スーパーSF大戦


第16話 B−Part

 碇唯はパニックの中からようやく抜け出し、シェルターから地上のハッチを目指して上へ上へと登っていった。
 流石に研究所詰めの四〇代女性にこの階段の登りはきつかったらしく荒い息を吐いて扉の前に立ちすくんだ。
 そして大きく深呼吸すると呼吸を整えて扉に手を掛けた。
 重たい扉を開くと、そこはボロボロとなったビルの廃墟が立ち並ぶ都市となっていた。
 彼女は頭上で繰り広げられた激しい戦いの傷跡に恐怖を抱きながら町中へと足を踏み入れた。
 そこは戦いが終わった後にしては異様に静まり返っていた。
 本来ならば負傷者や瓦礫の撤去などの復興作業が始まっていてもおかしくない筈であるのに、一切の人工音が途切れたように無かった。
 時折崩れ落ちるビルの残骸の音が響く中、唯はGGGのあるビルへと歩き始めた。
 道路上には激しい争いによって飛散したコンクリートの欠片や元は自動車だった金属片が散乱していて大変に歩きにくかったが何とか見晴らしの良い駅前広場にでることが出来た。
 駅前のロータリーに巨大な足跡が残っていることが気になったが、取り敢えず彼女は周囲を見渡した。
 改めて良く見てみると、途轍もない惨状であった。
 ほぼ全てのビルは崩落するか、ヒビが入っており被害金額にすればどれほどの物か、さぞかし保険屋も大損害、かと思いきや戦争政変による被害にはカネは出さんと明記してあるので丸儲けであった。
 そんな中、小高い丘の方を見た唯の顔が引きつった。
 彼女がそちらの方を見ると、紫色のぼろを纏った蝙蝠の翼を持つ巨神がしげしげと唯のことを眺めていたからだ。
 距離的には3キロ近く離れているにもかかわらず、確実に初号機・・・それとも中にいるユイだろうか、彼女は唯のことを凝視していた。
 その視線の圧力は鼻先3センチで睨み付けられているような焦燥感を与えた。
 唯も大体の事情は推測していた、理性という枷を外したユイの心はのうのうと普通の生活を送っている唯に対して逆ギレしていつ又暴れ出すかも知れなかった。
 唯は出来るだけ建物の陰に隠れるようにして道無き道を進んでいたが、絡みつくような視線から逃れることは出来なかった。


 最初に初号機の異変に気付いたのはアスカであった。
 あれから連れて行かれた医務室を抜け出してメインオーダールームに来ていたアスカはシンジを取り込んだ初号機の動向を注意深く監視していたのだが、それまで特に目標もなくボーっとしていた初号機は視線を一点に注視すると目を細めだしたのだ。
 彼女は一般オペレーター用の補助コンソールにしがみつくとその視線の先を写す監視画像を呼び出した。
 するとその中には1人のオバさんがヨタヨタと道を歩いているのが見て取れた。
「ちょっと! 一般人が地上にいるじゃない」
「なにっ!」
 既に地上部の完全退去報告を受けていた大河長官たちはアスカの言葉に動揺した。
「何処だ」
「ほら、この画像だから・・・え〜と。もうっ! いまいちこのシステムに慣れてないのよね」
「オウ! それならワタシにまかせなさ〜い」
 焦るアスカを後ろから見ていたスワンは慣れた手つきでコンソールに指を走らせた。
 彼女のディスプレイにアスカの探した画面が表示されるとカメラ番号が表示され該当地区が表示された。
「現在位置ハ、カモメチョー3番地ノ目抜きドーリです」
 スワンが報告すると直ぐに大河は指示を飛ばした。
「よし、直ぐに諜報部へ連絡して身柄の確保だ。怪我をしている可能性もあるから救護班の手配も頼む」
「オゥケィ! 」
 スワンは直ぐに諜報部へ連絡を出した。


