スーパーSF大戦


第15話 C−Part.


 バッジシステムを再構成中の自衛隊ではレーダー監視網の設置と、自衛隊間の連携作業体勢の構築が急がされていた。
 そんな最中、近代化兵装を施された打撃護衛艦「ナガト」は実弾訓練を終えて横須賀へ寄港中に御蔵島の東方を北上中の未確認飛行物体を感知した。
 ナガトからの連絡を受けた海上自衛隊は航空自衛隊に連絡しF−15をスクランブル出撃、E−2C早期警戒機、RF−4EJを警戒に上げた。
 しかし、未確認機(アンノウン)の日本領空外立ち退きを勧告しに行った2機のF−15は未確認機によって撃墜されてしまった。
 今、航空自衛隊と海上自衛隊、そして陸上自衛隊は最高司令官である加治首相の元、迎撃体勢を整えようとしていた。
 そして、ここGアイランド地下のGGG基地に於いても、未知の敵の侵攻に対してGGG機動部隊の出動準備が始められていた。
 ウルテクエンジンを搭載した為機動性が向上し、尚かつGSライドの小型高出力化が進められた為に彼らGGG機動部隊の戦力は以前にも増して増強されていた。
 また新兵器として開発された物がふたつあった。
 ディバイディングドライバー使用時に効果半径内に於いて歪曲空間が残っていた場合に対処するため開発されたのがディメンジョンプライヤーである。
 これはGGGが時空融合現象の原因を究明している際に一部解明されたD兵器の作動原理を応用した物で、あらゆる時空の歪みを矯正する能力を持つ。
 彼らは3体のロボットが合体し、ペンチ型は歪曲空間修復機として、直列したスパナ形態は突撃用として使われている。
 ただ、彼らのAIは時空の歪みを修正するためのプログラムに大部分を占められているため人語を解することは出来るが機械語しか喋ることが出来なくなっていたのだ。
 もうひとつはガオガイガーの必殺技「ヘル・アンド・ヘヴン」に代わる必殺のツールとして作成された「ゴルディオンハンマー」だ。
 ヘル・アンド・ヘヴンはガオガイガーの破壊の右腕、守りの左手から発せられた正反対の性質を持つエネルギーを敵に放ち攻撃する技である。
 しかし、それはガオガイガーの本体であるガイガーにフュージョンしている凱に対して多大なる負荷を掛けていた為に早急に対処する必要があったのだ。
 ゴルディオンハンマー、それこそはこの世のあらゆる物質を光に変換消滅させてしまう究極の兵器である。
 外見は巨大なピコピコハンマーであるのに対してその本質は限りなく危険であった。
 勇者達は三段飛行甲板空母に乗り込むと出撃の時を待った。


