おまけ

萌え萌えVS.熱血バカ




 時はそう、ナデシコが隔離されてから2週間が過ぎた頃。
 ナデシコ乗員達もこの状況に慣れ初めてしまった頃のことだった。
 食堂が終わった後に恒例となった山田二郎主催のゲキガンガー上映会での事だ。
 いつものように熱血派のヤマダと萌え萌えのヒカルが自分の趣味主張で口論が始まった。
「だからぁー。絶対あのふたりは怪しいってばぁ〜」
「何を言う、天空ケンと海燕ジョーは拳と拳で語り合った熱き男達なんだぞ! それをバカにするのかよ」
「でもさでもさ、熱い拳を交わす内、通じてしまったふたりの心。友情以上の気持ちがふたりを包み。・・・あぁ、美しいわ」
「どっしぇ〜っ気持ち悪りぃ事言うなってんだよ」
「むぅ、この定番で納得できないなんて、ちょっとマニアックね。それじゃあアカラ×ケン&アキラ×ジョーならどうだ」
「だから、絶対そんな事有るか!」
「そうかなぁ、ガイって劇場版見たでしょ」
「ああ、当然だ」
「戦いに倒れたケンに思わせぶりな告白をして格納庫に走ったアキラを待っていたジョー、「行こうぜ、相棒」ってさぁなーんか、あ・や・し・い・なぁー。って思わなかった?」
「思わん思わん。なぁ、お前さぁ、男同士をくっつけてそんなに楽しいのか」
「すっごく楽しい!」
「チッ! まったくこれだから女の考えることは分かんねぇんだよ」
「ちょっとちょっと、そのセリフは聞き捨てならないわね。お耽美な男の人がめくるめく語りかける倒錯の世界・・・、いいわぁ。これが分からないの」
「さっぱり分からん、ってより分かりたくなんかないね」
「ほー、アンタにそんな事言えるのかなぁ?」
「どう言う事だ?」
「この前、ゲキガンガーのビデオ借りにガイの部屋に行ったでしょ」
「ああ、あっまだ返して貰ってないぞ。#「思い出は銀河の彼方へ」サファイアの出てくる回」
「あは、ゴメンゴメン。でさぁ、あん時ね? 本棚覗いたら色々本が並んでたでしょ」
「おうよ、昔から本屋を回ったり、人から貰ったりして集めたゲキガンガーのグッズだ。お宝だぜぇ! 何しろ一〇〇年前のアニメだからよぉ。もう何処にも売ってないんだよなぁ。ロマンアルバムなんて初版だぜ、初版。アレを手に入れるためオレがどれだけカネと時間を使ったか。幻のドラゴンガンガーの設定なんてアレにしか乗ってないんだぜ。2版以降は何故かカットされてやがんの」
「ハイハイ、でさぁ、中にさぁ凄く薄い本が何冊も入ってるのに気付いたんだけど」
「んー、多分パンフレットじゃねぇの? 劇場版の」
「ふ、ふーん。それで誤魔化されると思ってんのぉ〜? 私はこれでもコスミケの常連なんだからねぇアレはズバリ同人誌と見た!」
「ギクゥ! ん、ん〜? 見間違いだろぅ」
「絶対違うって言い切れるの?」
「当たり前だろ。そんな物持ってないぜ」
「ふ、ふーん。じゃあこれはガイのじゃないわよねー」
 ヒカルは背後に隠していた物を目の前に掲げた。
「あー、どこに行ったか探、・・・・ムグ」
「んー、なになに? 成人指定? 十八禁? Project GEKIGAN.アクアマリンの夜。どれどれ、バシッ『アクアマリン、貴女、ケンに馴れ馴れしいのよ、ふふ、お仕置きしたげるわ』『やめてくださいナナコさん。私たち女同士です』『ふふふ、上の口は』」
ワー!ワー!!ワー!!!! それ以上は読むな。頼むから
「ガイのじゃ無いのよね?」
「あ、あ、当たり前だろぅぅ」
「あ、そ。あ、アキトくぅん」
 ヒカルは厨房の片づけが終わって自室に帰ろうとしていたアキトに気が付き、彼を呼び止めた。
「なんすか、オレもう部屋帰って寝るとこなんスけど」
「アキトくん、ゲキガンガーの同人誌って読んだことある?」
「いえ、ないっスけど。一度見てみたいかなぁとは」
「じゃあハイ、これ貰ったんだけど私の趣味じゃないからアキトくんにあげる。」
「あ、人の物勝手に」
「んー?」
「な、何でもねぇよ」
「はい、どうぞ」
 アキトはヒカルから同人誌を受け取ると表紙だけ見て中身を確認しなかった。この場で確認していれば後の惨劇を防ぐことが出来たのに、運命って残酷ですね。
「わー、ありがとう。アクアマリンの夜。ふぅーん、アクアマリンの漫画かぁ、じゃあ部屋に帰ってから見さして貰うよ」
「ごゆっくり」 ニコッ
「それじゃあお休みぃ ハ、ふわぁぁあああ」
 アキトは大きな欠伸をすると眠そうな目をこすりつつ自室に向かった。
「アキトくん中見なかったけど大丈夫かなぁ。まぁ表紙に十八禁って書いてあったし大丈夫でしょう」
「ちぇっ、ブツブツ」
「まだ何か言うこと有るの?」
「今回はこれで許してやるけどな! ゲキガンガーは熱血なんだからな! オレはヤオイは認めん」
「ヘッヘッヘーだ。説得力ゼロだよーん」
「くそっ! 覚えてやがれ」
 山田二郎は負け惜しみを言うと、ゲキガンガーのビデオテープを掴んで走って逃げた。
「ふふふふ、V!!」
 彼女は高らかにVサインを掲げた。

 その夜、天河の部屋が血の池になったと言うことは秘密である。
 ちなみに後にアキトの部屋を訪れたユリカがそれを読んで、大声で泣き叫びながら艦内を走り回ったのは10日後の事だ。




むぅ、こんなのだったら2時間で書けるんだが。   本編が遅々として進まない。





日本連合 連合議会


 岡田さんのホームページにある掲示板「日本連合 連合議会」への直リンクです。
 感想、ネタ等を書きこんでください。
 提供/岡田”雪達磨”さん。ありがとうございます。

スーパーSF大戦のページへ






 ・  お名前  ・ 

 ・メールアドレス・ 




★この話はどうでしたか?

好き 嫌い 普通


★評価は?

特上 良い 普通 悪い