て入る国土を持つ、と言っても島嶼が点在する領海が殆どであるが、ツハミ共和国が建設の地に選ばれたのである。
 加治首相が見ていた写真に写る巨大なコーンの正体は、軌道カタパルトを支える橋脚の土台の一つであった。それは直径三.八キロ、高さ十四キロの倒立した円錐に同じ直径の半球が被さり、赤道部分を基準にして高度五十キロの空中に定位している。
 泉はこれを夢だと言っていたが、ツハミ共和国に暮らす人々の中には、この空中に制止する巨大な物体を悪夢に見る者が少なからずいた程、巨大な物体が大地に触れることなく空中に浮かんでいるのである。
 そして宙に浮くコーンの上に高度百キロに達するタワーが築き上げられた。更にこれと同じ物を二十個用意して六十キロ間隔で一直線に配置し、その間に吊り橋を架ける事で高度百キロ全長千百キロの宇宙に架ける橋、軌道カタパルトが完成したのであった。
 この人類最大の建造物は脅威の新素材『ふわふわ』で建築されている。その『ふわふわ』を発明し、それを製造販売する『ふわふわ社』の社長となり、そして軌道カタパルトを完成させたのが彼女、浅倉 泉であり、今回はツハミ共和国全権大使として交渉の場にいる。

「加治首相、『ふわふわ』を使えば100mそこそこの鉄橋を造るのとほぼ同じ苦労ですわ」
 泉はいかにも簡単な事のように、されど『ふわふわ』の凄さを念押しするように、笑みを浮かべて応えた。
 これは「ふわふわ1万倍の法則」と言われている。
 宙に浮く驚異の新素材、『ふわふわ』。その正体は立方晶窒化炭素のフラーレンである。硬度はダイヤモンドと肩を並べられるほど硬く、しかも結晶化時に中身が真空となった小さなシャボン玉のような構造になったおかげで、それの比重は空気よりも軽くなった。これを原材料として造った建設資材は、従来のそれよりはるかに軽く丈夫である。もちろん空気より軽い事に変化ない。
 ついでに工場自体も「ふわふわ」で建築すれば空中に浮かんでいられるために、何時でも好きな場所に移転できる。実際、ふわふわ工場初の海外移転時には、稼働中の工場が丸ごとヘリコプターに引っ張って貰って移転した事もあった。
 そして時空融合直前のふわふわ社は主要工場や研究施設を、軌道エレベータを建築するためにツハミ共和国に置いていた。
「・・・そして我が社には、軌道カタパルト建設の他にも『ふわふわ』製造プラント建設で『ふわふわ建築』のノウハウが積まれています。ツハミ共和国に在る現状の工場だけからでも3ヶ月の時間がいただければ、日産100万立方メートルのプラントが建設できますわ」
「すばらしい!浅倉さん、この「ふわふわ」を日本連合で使ってみたいものです」

 その加治の一言が「ふわふわ」の売り込みに泉が成功した証拠である。
 軽さも然る事ながら短期間で必要な量の建築資材を容易に確保できる「ふわふわ」は、資材不足がネックとなり滞り始めていた日本連合の各種プロジェクトを支える救世主となって導入されていった。
 もっとも点の圧力に弱い「ふわふわ」の特性により、兵器の装甲などどうしても無理な応用分野がある事はあるが、それでもふわふわの応用は幅広く、数年後の産業構造はふわふわを中心に大きく変化する事になる。




 そして時系列は、ふわふわ1の社長室に戻る。

「そう、思ったよりも簡単に売り込めたわね。『ふわふわ』の特許も残り15年間は保証してくれたし」
 泉が譲らなかったのはこの一点である。時空融合に巻き込まれなければ、あと十五年は「ふわふわ」のあらゆる特許が残る筈であった。だがここで主張しなければ特許が無効になり、高校の部活で出来る程度の「ふわふわ」製造方法が広まってしまい、ふわふわ社が倒産してしまう事も考えられるのである。
 しかし幸いな事に「ふわふわ」と同様の素材を製造している世界は他に出現していなかった。よって「ふわふわ」の製造は浅倉 泉とふわふわ社の固有技術と認定され、「ふわふわ」の全特許は残り15年の保証がなされた。
「でもその分、慣れない外交の方が10倍も大変だったわ」
 泉は交渉の困難な方を思い出し、疲れた表情になっていた。

