作者: アイングラッド

スーパーSF大戦
第23話
7/3 午前3時00分
 
ナデシコA、B・パート

 〇三一五時日本上空低衛星軌道
 星野ルリ・ナデシコAオペレーターは艦長であるミスマル・ユリカに地上監視複合センサーから得られた情報を報告した。
「艦長、第三新東京市上空から東京へ向けて攻撃です」
「スクリーンに出して」
「了解」
 ルリの両手のナノマシーンが煌めくと直ぐにナデシコのメインスクリーンに地上の光景が映し出された。
 画面の右下にカウントされている時刻のカウントが止まったかと思うと、見る見る巻き戻ってゆく。
「攻撃は二〇秒前に行われました。これですね」
 三〇秒前まで戻った画面が関東地方を一望出来る縮尺で表示されている。
 伊豆半島の付け根にある巨大な陥没火山の外輪山が一瞬光ったと思うと、一瞬だけ棒状の光条が東京の池袋へと伸びる。
 しかし、それも一瞬の出来事だったのでブリッジで観察していた艦橋スタッフには何がなんだか理解できなかった。
「ごめんルリちゃん。もうチョッと拡大してくれないかな。あと解説もお願い」
「ハイ、ではついでにスローモーションにしますね」
 表示されている時刻が先程まで巻き戻ると、画面は箱根から東京23区までを拡大した物に切り替わった。
 拡大された外輪山の上に青い四角形が確認でき、矢印の先に「5th Angel」と書き込まれている。
「では、実際のスピードの10分の1で表示します」
 真上から見ると、青い正方形の真ん中にぼんやりと薄く赤い発光が確認できた。
「第五使徒ラミエルからエネルギー反応を確認。この赤く発光しているのが『コア』と呼ばれるものらしいです。SS(エスツー)機関とか言うエネルギー発生器官だそうですが。同時に外周部分から高エネルギー反応が出ていますね。量子物理学研究用の粒子加速器の様な物だと考えられます。加速終了後東京方面へと荷電粒子が放たれました。加速開始から発砲までの所要時間は約五秒、事前に自衛隊から提供のあった過去のデーターとほぼ一致します」
 次に放たれた荷電粒子の先端部分が別のウインドウで開かれる。
「それから荷電粒子ですが、ご覧の通り、大気中の空気の分子と衝突しながら進んでいますので光速の100分の1と云う極めて遅いスピードで移動していますが、機動兵器で避けられる物ではありません、念のため」
「で、攻撃はどこへ向けられたの? これで見ると…新宿だから、都庁とか」
 先程の縮尺の大きい画面で大体の見当をつけたユリカは戦略上の重要な攻略ポイントを挙げてみた。
「いえ、どうやら使徒には行政機関とか、そういうものに対する攻撃は考えられていないようです」
 ルリは更に別のウインドウを開く。
「時系列に沿って説明しますと、小笠原近海での迎撃戦に於いて飛行物体を敵と見なした第五使徒は、その後、周囲を飛行するUAVなどに対しても攻撃を掛けるようになりました。よって現在、東北地方、関東、東海地方に関しては航空機の運用はすべて中止させられています」
「ふ〜ん。でも、じゃあ何が攻撃されたのかな?」
「ハイ、これは既に政府に対して報告していますが、実は使徒が日本本土上陸の報告があった数十分前なのですが、鹿島灘沖に出現した飛行物体が東京へ向けて飛行を行っていました。これが自衛隊のバッヂシステムにアンノウンとして認識されています。どうやら火事場泥棒みたいですね」
「へー、何処の組織の物なんだろうね?」
「現在のところ報告はありませんが…確認してみますか? 艦長」
「うん、気になるからね。メグミさん問い合わせお願いします」
「はい艦長、日本連合政府へと問い合わせます」





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