 スワンの連絡を受けた黒服の諜報部員達は手近な出入り口の近くにチームを集めた。
 実はこう云う敵の目前での隠密任務にはボルフォッグが最適なのであるが、彼も大破し修理中であることや、ロボットにばかり任せていては自分たちの存在理由が薄くなってしまう(主に予算面に反映されるわけだが)。
 彼らはエヴァの目を逃れるように住宅地を縫って進む唯の予想針路を予測し、彼女が近くを通りかかった時を見計らい彼女の前に姿を現した。
 ハッと息を呑む唯。
「大丈夫ですか。お怪我の方は」
「え、ええ。大丈夫です」
「では直ぐこちらへ。地上は危険です」
「ええ、・・・」
 唯は彼らの指示に従いその地下道へと潜り込んだ。
 完全に地下に潜るとリーダーが無線機を懐から取り出して本部へ連絡する。
「こちら救助班。目標を確保、ただちに救急センターへ移送する」
 彼がそれをしまおうとすると唯が彼に訴えた。
「いえ、作戦本部へ連れて行って下さい」
「・・・それは出来ません。さぁ早く行きましょう」
 彼は唯の云う事を無視し地下移動用の搬送用車輌に近寄った。
「さぁ、早く」
 かれは動こうとしない唯を見て部下に目配せした。
 彼の部下の内ふたりが唯の後ろから拘束しようとした。
「私はエヴァンゲリオンパイロット碇真司の母親で、エヴァンゲリオンの基本構造を知っています。早く連絡を取りなさい。このままではいつ又暴走を始めるか分からないわ」
 彼女がキッパリと言い放つとさしもの諜報部員達も躊躇った。
 確かに、上の方で現状に対して何も打つ手がないと言う情報は入ってきていたからだ。
 彼らは顔を見合わせるとリーダーの判断を待った。
 リーダーは少しの間沈黙を保っていたが、静かに口を開いた。
「まず確認をしましょうか。そのパイロットの氏名と年齢、生年月日を答えて下さい。」
「生年月日は西暦2001年6月6日。恐らく14才の中学2年生。名前は碇真司、血液型はA型、双子座のA型はAB型に少し性格が似ているけどそれ以上にA型の性格が出ているから・・・」
「そこまでで結構です・・・連絡は取ってみましょう。ですが医務へは向かって貰います。どのみち方向は同じですから。よろしいですね」
「ええ。ですが出来るだけ早くお願いします。さっきの様子からすると彼女の自我はまだ完全には目覚めていない、けど、いつ発動するか分からないわ」
「発動?」
「ええ、イデオンってアニメ知ってる? 唐突だけど全人類がこの世から消滅してしまうかも知れないって事です」
 この人もしかしてただの誇大妄想狂なのではと言う考えが脳裏をよぎったが、ともかく特級機密事項であるはずのエヴァンゲリオンパイロットの氏名を答えたのだ。
 現状打開の情報をここで潰してしまうわけには行かなかった。
 彼は取り急ぎ諜報部を握っている人物、猿頭寺チーフオペレーターへと連絡を取った。


 事態に対し手詰まりとなっていたメインオーダールームの面々は碇シンジの母親を名乗る人物の情報に飛びついた。
 3人の諜報部員にエスコートされてその人物はメインオーダールームへ姿を現した。
「エヴァンゲリオンのパイロット碇真司の母親と名乗るご婦人をお連れしました」
 アスカは、あのシンジの母親? もしそれが本当だとしたら一体どんな顔をしてるのかしら。シンジがあの髭親父に似ていないことは分かっているから凄く繊細な感じの女性なんだろうけど等ととりとめのないことを考えていたのだが唯の姿を見た瞬間驚きを隠せなかった。
 かの女性はシンジの母親と云うよりも綾波レイの姉妹と呼んだ方がしっくりくるような姿をしていたからだ。(くっ、これが母親? だったらとんでもない若作りよね)
 レイも唯の姿を見た瞬間、心臓が止まる様な衝撃を受けていた。
 又、それは唯の方でも同じだった。
 エヴァンゲリオンが存在すると云う事は、パラレルワールドより自分たちの関係者があれと共にこちらに現れたと云う事を理解していた。
 そして恐らくそのパイロットには自分の息子達がなっているだろうと言うことも。
 唯はおそらくここに来たパイロットは自分の息子の真司と同じ存在であると確信していたのだが、それが揺るがされた。
 この青い髪の少女は一体誰?
 自分にそっくりと言うことは、この子がシンジの別世界の存在なの?
 それを確かめるべく唯は慎重に質問を選んでレイに言葉を掛けた。
 それはごく簡単な質問だった。
「あなた・・・レイ?」
 レイはこの唯が自分の名を知っていることに二重の衝撃を受けた。
 何故このひとが私の名を知っているのだろう。私はこの人がエヴァに取り込まれた後、サルベージの失敗によって生み出された失敗作の筈。
 もしも彼女が本物だとしても私の名前を知るはずがないのに。
 レイは緊張で硬くなった表情で軽く肯くと口を開いた。
「はい、・・・レイです。碇ユイ博士」
 やはりこの子の名前はレイであった。あの人が男なら真司、女なら澪と言っていたのを思い出したからその名を出してみたのだが。
 じゃあ、やはりこの子が私の子供なの? しかし、そこに至る思考に唯は違和感を感じていた。
<でも何か変、何か見落としている、一体なにを>
 唯は急いで今までの会話などに違和感を感じた事をピックアップし始めた。
 そして、その中に違和感の正体を見つけた。
 彼女がここに連れてこられたとき何と呼ばれたか、何故私がここに通される許可が通ったのか。
 私は「エヴァンゲリオンのパイロット碇真司の母親です」と名乗り、そしてここに通されたときも「エヴァンゲリオンのパイロット碇真司の母親と名乗るご婦人をお連れしました」と言われて入ってきた。
 と言うことは碇真司は確かに存在する。
 とすると、目の前のこの少女の正体がますます分からなくなってしまった。


