「かなり恵まれた男の東北関東大震災」

 三日目 三月一三日日曜日

 本日は自宅待機、だが、トイレの水も風呂の中の水が減ってきたので心許ない事。

 又、必要な物資がない事と泉方面の道路や鉄道の情報、東京方面の高速バスの情報を得る為に泉町の方へとリカンベントにトレーラーを着けて、ゴミ箱にゴミ袋を積んで移動した、用水路の水であってもトイレの水には問題ないからだ。

 藤原川の手前で川の状態を確認すると、土手の半ばの高さに漁船が上がっていた。

 暗くて良く分からなかったが、やはり津波は来ていたのだ。

 この時の水面は通常の高さだったので安心した。

 やはりあちこちの塀が崩れている、だが、道路にはみ出ている分は脇に積み上げられていて自動車の通行は問題ないが、歩行者と自転車には問題なので出来るだけ脇道を利用して泉のヨークベニマル前を通った。

 こちらのヨークベニマルは店前で行列している。お陰でリカンベントが珍しいので物凄く目立ってしまった。

 そのまま泉駅の方へと移動、マルト泉店とくすりのマルトの営業を確認、JAは休み。

 常磐線は線路が歪んで地盤も駄目になっているので確認もする気は無かったが、物凄く小便に行きたくなったので、駅の一階のトイレにて小用を済ます。

 そのまま泉駅近くの高速バスのバス停を確認しようとして考え事して行き過ぎてしまった。

 少し戻ってバス停を見たが、張り紙は全面休止のお知らせだった。

 やっぱりかと思いつつ、掛かり付けの医者である佐々木内科クリニックに行き確認、震災により休診と云う張り紙を確認した。

 睡眠時無呼吸症の対症治療としてシーパップと云うのを使用しているのだが、月に一回病院に行きレンタル料を治療費と云う事で払っているのだが、月に一回病院で料金を払わなければ保険が効かないので…どうなるのでしょうか。

 カワチ薬品泉店の前を通って、店内危険の為休店の張り紙を確認し、ヨークベニマル泉店へと向かった。

 西側の入り口は閉止されていて、山側の入り口にて販売と書かれていた。

 自転車を置いて列の最後尾へと並ぶ。

 隣に並んでいた小父さんに話しかけたら、元発電所の下請けをしていたとか云う事で興味深い話を色々聞けた。

 そんなこんなで2時間が経過、二〇メートル位動いた。滅茶苦茶動きが遅い。

 トイレは家を出る前に入念に済ましていたので腹の具合は問題なかったが、少々体調が不良になって来た様な気がした。

 並んでいる人達も普通の人であり、家族連れの人とかが多い。後ろの小母さんと孫娘さんの淡々としたしりとりが思ったより精神的ダメージと成ったのには驚いた。子供嫌いではなかったはずだが、余裕が無くなっているのだろうか。

 更に2時間が経過、かなり体調が不調になってきた、正直立っているのが辛い。

 前日から激しい余震に加え、津波の映像、福島第一原発の事故などで思ったよりも消耗していた様だった。

 しゃがみ込み、肩で息をしたりした。

 パニックみたいな感じだろうか。

 店の人が折り畳みの椅子を貸してくれた、それに座っていると二〇分程で落ち着いてきたので店の人に返した。

 一時間程でようやく店の入り口が見えてきた。

 店の人の話でお一人様一品ずつとの事だった。

 後ろの列は既に最後尾にここまでしか売れないとなっており、品数が限られている以上より多くの人々に売る為には仕方がないと隣の小父さんと話題にした。

 外扉と内扉の間のスペースに台を起き、古いタイプのレジスターが二台で対応していた。

 購入したのは牛乳1リットル、玉子1パック、うどん一セット、レトルトご飯一セット、ミカンの缶詰一つ、お〜いお茶2リットル一つ、カロリーメイト固形小一つ、シリアルコーン一つ等である。

 これだけの物資があれば私は一週間は余裕で生き残れる、後は水だな。

 昨日は給水場で絶望的な行列の前に敗退したが、小父さん情報で泉浄水場には蛇口の数も多く二四時間使えるとの事なので機を見て取りに行く事を考えた。

 家に帰ってトースト一枚とベーコンステーキの半切れ二つとコーンスープの残りを食べた。

 食事中に会社の上司が来て、津波注意報も解除になったと云う事で明日は出勤となった。

 トイレの水汲みに困っていると云うと、実家の井戸で飲めない水が使えるからと云う事で有り難く戴く事とした。

 確かに少し臭うが問題はない。流せなくて詰まってしまったらお終いだ。一応一階にもトイレはあるが、上が詰まったら下にも影響はあるだろうし。




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