 泉と昶、それにツハミ共和国のカチメロ大統領の3人が完成した軌道カタパルトの試乗を終えた時、時空融合に巻き込まれてツハミ共和国と軌道カタパルトごとこの世界に出現した。
 ふわふわ社は日本国内の関係者を失ったためにそのままツハミ共和国の企業として居続ける事になったが、会社を存続させるためには「ふわふわ」の輸出先を確保しなければならない。
 また、日本からの国際ラジオ放送や太平洋調査艦隊との交流で現在の世界に潜む危険情報が知れ渡るに連れて、新生日本との友好を模索していたカチメロ大統領から、『ふわふわ』と軌道カタパルトの提供を条件に安全保障に協力してくれるように日本連合政府と交渉してくれと浅倉 泉は頼まれたのである。具体的には航空機材料・建築素材として有望な「ふわふわ」を提供する代わりに、ゾーンダイク軍等を対象とした哨戒活動に物資・ノウハウの両面から協力して貰いたいという事である。
 結論を言うと、交渉は上手く行った。
 ただし、現時点で日本連合が提供できる物はまだ少なかった。海上防衛計画「七つの海」プロジェクトは起動したばかりで、他国に提供できるノウハウはまだ積まれていないのである。
 それでも長期的視野に立てば、ツハミ共和国とは友好的な協力関係を結ぶ必要がある。そこでSOSUS国際協力”南太平洋”プロジェクトにツハミ共和国だけでなく、太平洋上に出現した各国が参加する事になった。ツハミ共和国も海上拠点メガフロートや成層圏プラットフォームの建設にふわふわを提供し、それに載せる対潜探知機の提供と運用に日本側が協力する事になった。

 さて泉のぼやきを聞いた昶は笑顔で言った。
「僕は楽しかったですけどね、泉さん」
「そりゃぁ、昶はこんな交渉事や陰謀が好きだから楽しかったでしょ」
 言葉と裏腹に泉の口調には辛辣な物が含まれていた。実の所、昶は交渉事の苦手な泉に代わり、ふわふわ社の渉外担当としてロビー活動や環境団体との交渉を受け持っていた。それが高じて泉に言わせれば反対派を切り崩す「陰謀を企む」様な事をもやっている。「交渉事」にはそんな陰謀のための情報収集まで含まれているのであるが、そういう事が嫌いな泉は昶が「陰謀」で火遊びするのを再三注意している。
「泉さんも相変わらずきついですねけど、あの人達は僕の事もお見通しのようでしたよ。ツハミ共和国でちょっと調べれば、僕が『陰謀家』として評判だってのがすぐに解る事なんでしょうけど」
「昶さんの感は正しいと思います」
 モニターに映る黒髪の女の子が割り込んできた。
「人物評と言えば、あの人達も私の事をツハミ共和国でスターフォッグを調べて知った。と告白して下さいました。私だけでなく昶さんや泉さんもかなり調べられたと思います」
 昶や霧子の感想は正しい。交渉相手の経歴人物評価を集めるのは情報収集の基本である。調査艦隊に出向している外務省国際情報局の外交官が、短期間にもかかわらずツハミ共和国での彼らの噂を集めていた。
 モニターに映る女の子は、宇宙からやってきた知性体が人類とのコミュニケーション用に用意した模造体の一つで、本体は別に存在する。この三人?がどこでどう知り合ったかは置いておく。
「私たちには会う機会が無かったけど、人間には見えない地球外知的生命体も日本国民として受け入れているんですもの。霧子ちゃんも申請すれば日本国民にすぐ成れるかもね」
「それも良いですね〜」
「けど、二重国籍になるからツハミ共和国の国籍は無くなりますよ」
「え〜!ツハミ共和国籍のままが良い〜」