「初めまして奥さん、わたくしはこのGGGの長官を務めています大河幸太郎です」
 大河長官はバタ臭い笑顔を向けながらフェミニストモードで唯に近付いた。
「初めまして、私は碇シンジの母親に該当する人間です」
 改めて本人の口から唯の言葉を聞いたメインオーダールームの面々は驚きを隠せなかった。
 この綾波レイと云う少女に良く似た容姿の女性がシンジくんの母親とは。
 しかし、アスカはなんとなく納得出来なかった。
 彼女がシンジから聞いていたシンジの家庭環境とは異なっていたからだ。
「シンジのママは亡くなってた筈よ。貴女がシンジのママなんてのはウソだわ。アンタ一体誰なの」
 アスカの真剣な眼差しを受けて唯は事情を説明した。
「ええ、そう。確かに私はあなたの碇シンジの母親じゃないわ。それは事実」
「ハン、やっぱり偽物なのね。一体何を」
「ちょっと待って頂戴。・・・ふふ、そうやって直ぐに結論を出そうとする所とか、響子に良く似てるわアスカちゃん」
「ママのこと知ってるの?」
「ええ、私が知っている真司の幼なじみの惣流明日香ちゃんの母親は私の親友だもの」
「私とシンジが幼なじみ? 何言ってるのよ。私は・・・・・・」
「最初に言ったでしょ、私は碇シンジの母親に該当する人間、私の世界では真司と明日香ちゃんは仲の良い幼なじみなの。つまり私は碇シンジくんの母親に該当する別世界の人間よ」
 アスカは多少ビックリしていたようだが第3新東京市であった出来事を思い出し納得した。
「そう・・・、そうだったんだ。じゃあこの世界にママとパパは」
「来ているわ、私達の息子碇真司と別世界のあなた惣流明日香ちゃんもね。会ってみる? 自分と同じ人間に会う機会なんて滅多に無いし、もしも来るなら家族総出で歓迎するわよ」
「・・・・・・・・・絶対イヤ・・・、だって・・・もしもうひとりのアタシが私より幸せそうだったら、今まで何のためにアタシは必死で努力してきたのか分からなくなるもの。私の今までの努力が無駄だったなんて思いたくないの」
 ここ最近の彼女の心情の変化がアスカにして消極的な態度を取らせていた。
 決して朗らかな碇司令の姿を思い浮かべて怖気が走ったから何て云う訳ではない。
「そう、シンジくんも同意見かしら」
「多分ね。もしも小母さんの子供達が私達より行動力があって包容力があって人間的に優れている何て事になったら。死にたくなるわ」
「そうなの、そうね。」
「でも・・・・・・本当に死ぬよりはマシな気もするけど。・・・アタシ、シンジが助かるなら」
「気にしないで頂戴。さっきのは呑気なただのオバさんの言葉だから。そうよね、私だって自分が確立されていなかった思春期にそんな目に会わされたらアイデンティティの危機だったと思うわ」
 唯はそう言いながら慈しむようにアスカの頭を撫でた。
 一瞬、頭を撫でられると云う屈辱的な仕打ちに激怒し掛かったアスカであったが、何故かその暗い感情はスゥっと消え果てて暖かい感触が彼女を包み込んだ。
 今まで味わった覚えのない感触に何故か自分でも不思議なまでにアスカは心を開いてしまった。
