「レイジング・ストーム!」
「ぐぼわっ!」
アメリカ、サウスタウン。
東京でベヘモスとGGGが戦いを繰り広げているその裏で、もう一つの戦いが繰り広げられていた。
ついに真の実力を現したギース・ハワード、対、闇の帝王ウィラード・ゲイツ。
意外にもその戦いは、ギースがゲイツを圧倒していた。
「その巨体と、それにおぼれぬ戦闘術。実に見事なものよ。だが、まだ我が敵ではないわ!」
「くっ……貴様も、あの、『神威の拳』の使い手だったとは!」
「なんのことだ……? まあよい。貴様には地獄が相応しい」
さすがに周辺のボディーガード達も、色めき立って銃に手をかけた。
だが。
「ヒャッホウ!」
ビリーの棍棒と、いつの間にか現れた数人の男が、彼らの干渉を妨げた。
「おいおい、主人の格を下げるんじゃねえよ! 意気地のない番犬さん達ようっ!!」
この時、確かにゲイツの命運は窮まっていた。
だが、その時、地球の裏側で。
ある異変が起きていた。
そしてそれは、ゲイツの運命をも変えることになる。
裏側の勇者達
「とどめだ……ハアアア……ん!?」
最後の一撃を繰り出そうと、ギースが己の気を高めた時であった。
闘技場の天井あたりに、突如黒雲のようなものが生じた。
そこから流れ出す。まがまがしい『瘴気』。
<久しいな、ウィラード・ゲイツ。『闇の皇帝』よ>
「おお……あなた方は」
それはかつて、ゲイツが盟約を結びしもの。一度は慶一郎に破れ、その力すべてを失いかけた彼に、再び以前と変わらぬ肉体を与えた者たち。
<此度の異変により、界が離れた故、汝に対する盟約を遵守できなかったことを詫びよう。今こそ汝に、我らが力を!>
「むっ!」
ギースは一歩引いた。その空間から流れてくる、すさまじい『瘴気』を感じたからである。
そして気が晴れた時、そこに立っていたのはゲイツであって、ゲイツではなかった。
見た目はそのままである。元からの巨体も、元のままである。
だが、その眼光は、もはや人のものであるとはいえなかった。
そして、その体内にたぎる『気』も、どす黒い暗黒の瘴気に満ちあふれていた。
「これは……いかん!」
さしものギースも、相手の変を悟った。今自分の目の前にいるのは、紛れもなく『魔』であった。
その『魔』が、大きく両手を広げた。その間に宿る、強力な『魔気』の刃。
それは、彼の、かつての宿敵が放つ技に酷似していた。
「その技……そうか、やはり貴様、異世界の『奴』か!」
ギースも全力の気を以て、絶大な闇の気に対抗する。
「Schwarze kaiserlich Wellenbewegung!!(黒き皇帝の波動!!)」
「ダブル烈風拳!!」
二つの波動のぶつかり合いは、周囲すべてをなぎ倒した。
この後何が起こったかは、余人には知られていない。
だが、この時より、ビリー・カーンと、ギース・ハワードの姿は、サウスタウンから消えていた。
そして……。
「待っていろよ、ナグモ、そして、ギース……くっくっくっ……」
あとがき。
……やっと、終わりました。エピソード4:神威の拳。
自分で言うのもなんですけど、時間の流れが濃い濃い(笑)。
でも何とか、みんな収まるべき所に収まりました。
なお、あえてオーバーソウル級で、誰が優勝したかは書きませんでした。
なんというか、楽しみを減らしそうだったので。
もし書ける人がいたら、外伝のさらに外伝として書いてみるのも面白いかも知れませんね(笑)。
慶一郎が出たらまず最強でしょうけど。この時点では。
さて、こうなると次回はどんな話になるでしょうか。
今のところ考えているのは、エピソード5:『愚者の黄金』か、EX3(2はどうしたって? 実はちょっとお蔵入りしています):『天使降臨』のどちらかになるでしょう。
ただどっちも、四国圏がからむんで小さな一読者様と相談しないと(笑)。
『愚者の黄金』は、DADDYFACE+女神転生、天使降臨は『エンジェリックレイヤー』の開発裏話です。
特にエンジェリックレイヤーは、神秘学的裏話満載のお話になる予定。
私の持つ神秘学的構想を、思いっきりぶちまける話になります。
どちらもいずれは書く予定ですので、お楽しみに。
もっとも、他の作家さんとの絡みでお蔵入りするかも知れませんけど(笑)。
では、また会いましょう。ゴールドアームでした。
<アイングラッドの感想>
ゴールドアームさん、15パートにも及ぶ大作、どうもありがとうございました。
しかも、次の構想もバッチリと来ては期待する他ありません。
このお話しを楽しんだ皆さん、次回を早く読みたい方は特にゴールドアームさんの執筆欲を増す為にも感想を送りましょう。
次回も傑作間違いなしです。
さて・・・私の方も、このエピソード:4 神威の拳を使ってちょっとした話を作ろうかと思っていますが・・・ゴールドアームさんの足を引っ張らないと良いけど。
「裏側の勇者達の斜めちょっと下」位の話になります、私の方は期待しないで待ってて下さい。ではでは。