D−part
「ま、ゆっくりしてくんな」
米田司令は、ちょっと緊張気味の三人にそう声をかけた。
ここは大帝国劇場の支配人室。部屋の中には米田司令のほかに、そのまま居残っている李紅蘭と藤枝かえで、そして美神さんたち三人がいる。
そして米田司令は、おもむろに話し始めた。
「ちょいとすまねえ話だが、とりあえずあんたらのことを、この時間で分かる限り調べてみた。ま、大したこたぁ分かんなかったが、あんたら、元の世界じゃかなり有名人だったみてぇだな」
一瞬ぎょっとしたものの、美神さんたちもその調査とやらがあくまでも通り一遍のものであることに気がついた。
考えてみれば大神たちと会ってからまだ数時間しかたっていない。通り一遍とはいえ、調査できる方が凄いのだ。
「まあ、食堂でもちょっと話したんだけど、いろいろ因縁があってね、結果世界を救う羽目になっちゃったのよ」
ため息混じりに美神さんも答える。事件としてはかなり物凄いことであったが、あまりいい思い出ばかりではない。そのあと通常業務に復帰できた事の方がよっぽどうれしかった。横島にしたところで、その話はルシオラのことを思い出すだけである。
「……まあ世界を救うなんていやぁ、端から見てる分にはかっこいいが、当事者にとっちゃろくでもねえもんだからな」
その言葉に美神さんは顔を上げた。妙に実感がこもったその言葉に。
「おじ……司令さんも?」
「おじさんで結構。おじいさんは勘弁してほしいけどな。ま、いろいろあんのはお互い様だ。でな、昔世界を救ったもん同士、ちょいと相談してぇことがあってな」
「まあ、話によるけど」
ちょっと毒気を抜かれたように、美神さんも返事をする。
「一つは、まぁ、あんたたちのちょいと尋常じゃねぇ強さのことだ。飯の種だってんなら無理には聞かんが、いったいどうやってそこまで強くなった? ウチの花組もそれなりに修羅場はくぐってきてるし、悪魔王やら何やらに喧嘩を売って帰っては来てる。けどおめえさんたちほど強え訳じゃねぇ。なんか秘訣でもあんのかい?」
「別に秘密でもなんでもないわ。ちょっと特別なとこで修行しただけよ」
「修行、ねえ」
ちょっとうさんくさげに首をひねる米田司令。
「いったいどこでだ?」
「妙神山よ。この間出た地図で確かめてみたら、ちゃんとこっちに来てたわ」
「なぬっ!」
米田司令にとっても、この答えはちょっと意外であった。
「てことは、その修行場……今でもあんのか?」
「それは行ってみなけりゃ分かんないけど……司令の世界に妙神山って名前の山、あった?」
「いいえ、ありませんでした」
悩んでる米田司令に代わって、かえでが答える。
「ふーん……てことはやっぱり当たりくさいわね。ま、神様が管理してる修行所だもの。効き目は確かよ」
「「「か、神様ぁ?」」」
司令とかえでと紅蘭の声が見事にハモった。
「まあほかの世界のことは知らないけどさ。うちの世界、割と神様やら魔族やらが現世に降りてきてたわよ。神族や魔族がらみの依頼も結構受けてたし」
「……レベルが違う訳やな」
紅蘭が手のひらを上に向けたとほほポーズで言った。
「しっかし神様のいる所ね……これは一度調査に行った方がいいかもな。もし行きたいっていったら、案内してくれるかい?」
「旅費そっちもちならね」
あっさりと断言する美神さんであった。
「よし、懸案事項その一オッケイ、と。かえで君、あとで手続きを頼む」
「了解しました」
軽く頭を下げると同時に、何かの書類を作成し始める。かなり見事な手つきであった。
「で、あと二つばっか、いいかい?」
ちょっとすまなそうにする米田司令。美神さんの方は全然気にもせずあっさりうなずいた。
「一つは、おめぇさんが持ってる精霊石……こっちじゃ霊子水晶って言うんだが、よければ少し譲ってくんねぇかな。人工合成物じゃ、どうしたって限界があってな。やっぱ活きのいい天然物を一つ二つほしいとこだったんだよ」