 彼女たちの雑談はふわふわ1が目的地に接近するまで続いた。




『社長。新ヤイヅシティまで、あと20分です。着陸の準備をお願いします』
 ふわふわ1の山崎機長から目的地に接近したと連絡が入り、それを受け取った泉達は眼下に広がる新ヤイヅシティを窓から一斉に眺めた。
 「へ〜。工場を置いていた頃とすっかり変わっているわね」
 クレーターに広がる市街地を見て、泉がこんな感想を漏らした。
 ふわふわ社は浅倉 泉の出身地である浜松市で産声を上げたが、急成長の原動力になった『ふわふわ』を製造する工場の一つを焼津市の郊外に置いていた。
 一時帰国した泉は、ついでに『ふわふわ社』をツハミ共和国から日本に逆移転するか、するなら焼津市、現在は怪獣に襲われた新ヤイヅシティにしようかと調査の為に立ち寄ったのである。
 そしてふわふわ社社長の訪問を知った行政当局および地元商工会は、歓迎の意味を込めて接待すると連絡してきた。
「・・・おい、昶。今度は大丈夫なんだろうな」
 泉は嫌な予感を覚えつつ、昶に確認した。
「大丈夫だと思います・・・
多分
 焼津市と接待。泉にはこの二つの言葉の組み合わせに、いやな記憶が有った。
 突然であるが『ふわふわ』は製造工程上、工場の外つまり工場を置いている地元に利益を還元する工程は全くと言っていいほど無い。
 オートメーション化が進んでいる為に、28万u の工場規模の割に従業員は30人と少なく、原材料は空気中の窒素と二酸化炭素から、電力はソーラーパネル後に風力発電にすればよかったと泉本人が言うほど外部との関わりが必要無いのである。もちろん産業廃棄物も無い。以上の通り、製造コストが0に近い非常に『美味しい』産業になっている。
 そう云う訳で沼津市に工場を置いていた時は地元経済界とは利益も分かち合えず、どちらかと言うと地元を蔑ろにする、と一方的なやっかみもあったのだろうが、微妙に敵対する関係になっていた。それを解決すべく
地元商工会議所の会長(絶滅して欲しいタイプ)とその事務総長(腰ぎんちゃく)を接待したのだが、あからさまにセクハラをしてくる事務総長(腰ぎんちゃく)にとうとう泉が切れてしまい、工場ごとインドネシアに移転してしまったのである。
 そして今度の交渉相手にも不安を持ちながらも、泉と昶は夜の招待、つまり接待に行く羽目になった。


 だが。

「がはは、噂通りの別嬪さんですな」
「美人のお酌ですと酒が幾らでも入りますな」
 新ヤイヅシティ側の二人が泉をネタに、大声で話し合っていた。既にできあがっている様である。
 その接待の場を「所用ですので」と言って離れた泉は、廊下まで引っ張ってきた昶に不満をぶつけた。
「何でまた交渉相手があのセクハラ親父なのよ!」
「まぁまぁ、泉さん。そんなの只の偶然ですから、気にしないで下さい。あちらは泉さんに会うのは初めてなんですから」
 不安は的中し、浅倉 泉は怒っていた。新ヤイヅシティ側の責任者が『ふわふわ社』の海外移転を決意させた、あの絶滅して欲しいタイプと腰ぎんちゃくに瓜二つであったのだ。
「だってね、昶君。焼津市は隕石に吹っ飛ばされて先祖代々の住民は全滅したって言うじゃない?それが何でまたセクハラ親父と交渉しなければいけないのよ」
「だからそれは別の世界の話じゃないですか。我が社も『ふわふわ』を売り込む市場を一から開拓し直さなければいけないんですよ。いい加減、わが社の為にもちゃんと交渉してください」
「カチメロ大統領の頼みも果たせたのに、連合政府への売り込みは上手く行ったのに、なんでまた焼津でセクハラ親父と交渉しなければいけないのよ」
 昶の同情の余地も無い言い様に、壁を向いてぶつぶつ愚痴をこぼす泉であった。
 そしてその接待でやはり何かが起こり、新ヤイヅシティ近郊にふわふわ社が進出する事はなかった。



『ふわふわ』 閉幕


今回の主な元ネタ

 ※ まだ店頭に置いてありましたから、興味のある御方は新刊で購入しましょうね。(2002年9月1日現在)


後書き(2002.11.8)