 さて、そんなふたりの様子を温かく見守っていたGGGのメンバー達であったが、流石に時間的に焦りが出てきた。
「ウオッホン、よろしいですかな、え〜と」
「碇唯です。一応第3新東京大学で教職を取っていますから、碇博士で構いません」
「そうですか、では碇博士、アナタがあのエヴァを作ったのですかな」
 すると唯は首を振ってそれを否定した。
「いいえ、私の世界ではあれは建造しませんでした。ですが基本理論と構造は私が設計した物と同等の筈です」
「フム」
「とにかく現状を教えて下さい。でなくちゃ対策の打ちようがないですからね」
 唯はここでエヴァンゲリオンの解析を担当している獅子王博士から現在の状況の説明を受けた。
「・・・・・・やはり過剰シンクロによる操縦者の溶解現象が発生していますね。でもそれだけじゃあの形態になるはずがないのですが、他に何か要因は無いのですか」
「うむ、実はシンクロ率の上昇のためLCLの代用品である衝撃緩衝剤からリンカージェルという古細菌による神経伝達率増幅を行っていたんじゃ。それから記録からするとシンクロ率上昇の直前に飛び込んできた彼の火蜥蜴達が一緒に溶解している様じゃな」
「火蜥蜴?」
「ああ、アスカちゃん。呼んで貰えるかな」
「ええ。おいでブロンディー」
 アスカが虚空に呼びかけると彼女の3匹の火蜥蜴と一緒にレイの火蜥蜴達が姿を現した。
 彼らも主人達の心に触れて物凄く不安だったのだろう、直ぐにアスカの両腕と首に尻尾を巻き付かせて赤く光った虹彩をグルグルと回した。
 彼らの心から伝わってくる不安にアスカは心を痛めた。
 それを少しでも解消して上げようとアスカ(とレイ)は3匹の火蜥蜴に撫でつけ頬ずりした。
 彼女たちのそんな行動を黙ってみていた唯であったが、かなり驚きがあった。
「今、テレポーテーションしてなかった?!」
 そんな様子を見てGGGの面々も分かる分かるといった感じで肯いた。
 彼らも慣れてきてはいたがどうやってこの生物が瞬間移動しているかは皆目検討が着いていないのである。
「でも、その子達も一緒にって云う事は。もしかしてあのエヴァンゲリオンもテレポート出来るなんて・・・」
 唯は絶句した。
 しかも彼らは知らなかったが火蜥蜴のテレポーテーションは場所だけでなく時間軸の移動も可能であったのだ。現在のエヴァンゲリオン初号機はマジンサーガに出てくるマジンガーと同じくらい強いかもしれない。
 唯は説明を受けた後、GGG機動部隊の整備に掛かり切りになっている牛山隊員を除いてエヴァ対策会議を始めた。
 その中にはリンカージェルシステムの搭載責任者である都古麻御もいた。
 ここでTV版のエヴァのように勝手に停止してくれれば問題ないのだが、ここはそうも行かなかった。
 その為、唯はエヴァに取り込まれたシンジの救出を第一として作戦を考えた。
 もちろん過剰シンクロの中心となったシンジを救出することで暴走しているエヴァンゲリオンを止めることが出来るかも知れないと考えたこともある。
 唯はエヴァに投入するサルベージプログラムを組み上げるべく人材と機材を集め始めた。