「……じんこう、ごうせい?」
今度は美神さんの目が点になった。
「うちの世界じゃ精霊石の人工合成って、夢のまた夢だったのよ!」
「あらら、そりゃ奇遇だな。もっとも人工物は、天然物に比べて質がわりぃから、光武用の銃弾とかみたいな消耗品にしか使えねえけどな」
「結構、お互いの世界にギャップがあるのね……。うちの世界じゃ、精霊石はザンス王国って言う大西洋上の小国が供給量の約8割を産出してたけど、こっちじゃそんなこと無かったみたいね」
「こっちじゃ天然物の霊子水晶は家一件立っちまうくらいの貴重品だかんな」
「こっちでも上物はそうよ。このイヤリングのやつで、一つ1億くらいかしら」
その言葉と同時に、紅蘭が後ろへひっくり返った。
「するってえとなにかあんさん、そのイヤリングとペンダントだけでごっつい財産な訳?」
ショックから立ち直った紅蘭が、すかさず突っ込みを入れていた。
「どっちかって言うとお守りだから、そんな気はしないけどね。まあいいわよ。2、3個なら譲ってあげる」
「美神さん……ずいぶん気前がいいんですね」
横島はちょっと意外に思った。美神さんは取れるところからは取る人である。
もっとも次の一言で納得がいった。
「シロに貸してるのと一緒よ。本当にほしくなったらきっと予算組んでお金出してくれるわよ。それにね」
そういうと美神さんは紅蘭に向かっていった。
「あなた……あの、霊子甲冑とか言うの作った人なのよね」
「厳密にはちゃうけどな。光武はウチがだいぶ手入れたけど、基本は神崎重工製や。でも、今の光武改は、ま、ほとんどウチが組んだようなもんやな。みんなの霊的特性に合わせてチューニングしてあるさかい」
「てことは、ああいう物を作るための知識はあるのね」
「ウチは女優もやっとるけど、本業は技術者や。どっちも捨てがたいんやけど、もしどうしてもどっちか一つにせい言われたら、たぶん技術者を取っちゃうやろうな」
「そこを見込んでお願いがあるの。横島君、鞄取ってくれる?」
「これっスか?」
いつもの除霊用具の入った鞄を差し出す横島。美神さんはその中から神通棍をはじめとするいくつかのオカルトグッズを取り出した。
「でね、交換条件、ってわけでも無いけど、ちょっと見てくれる?」
「はいな。何でっか、これは」
「これはあたしたちが除霊に使っている道具よ。もっとも、使うのはほとんどあたしだけど」
「へぇー、ちゅう事はこれが未来の霊能道具でっか。いろいろありまんな」
紅蘭はしげしげとそれらを見つめた。
「実を言うとね、こういうのはある意味消耗品なんだけど、今の世界、こういうオカルトグッズを造れるところが全然無いのよ。で、もしかしたら、っておもったんだけど」
「おかると、ぐっず?」
「あ、ごめんなさい。こういう霊能力を増幅したり武器にしたりする道具のこと、こっちではそう言うの」
「なんや、そゆことか」
納得したらしく、紅蘭は神通棍を手に取る。
「これなんかどないして使うんや?」
「グ……そこを握ったまま、霊力を込めればいいの。伸びるから気をつけてね」
グリップ、と言いかけて、相手が大正期の、カタカナ言葉をあまり使わない人であることを思い出し、あわてて言い直す美神さんであった。
「こうかいな……わっ」
紅蘭が霊力を込めたとたん、シャキンという小気味よい音と共に、神通棍は剣のように長く伸びた。
「おもろいな……伸びた部分がきれーに霊力を帯びとる。まるで霊剣みたいや」
「それで悪霊をしばくのよ」
「つまり、実体のない霊に打撃を与えられるんです」
おキヌちゃんが脇から美神さんの言葉を補足する。
「そないして使うんか……でも花組ん中じゃあんまり霊力高くないウチでもよう使えるんやな。どないなってるん?」
「そうよね。中を見てもらわないと意味がないか」
美神さんは紅蘭から神通棍を受け取ると、根本の部分をくるくると回した。
