『パンドラの箱』

Fパート




<本部よりチャーリー1へ、攻撃を開始せよ>
<了解、チャーリー1より各機へ、これより目標へ攻撃を開始する>

 ステルスマントをまくりながら、二式特別攻撃車両がその姿をあらわす。

<チャーリー2は左翼、3は右翼だ!速やかに配置に就け!!>
<<了解>>

 ブースターに点火し一気に舞いあがる。
 それに気がついた機械獣がミサイルを撃ってくる。

<こちらチャーリー2!!ミサイル警報!ロックされています!!!>
<落ち着け!チャフをまいて急降下しろ!>
<了解!>

 肩についている散布機からチャフとスモークがばら撒かれる。
 するとチャーリー2に向かっていたミサイルが急にでたらめな軌道を描き始め、あらぬ方向に飛び去った。

<こちらチャーリー2、所定の位置につきました>
<現状にて待機>
<了解>
<こちらチャーリー3、所定の位置に到着しました>
<よし、それでは5秒後に一斉射撃だ>
<<了解>>

 3機とも機関砲を構える。

<5・4・3・2・1・撃ぇ!>

 号令と共に3門の45ミリ重機関砲が火を吹いた!!
 放たれた機銃弾は機械獣の正面装甲に次々とへこみをつける。

<撃てっ!撃ちまくれ!!>

 夕立のような勢いで機械獣に殺到する弾丸。
 さすがの機械獣も思わず圧倒される。
 しかし、相手は非常識なまでに頑丈な装甲を持つ機械獣である、当然ながら弾丸はへこみをつけるだけで跳ね返されてしまう。

<た、隊長、目標に損害は認められません!撤退しましょう!!>
<落ち着けチャーリー2!正面装甲に次々とへこみが出来ている!あと一押しだ!>
<はっ、はい!>

 3機の二式は機械獣に凄まじい弾幕を浴びせる。
 当然、機械獣も黙って攻撃を受けているわけではない。
「グオォォォォォォン」と唸りながら角を突き出し、突進して来る。

<チャーリー2!そっちに行ったぞ、うまく避けろ!>
<りょ、了解!!>

 機械獣の速度と方向をすばやく計算し、ブースターを使って左に回避する。
 着地したチャーリー2の真横を機械獣が通過する。

<ふぃー、なんとか避けました>
<よし、陣形このまま、後方へ敵を誘導する>
<<了解>>

 新世紀2年3月24日PM4時10分 後方100メートル地点

「特機のデータベースに目標のデータがありました。名称はトロスD7。主兵装はミサイル及び角を用いた突撃です」
「わかった、引き続き情報を集めろ」
「はっ」
「第1独立より入電、およそ5分ほどで防衛ラインまで到達するそうです」
「よし、攻撃準備!」

 すぐさま自走砲やMLRSが予測ポイントを向き、戦車隊が攻撃態勢に入る。

「攻撃準備完了!」

 いつでも攻撃できる態勢が整った所へ機械獣と第一独立が現れた。

「指揮車よりチャーリー1へ。基準線まで後退せよ」
<了解!>

 牽制の弾幕をはりながら後退する二式。
 なんとか基準線まで到達する。

「第1独立、基準線まで後退しました」
「よし、攻撃開始!!」

 司令が下ると同じに特科が攻撃を開始した。
 手始めに、26両のMLRSがロケットの雨を降らせる。
 たちまち機械獣の周りの地面が炸裂する。
 しかし機械獣の足は止まらない。
 それどころか、特科を目指しさらに加速する。

「目標は止まらず!加速してきます!!」
「目標、地雷敷設地点まで後30!」
「MLRS再装填完了!!」

 次々と報告が入ってくる。

「目標地雷敷設地点に侵入!!」
「よし!振動地雷作動!!」

 すると、機械獣の周りの地面が突然沼地のようになり、機械獣の前足がずぶりと沈んた。

「グォォォォォォォォン」

 必死にもがき、沼地から脱出しようとする機械獣。
 しかし、もがけばもがくほど足が沈んでしまう。
 気がつけば機械獣の足は完全に地面の中に埋もれてしまっていた。

「目標の動きが止まりました!!」
「振動地雷の作動終了!周囲の地面が再び硬化していきます!」
「特科連隊本部より連絡、斉射準備完了!」
「よし、斉射開始!斉射が完了次第戦車隊を突入させろ!」
「はっ!」

 再びMLRSが斉射を行う。
 身動きが取れない機械獣に次々とロケットが命中する。
 始めは表面で爆発していただけであったが、次第に装甲が壊れ始める。
 その様子を付近で観測していたFO班が報告する。

「こちら第1FO班!!目標上層装甲に損害を確認!効力射を要求!」
「効力射を要求!」通信士が叫ぶ。
「よし、データを送信しろ」

 今度はMLRSと一緒に203mm榴弾砲や155mm自走砲が砲撃を開始する。
 既に上部装甲が壊れ始めていた機械獣に容赦無く砲弾が炸裂する。
 どんどん装甲が破壊され、内部構造が剥き出しになってくる機械獣、このまま撃破出来るなとその場にいた誰もが思った次の瞬間、信じられない事が起きた。
 なんと、たまたま外れた砲弾が機械獣の前足付近に命中し、その結果足が抜けてしまったのだ!!
「あっ」と言ってももう遅い。
 すぐに自由を取り戻し、特科へ向けて進撃を再開する。