   ガチャッ
<はい、惣流です>
「響子? 私よ、唯」
<唯、無事だったの? 良かったぁ〜、源兄ぃが唯になんかあったって言って大騒ぎしてたから凄く心配してたんだから>
「・・・そんなにあの人心配してた?」
<そうよ、源兄ぃがあんなに取り乱してるのなんて初めて見たんだから。あ、ちょっと待ってね。明日香、唯から電話が掛かってきたって源道さんと真司君に伝えてきてくれない? −−−−−−−−ありがとう。あ、で、どこまで話したっけ>
「あの人が取り乱してたって所」
<そうそう、もう今にも走って東京に行く感じでね。で、何か用があるんじゃないの? じゃなけりゃ源兄ぃより先に私に電話する筈ないもの>
「うん、実はアナタが作ってた映像を直接視覚野に投影するためのプログラム有ったわよね」
<あるけど、まだ実験段階だし、基本的に部外秘なんだけど>
「それを持ってGアイランドまで来て欲しいの」
<何に使うの?>
「シンジくんをね助けたいのよ」
<真司、クン? アナタがクン付けするなんてどう云うこと?>
「別世界の自分の息子、私のお腹を痛めた子じゃないもの。私のものみたいに扱ったら彼の母親に恨まれちゃうでしょ」
<ああ、そう言うこと。・・・分かったわ。>
「ゴメンね」
<いいのよ、例え別の世界の、とは言え自分の息子になる予定の子の事でしょ。他人事じゃないわ。フフフ>
「それもそうねフフフフ」
 彼女たちは母親同士で結ばれた秘密協定に基づく謎な含み笑いを浮かべた。
 その時電話機の向こうから騒々しい物音が聞こえてきた。
<あら、アナタの愛しい人が来たようよ>
<唯ぃぃぃ〜!! だだだ大丈夫なのか? 無事か? 怪我はないか? どうなんだ? なんとか、う〜、かんとか!>
「ちょ、ちょっとアナタそんなに慌てなくても私は怪我ひとつありませんよ」
<・・・・・・むぅ、そうか。問題ない>
「それより、私の方は帰りが少し遅くなる予定です。響子に着替えとか持ってきて貰いますからアナタはきちんと部屋の片づけとか食事とかとって置いて下さいね」
<どうしたのだ! やっぱり怪我を>
「だから、エヴァ関係の事です。どのみちこのまま放って置くわけには行きませんから」
<そうか、分かったよ唯。気を付けてな>
「家のことは頼みます。・・・・・・この前の慰安旅行から帰ってきた時みたいに家の中がなっていたら・・・もう口をきいて上げませんからね」
<分かった。気を付けよう>
「頼みましたよ、あ、響子に代わって下さいな」
<・・・ああ、> ガチャ
<唯? もういいの? >
「ええ、じゃあ例のプログラムを持って横浜まで来て、そこからは〜〜〜GGGの人が迎えに行くから携帯に電話入れて頂戴」
 連絡を終えた唯は受話器を置き次の相手に電話を掛けるべくテンキーをプッシュし始めた。
「さぁ〜て、と。次は今度の作戦に不可欠なコンピューターシステムの人材と機材・・・、と言えばやっぱりMAGIシステムの赤木さんよね。え〜と確か今はSCEBAIで共同研究中だった筈」
 ちなみに現時点に於いて最も処理能力が優れた電子頭脳と言えば幾つか有るが能力最優先で云えば3つの協議システムによる第3新東京大学の赤木奈緒子博士のMAGIシステム(ちなみに赤木奈緒子博士が存命のため、こちらのMAGI の方が性能が良い)、単体の性能で云えばSCEBAI人工知能研究所のニューロンコンピューター群(AYUMI,YURIKAシリーズ等)、記憶容量で云えば無限情報サーキットのGストーンを持つGGGが有利である。コンパクトさで云えば人間並みの人工知能を等身大の機体に詰め込んだ来栖川製のニューロコンピューターが最も優れている、とそれぞれに特長があった。番外として民間で独自に人工無能を開発した成原博士と云う人物もいる。
 まだ本編には時系列的に登場していない第18話登場の思兼シリーズ(初代思兼、思兼二代目、少彦名(スクナビコナ、オモイカネの後継機種<仮名>)の3台)も火星人の発掘技術という点を除けばこの世界に於いて最高の性能を誇る人工知能のひとつの頂点である。
 唯は赤木奈緒子博士の協力を得るべく連絡を取ったが、残念ながら本人の協力は得られなかった。
 しかし、MAGIの使用許可と彼女の一番弟子たる伊吹摩耶博士と愛娘で高校教師(でアマチュアマッドサイエンティスト)の赤木理津子を応援に貰うことが出来た。
 後にこのメンバーが再結集して人造オリハルコン(積層光分子電子回路)の開発チームを作ることになるわけだが、それは余談である。ちなみに原型となったのはナディアが持つ神造オリハルコン、通称ブルーウォーターである。
 響子と奈緒子に連絡を取った唯はメインオーダールームに戻った。






 皆さんお待たせしました。
 第16話B−PARTです。
 ちなみにもうC−PARTもHTML化してアップロードするのを待つばかりです。
 感想メールが10通来るか1週間後に発表します。
 やっぱり反響が大きければそれだけ待っている人が多いって事だし。待たせちゃ悪いですよね。
 と言うワケで、簡単で良いから何か感想をプリーズ !

 失礼しました。






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