「こうなってるの。中央についてるのは精霊石クォ……振動子。ま、そんなに霊力のこもってないカスの精霊石から作る、霊力回路の要ね」
「へぇ、カスの精霊石っスか?」
美神さんの言葉に横島が突っ込む。
「馬鹿ね、よく考えてみなさいよ」
ちょっとあきれながらも、なぜかうれしそうに美神さんは説明を続けた。
「精霊石だってピンからキリまであるのよ。全部が全部一個一億だったら、神通棍一本いくらすることになると思うの? オークションとかで高い値が付くのは、精霊石の一番いい所よ。掘り出される精霊石の、せいぜい1%以下しか取れないの。残りのほとんどは、こうやって加工されてオカルトグッズのパーツになるの。普段景気よく投げてるように見えたやつも、普通は1千万クラスよ。今日はいやな予感がしてたんで一番いいやつ持ってきたんだけど」
「そういえばペンダント、ザンスの事件でもらったおっきいやつですね」
「まね。以前唐巣神父の畑に埋めたのが100万クラス、シロに持たせてるのが一千万クラス、今日みたいに特に力が入りそうなときに着けてるのが億単位のやつよ。精霊石の装身具には、霊力増幅の効果もあるから」
「……それでいつもなら景気よくぶつけてる精霊石、降魔相手に使わなかったんスね」
「当たり前よ。赤字になるもの」
あっさりと認める美神さんであった。
「まあ、それはさておき……あら?」
紅蘭のことを無視していたのに気がついて、彼女の方を見た美神さんは、思わず背筋が凍りそうになった。ふと周りを見れば、米田司令とかえでの顔も凍り付いている。
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……」
眼鏡の奥の瞳が爛々と輝き、口元からは果てることの無き「ふふふ」という忍び笑いが漏れ続けている。
手元には分解された神通棍。そして彼女の視線はその中の小さな基盤に集中している。
「わかったでぇぇぇっ!!」
火山が噴火したかのように、その顔が上げられた。そして視線が美神さんと米田司令の間を往復する。
「司令、わかりましたで! 光武の改装がうまくいかへんかった理由! 美神のあねさん、おおきに! 出来ればもういくつかバラしてもええかや? あねさんのおかげで、やっと何とかなりそうや!」
「え、ええ……」
迫力負けして思わず美神さんがうなずいてしまうと、紅蘭は素早くいくつかのアイテムを手に取り、すっくと立ち上がった。
「それでは李紅蘭、ただいまより光武の改修実験を開始いたします!」
そのまま器用に腕と足で扉を開けると、支配人室から出て行ってしまった。
「な、何なの、あれ」
「ああいうやつなんだ。勘弁してやってくれ。弁償はする」
米田司令は、美神さんに向かって深々と頭を下げた。
雰囲気を変えようとしたのか、かえでが入れてくれたお茶をみんなですすりながら、話は再開された。
「実はな姉さん、この帝都……端から見えるほど平和じゃねえんだ」
「?」
突然の話題の変化に、美神さんは思わず混乱した。
「ちょっとは姉さんたちに関係のある話もある。ちょっくら聞いててくんねえか?」
口調はとぼけていたが、言葉に並の人間では出し得ない重みがあった。美神さんたちも黙ってうなずく。
「この帝都……外から見ればまとめて一つだと思うだろうけど、どうもちょっとずつずれた時間から来てるみたいらしいんだ、これが」
「「「ええっ!」」」
今度は美神さんたちが驚くことになった。
「帝都の大半は太正14年の世界から来てる。だけどな、オレら帝国華撃団の人間だけは、その翌年……太正15年の世界から来てんのよ。設備その他を含めて。てのはな」
そこで米田中将はお茶を一口飲んだ。
「太正の12年から13年にかけて、帝国華撃団は黒之巣会という敵と戦った。そしてその二年後、太正14年から15年にかけて、今度は黒鬼会という敵と戦い、これを撃破した。そしてその直後、大神に巴里留学の話が出たんだが、出発する寸前にこの時空融合に巻き込まれたんだ。ところがな、融合直後の騒ぎが収まって、帝都も落ち着いた頃、みんなが何か変だって言い出してな。調べてみたらなんと帝撃関係者以外は、ほとんどが太正14年の時代から来てたんだよ。つまり黒鬼会の野望が動き出す前の時代だ。