「本部より特科連隊!直ちに射撃を中止せよ!繰り返す……」
「本部より第1独立へ!目標の足を止めろ!!」
「司令!指示を願います!」

 余りに予想外の出来事に本部の中はパニックに陥っていた。

「落ち着け!駒門戦車大隊と第1独立に突入させろ!」
「は、はいっ!!」
<駒門1より全車へ、これより攻撃を開始する>

 すぐさま掩蔽壕から戦車が飛び出す。

<目標の装甲は極めて強固だ、破損個所に集中砲火を加えろ!>

 指示を出しながら、隊長機は迫り来る機械獣へ砲塔を向ける。

「照準良し!」
「撃ぇ!!」

 車体を揺るがし徹甲弾が発射される。
 だが、気持ちの良い音を立てて跳ね返される。

「ばっ馬鹿な!?徹甲弾なんだぞ!」

 嘆いている間にも機械獣がミサイルを放つ。

「ミサイルだ!」
「スモーク!!」

 すぐさま発煙弾が発射される。
 しかし、ミサイルは隊長機に向け一直線に向かってくる。

「だめだ!避けきれない!!」

 このまま直撃かとあきらめた時、不意にミサイルが爆発した。

「な、なんだ!」

 慌ててハッチから首を出した隊長の頭上を影が通過した。
 着地すると、そのまま機械獣に向けて突き進んで行く。

<チャーリー1より各機へ!狙うのは破損個所だ!>
<<了解>>

 ローラーダッシュで一気に距離を詰めた3機は、いきなり三方向へ分かれた。
 一瞬の事で対処できない機械獣の足元から機銃が撃ちこまれる。
 それを踏み潰そうと足を振り上げるが、既にいない。

「こっちだよ!」

 後ろから再び機銃が撃ちこまれる。
 振り向いてミサイルを発射しようとする、しかし、既にそこには何も無い。

<チャーリー2・3、援護しろ!>

 チャーリー1が機械獣の背中に飛び乗る。

「いい加減くたばりな」

 剥き出しになっている部分へ機銃をさし込み、発射する。
 オイルやら部品やらが飛び出してくる。

「ガォォォォォォォン」必死に振り落とそうとする機械獣。
 チャーリー1は装甲の中へ腕を入れ、振り落とされないようにする。

「止まれぇぇぇ」

 さらに機銃を撃ちこむ。
 すると、次第に機械獣の動きが鈍くなってきた。
 そして、なんの前触れも無く爆発した。

「う、うわぁぁぁぁぁ!!」

 一緒に吹き飛ばされるチャーリー1。

「隊長!!」
「隊長ぉーーー!」

 爆発が収まった時、そこには残骸しか残っていなかった。

<こちらチャーリー2、チャーリー1応答せよ>
<………>
<こちらチャーリー2、チャーリー1、隊長、応答してください!!>
<………>
<こちらチャーリー………>
<おい!チャーリー2!もうあきらめろ!隊長は……戦死なされた>

 見かねたチャーリー3が呼びかけを止めさせる。

<ううう………隊長……>
<泣くな、みっともない>
<うるさい!隊長が死んだんだぞ!お前よく平気でいられるな!!>
<かってに殺すな>
<へ?>

 慌てて周囲を走査する、しかしチャーリー1の反応は無い。

<足元だ、足元!>
<え?>

 カメラを向けると、そこには隊長が立っていた。

<よう>
<た、隊長!生きてたんですか!>
<当たり前だ!何の為に脱出装置がついてると思ってんだ!>
<あ>
<自分の乗る機体くらいちゃんと調べとけ!>
<す、すいません>
<まあいい>
<はあ>
<あーあ、撃破したのは良いけど、こりゃ始末書だな>

 そういうと、隊長はポケットからタバコを取り出した。


 どうも、森泉です。
 なんとかFパート完成しました。
 戦闘を書くのって本当に難しいと痛感する今日この頃です。
 さて、突然ですがGパートについてアンケートを取ります。
 現在、Gパート試案として
 1.空自のグール撃墜
 2.再び開発話
 のどちらにしようか悩んでいます。
 こっちがいい!と言う方を感想と一緒にメールで送ってください!
 希望が多い方がGパートになります。
(1の場合、出したい部隊や人物がある人は一緒に書いてくれるとうれしいです)
(2の場合、『パンドラの箱』に収容させたい機体・技術がある方は簡単な説明や原作の名前 も御願いします。但し、『パンドラの箱』に収容される場合、基本的に人物は出せません)
 それではまたGパートでお会いしましょう!さようなら〜☆


<アイングラッドの感想>
 こんにちはアイングラッドです。
 T・Mさんありがとうございました。
 やはり通常火力を元にした戦力では撃破に手間が掛かるのは仕方の無いところですね。
 しかし、初期にこう云う苦労をした方が開発史ストーリーとしては面白い展開が期待できそうです。
 彼らが今後如何様にしてこの優れたプラットホームに相応しい火力を装備する事が出来るのかが楽しみです。
 掲示板の方でも色々と論議が進んでいる様ですし、次なる投稿が非常に楽しみです。
 では皆さん、Gパートアンケートを兼ねた感想を送りましょう。
 投稿の動力源は感想文です。
 さぁ、ガンガンお願いします。ではでは。




日本連合 連合議会


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 提供/岡田”雪達磨”さん。ありがとうございます。


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