 E−2C早期警戒機は伊豆大島上空を旋回していた。
 彼のレーダー探知能力で有れば未確認飛行物体を有効範囲に捉えるには充分な距離であったからだ。
 現在、未確認飛行物体は三宅島の東方高度五〇メートルを速度五〇キロメートル毎時にて北上中。
 それに並走するようにナガトを中心とした護衛艦隊が距離五〇キロを取って全速力で航行中であった。
 そして航空自衛隊のRF−4EJ偵察機が機種に搭載した光学カメラと電送用の電子カメラにて未確認機を偵察すべく接近中であった。
 F−4戦闘機からすべての兵装を撤廃して偵察専用機に改造されたRF−4EJ偵察機は未確認機を刺激しないように慎重に接近していった。
 そしてそこに見えた物は、彼ら飛行機乗りにとって想像外の形状をしていた。
 それはまるで土俗の古代文明で人と動物を模して作られた神像のような形であった。
 上半身は筋骨隆々としていて、首のある位置には平たい顔に目と鼻を模したような三つの穴が開いている仮面のような物が付いていた。
 胴体の中央にはウルトラマンのカラータイマーのような、如何にもここが弱点ですと言わんばかりの赤い半球が輝いていた。
 そして両腕の位置には折り畳まれた長い紙ような物が付き、両足はここまで作った子供が飽きて放り出してしまった様な物が付いているだけである。
 RF−4EJ偵察機が撮影した映像は直ちに航空自衛隊に電送された。攻撃を受けた以上敵であることは明白なのだが、異なる文明を持つ物に対して単純な物の見方は危険である。
 未だに敵味方の勢力がはっきりしていない社会状況である以上、敵に回さなくて良い勢力を刺激する必要はない。
 しかし、既に味方2機を撃墜されていた航空自衛隊のパイロット達、航空自衛隊隊員達は攻撃の為の出撃準備を進めていた。
 日本連合政府は彼らの知りうる全ての言語を用いて警告を発した。しかし、未確認飛行物体は警告なぞ素知らぬ顔で飛行を続けたのだ。
 ここに至って日本防衛の最高司令官である加治首相は迎撃を決断した。
 また、国際法を熟知した外交官や人類学、社会学者ら有識者からなる委員会も情報不足と云う注釈付きながら当該機が日本国土を侵略する敵性体であるだろうと言う判断を為していた。
 後に云う第二次使徒防衛決戦の始まりであった。


 15時、アスカは自室のベッドの上で3匹の火蜥蜴達と一緒にグースカピーと昼寝をしていた。
 その為、日本政府の元に発令された警戒宣言を聞き逃していた。
 もしも彼女がそれを聞いていたら、エヴァに乗せない為に直ちにシンジの身柄を確保した後シェルターへと避難していただろう。
 数時間後、彼女は深い後悔の念を持つことになる。


 最初に火蓋を切ったのは復讐に燃える航空自衛隊であった。
 彼らはもともと在庫の少ない弾薬を掻き集めて要撃任務に就いていたF−15とF−4EJに最大の搭載量を積み、支援戦闘機(攻撃機)F−2と退役しつつあったF−1にも対空ミサイルを搭載し攻撃編隊を編成し南方へと進撃した。