けどここに来たのは帝都の一部だけ……以前黒鬼会は八鬼門封魔陣……帝都の八カ所の封印を解き、都市の怨念の固まりとも言える『武蔵』という要塞を使って帝都に混沌……敵の親玉は真の解放とか行ってたがな……ま、破壊を振りまこうとしてたんだ。けどそれはこの時空融合のせいで不可能になっちまった。首謀者だった京極陸軍大臣も今のところ姿がない。黒鬼会のアジトがあった赤坂付近も別の世界になっちまってるしな。
だがやはり黒鬼会は現れた。それに加えて降魔も。黒之巣会が復活した可能性すら報告されている。奴らもまた、この生まれ変わっちまった世界の闇の中に、間違いなく存在してやがるんだ」
「……大変ね、それって」
美神さんもしみじみといった。
「今はまだ敵の動きも散発的だ。活動も主に帝都の地が現れたこの辺に限られている。けどな、いつまでも奴らがここにとどまってるとは思えねぇ。いくら電気で世の中が明るくなっても、いつか奴らは動き出す。ただなあ」
「ただ?」
突然弱気になった米田司令の声に、美神さんは疑問を挟んだ。
「大神をはじめとして、花組一同、時空融合のせいかどうか、霊力の安定がうまく取れねぇんだ。長い戦いの中で練り上げられてきたはずの技が、なぜかうまく使えなくなっててな。少なくともこっちのせいじゃないとは思うんだけどよ、こっち来てテストしてみたら、光武が吹っ飛びかけたり、逆に不発に終わったりな。危なっかしくてまだ霊力が十分に鍛えられてなかった頃の技しかふるえねぇ。これじゃ困るのよ。で、いっちょう、っておもったのよ」
「つまり、私たちにもいろいろ協力してほしいって事ね。そういう奴らに立ち向かうために」
「そうだ。奴らは妖力……邪気ある力を使う。普通人じゃ太刀打ち出来ねぇ。敵の陰謀の兆候も、唯人には気づくことすら出来ねえだろうしな」
美神さんたち一同はしみじみとうなずいた。
「大変ね……偉くなっちゃうと」
「ああ、現場に比べてかえって苦労が増えた」
米田司令も苦笑いを浮かべる。
「それに気がかりはもう一つある。今の帝都……じゃねえ、首都東京は、霊的に相当ヤバイ状況にある。分かるか」
「皇居……江戸城といった方がいいかしら」
打てば響くように美神さんは答えた。
「正解だ。さすがだな」
「……って、どういう事です? 美神さん」
しかし横島にはさっぱりだった。もっとも美神さんもそれは当然と思ったのか、横島とおキヌちゃんに聞かせるように解説を始めた。
「皇居っていうか、昔江戸城が建ってたあそこは、江戸の……いえ、日本の霊的中枢の一端なのよ。要と言ってもいいかもね。もし日本に原始風水盤があったとしたら、置くところはあそこしかないって位の」
「げっ、そんな重要なとこだったんスか?」
「そうよ。東京の中央は、『制御』の中枢よ。日本の竜脈のコントローラーね。ちなみに富士山が排気口。気の噴出点ね。何しろアジアの竜脈は日本が終点だから、幾本もの太い竜脈が日本で一点に集まる。だから日本には見た目の大きさ以上の霊的パワーがあるわ。世界征服を考える悪者が日本を狙うのって、あながち意味がない訳じゃないのよ」
「……なんでそこで世界征服が」
いささかあきれたように言う横島。だが。
「いや、まじめな話関係があるぞ。霊的にはな」
そう答えたのは米田司令であった。
「世界を我が手にしようと思ったら、絶対に押さえておくべきポイントが、霊的に見るといくつかある。俺たちに分かってるのは、日本の東京と欧州の巴里、アメリカ及び南半球のどっか、あと北極、そして南極だ」
「南極は分かるでしょ」
横島もそれはよく知っていた。
それを見て米田司令は話を続ける。