 岡田"雪達磨"改め、OkadaYukidarumaです。
# 雪達磨で検索すると、結構これをHNにしてる人がいるので心機一転改名しました。(^^ゞ


 まずは皆様へのお礼です。

 アイングラッドさん。掲載ありがとうございます。
 Ver7さん。β版へのご指摘事項をありがとうございました。
 山河晴天さん。ほんの一言ですが、太平洋調査艦隊を無断借用した事をお許しいただき、ありがとうございました。

 さて、今回のお話は「大西洋調査艦隊物語 インターミッション」と銘打っているとおり、実は大西洋調査艦隊のある作戦に関わってきます。ですがネタばれになりますので詳細は省かせていただきます。
 そしてもう一つ。今年前半、経済とか特許でいろいろ発言が起こりましたが、その発言の前からアイングラッドさんの本編には来栖川製メイドロボが例になって、ある世界固有技術の社会全体への伝播がかかれていました。
 「ふわふわ」はどうかというと、新世紀3年以降にならないと市場が広がらないと思います。もちろん連合政府プロジェクトを除きますが。
 最初はふわふわ1で使われているとおり、航空機素材としての応用が主流になるでしょう。
 これに関係して山河晴天さんからのご感想がありましたが、私はふわふわは装甲には不向きと思っていますが、軍用航空機素材にも十分に力を発揮すると思っています。もっともVF−1やMATジャイロのように銃弾飛び交う空域に突入するような機体には採用されるとは思っていませんが、海上哨戒機や航空管制機、大型輸送機には十分使えると思っています。前者には技研謹製のネオカーボンがありますので、適材適所という事ですね。
 具体的な応用製品は、大西洋調査艦隊物語の中でおいおい述べていくつもりです。

 建築素材の方はどうかと言うと、軌道カタパルトの影響がすごすぎてすぐに手出しするところは無いような気が。始まれば一気に引き合いが殺到するでしょうが。ただ、原作で泉がぼやいたように、橋脚の無い橋は造れても風と着雪に弱いふわふわなので「台風が来るたびに心配する」橋造りには直接手を付ける事はないと思います、解決策に目処が立っていたとしても良い機会だから地表近くのつまり気象の影響を大きく受ける建築からは手を引くでしょうね、泉さんにとって「して楽しくない努力」に当たるでしょうから。ゼネコンに鉄骨を供給するメーカーと同じ立場になるのがせいぜいかと。
 これ以外のふわふわの応用は、ちょっとネタにしたいところがあるので書きたいけどここまで。
 ただ、彼女とふわふわ社の特許権を保護する必要から「ふわふわ」独占はある程度まで認可する必要があると考えます。簡単に言うと原料に近い段階では独占を許可し、最終製品に近づくに連れて他社を参入させます。もちろん需要を満たす限りにおいてです。この主張通りなら、ふわふわ(粒子状)とふわふわストリングの製造販売はふわふわ社の独占。ふわふわを使用する最終製品の例としてスカイサイクルには参入業者多数と言う事。
 ちなみに「美味しい産業」ではありますが、簡単な製造方法でも需要と供給のバランスやらブランドイメージから安易な参入は共倒れの危険があるでしょうね。
 なお本編に書いたような、成層圏プラットフォームや航空機は北崎重工と、メガフロートは篠原重工(元ネタにした小説での建造会社がこの名前だった)と提携している裏設定があります。

 最後に、自分が考える日本連合の独占禁止法の規定は以下の通りです。(書いてない文は現実のそれに準拠)

 1)目的

 2)独占と認定し、指導が入る状態

 3)社会インフラ

 4)発動

 う〜ん、だんだん苦しくなってきた。正直言って 1)目的 があればあとは枝葉末節、 3)社会インフラ に至っては書かなくてもいい気がしてきました。(^_^;)
 独占禁止法に引っかからない一番良い方法は、ふわふわ社みたいに外国企業のままであるのが一番だったりして(汗)

 次は山河晴天さんのリクエストで、『闇』シリーズの続きを予定しています。
 なお、今回のフォーマットは改訂ついでに『闇』シリーズでも使っています。同時に改訂版を投稿しましたので、見直してみて下さい。

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