「アメリカは広すぎて中枢都市がまだ見つかってない。ニューヨークかハリウッドあたりだとは思うんだがな。南半球がよくわからんのは、どうもポイントの所に陸が無いせいなんだ。南米の太平洋側に一つあるのは間違いないんだが」
「きっとイースター島よ」
美神さんがそう補足する。
「まあそれはともかく。つまりな、世界を征服するとか滅ぼすとかするためには、このポイントを押さえておかないとまずうまくいかねぇ。こういう事に必要なツキが落ちちまうのさ。で、当然の事ながら、東京や巴里には、人が住んでる。軍隊でも使って占領しないと手には入らない。で、一番後々便利なのが日本なんだよ」
なぜだか分かるか? という問いを秘めた視線が横島に向けられる。横島が答えられないでいると、米田はにやりと笑っていった。
「巴里やアメリカは大陸の真ん中だ。対して日本は島だ。で、島は要塞化しやすい。守りやすいんだよ。逆に言えばあとになるほど守りが堅くなって落とし辛くなる。先手必勝の土地なのさ、日本ってのは。だから日本がいの一番に狙われる」
「そ、そんな理由があったとは」
横島も思わずたじたじとなった。
「で、今その中枢、霊的に穴があいてる。まあ、あんだけでかい穴、ふさごうにも無理だから、逆に何にも起きねえんだけどな。いまは自然がふたになってるから、いいこともねぇが悪さもしねぇ」
「守護霊がいないのよ、言い換えれば」
それを聞いて横島も納得した。守護霊のいない人間はトラブルに弱い。悪意の影響などをもろに受けてしまうのだ。霊的防御力がゼロといってもいいくらいに低下しているためである。
そんなときにこの地に悪意ある者が動いたら……。
「確かにヤバいっスね」
「いずれにせよ、長期戦になりそうだな。で、最後の問題なんだが、あんたたち、10前後で出来れば美人の霊力もち、しらねぇか?」
「はぁ?」
いきなり跳んだ話題についていけず、美神さんも一瞬呆けてしまった。
「司令、そんな言い方じゃ分かりませんわ」
その場を取りなしたのはかえでであった。
「私たちが気にかけているのは後継者問題よ」
そういわれて美神さんたちも納得がいった。
「以前はちゃんと乙女組って言う育成組織を作ってたんだが、困ったことに帝劇の組織の中でこいつだけがおいてかれてな。あと2、3年はいいが、それをすぎるとマリアやカンナは引退を考えなきゃならなくなる。5年したらレニとアイリス以外は総入れ替えだろう。それ以外にも目に見えないところで働いている霊能者はいっぱいいる。そういうみんなのあとも考えなきゃなんなくってな」
「15から18歳ならいっぱい心当たりあるんだけど」
美神さんは少し考えてそう答えた。
「このおキヌちゃんが通っている六道女学院の霊能科。水準以上の霊能者の女の子が200人以上いるわよ。けどその下は……そだ」
そういうと美神さんは米田司令とかえでさんを交互に見た。
「この手の問題に打ってつけの人を紹介するわ。元の世界で対魔族戦線の最高司令を務めてた人」
「そんな人がいるのか」
米田司令もかえでも思わず身を乗り出した。
「よく知ってるわ。美神美智恵……あたしの母さんだもの」
この日の話し合いはここまでで終わった。後の日、美神美智恵と米田司令の会談がもたれ、帝都だけでなく、首都東京の霊的防御についていくつもの有益な話がまとまったという。
そして六道女学院に、中等部が併設されることになった。霊能科と、なぜか芸能科が。
さらに少し後、美神さんの元に電報が届いた。
「コンドノニチヨウ、ミョウジンサンヘノアンナイタノム ヨネダ」
電話でいいのに、と思いつつ、美神さんは横島に招集の電話をかけた。
<アイングラッドの感想>
は後でまとめて書かせて戴きます。
今回も面白い話をありがとうございます。誰よりも早く読む事の出来る立場にいる事が大変に嬉しいです。
皆さん、感想を書きましょう。皆さんの感想が創作の新たなる活力になるのです。
ではでは。