 要撃部隊は、敵機の攻撃兵装がエネルギービーム兵器である可能性が高いことから水平線に隠れているとは言え都市部への被害を最小限に止めるために房総半島を太平洋岸側に越え、北東方面から攻撃を始めた。
 既に敵機はE−2C早期警戒機によって完全に捕捉され、照準は外しようがなかった。
 第1段はF−2支援戦闘機から放たれたスパローミサイル10発であった。
 スパローミサイルはレーダーに導かれ東北東の方向から敵機に襲いかかった。
 的がでかく、極めて低速であったため10発のスパローミサイルは全弾が命中した。
 それをレーダーで捉えていたE−2C早期警戒機の管制室と首相官邸地下に置かれた総合指揮所では歓声が沸き立った。
 少なくとも人類が作り上げた兵器であの爆発に耐えられる物は、スーパーロボットの中でも特に耐久性に優れた物かバリアーシステムを搭載した物以外にいない。
 つまり、もしこれに耐えられるような代物だとしたら、未だに編成の準備段階でしかない彼ら(大半が民間研究所に所属する)に迎撃を依頼するほか無いだろう。
 しかし、編成が決定されたとは言え、民間に所属する攻撃兵装を法律の規制以外に運用することは出来ない。
 勿論、彼らの世界では必要に迫られて開発し運用されてきたスーパーロボットであるが、この日本連合では立案が急がれているが未だにスーパーロボットを戦闘で運用する法律は発令施行されては居なかった。
 現在、政府の管轄下に置かれていて運用が可能なスーパーロボット達はSCEBAI所属のARIELとGGG所属の最強勇者ロボット軍団とエヴァンゲリオンのみであった。
(沖縄女子宇宙軍付属学校のマシーン兵器は搭乗者が軍属とは言え未成年のみであったので、現在は訓練のみ行われている)
 その他のスーパーロボット達は所属基地の防衛以外の出動は凍結されていた。
 ちなみに新ヤイヅCITYで参戦していたマジンガーZは事前に移動運用の許可を取っていた為に移動途中で戦闘に巻き込まれた事として認定され、スーパーロボット運用のテストケースのひとつとされてた。
 さて、スパローミサイル10発の洗礼を受けた敵機だが、着弾による電波の乱れが収まった後もその光点は健在であったのだ。
 それを確認した空自の幹部は息を飲んだ。
 先の攻撃は航空機による攻撃でも一度に行える全力攻撃であったからだ。
 あとは回数をこなすしか道はないのだが、RF−4EJ偵察機から送られてきた映像を見る限り、一切の損害を受けていなかった。
 これを見て空自は第2次攻撃を断念した。
 無論現場からは攻撃続行の要望が届いていたが、最高司令官たる加治首相はそれを押し止めた。
 本来なら海岸に近付いたところで攻撃力の大きい地対空ミサイルによる攻撃に移るのだが、今回は敵に張り付いている打撃護衛艦隊による攻撃が敢行されることになった。
 打撃護衛艦ナガトの艦橋にはデーターリンクによりE−2C早期警戒機より海自経由で送られてきたデーターにより敵機が表示されていた。
「敵の正体は不明なのだな?」
「はい。敵は空自のスパローミサイル10発の攻撃を受けながらも一切の損傷を受けていないとの報告が」
「そうか、ならば我々の最大の火砲を持って攻撃する他あるまい。第1主砲の射程距離はどうだ」
「はい、相対距離は約50キロ。到達時間から計算すると約55キロとなります」
「分かった。それでは滑空誘導撤甲弾射撃準備」
「は、滑空誘導撤甲弾射撃用意」
「間接射撃準備、射撃コンピューターにデーターリンク。弾頭誘導コンピューターに目標データーを入力。射撃可能になり次第順次斉射」
「はい、データーリンク準備良し。いつでも行けます」
「甲板員に警報、避難確認」
「既に甲板上の安全確認は終了しております」
「そうか、良し。撃て!」
 艦長の号令とほぼ同時に甲板に主砲発射のブザーが鳴り響いた。
 そしてその後、ズシンと響く衝撃と共に1発の砲弾が打ち出された。そして約20秒後に更に1発と続けて発射された。
 打ち出された誘導滑空撤甲弾は旧海軍と同じように水中弾の効果を持たせる為に先端にコーンと呼ばれるキャップが付いていた。
 誘導装置はそのコーンに内蔵されており弾頭に付けられた安定翼を操作する事により軌道を修正する。
 高初速で打ち出された弾頭は、高度2万メートルに達し、頂点から重力に引かれてスピードを増速、その運動エネルギーは想像を絶する物だった。
 ナガトから打ち出された撤甲弾頭は水平線を飛び越えてその向こうを移動中の目標に対して接近した。
 レーダーTV誘導範囲に突入した弾頭は安定翼を修正し敵の斜め上方から突き刺さった。
 その着弾の瞬間をRF−4EJ偵察機のカメラが捉えていた。
 その1トンを越える重量の弾頭は重力加速度により増速していた。
 だが、着弾のその瞬間、敵はオレンジ色に光るATフィールドを展開し、その凄まじいばかりのエネルギーを跳ね返した!
 少しよろめいただけの敵であったが、続けて着弾した2発目が着弾した時にはその威力を相殺しきれずオレンジ色の障壁にヒビが入った。
 約30秒ごとに計10発の弾頭の直撃を受けたATフィールドは遂に屈した。
 そして11発目の弾頭はその間隙を突き敵本体に突き刺さった。
 直撃を受けた敵は着弾の衝撃によろめき、海面に叩き付けられた。
 途端に中央司令室に歓声が沸き上がった。
 その実力が疑問視されていた旧軍からの移籍艦艇が自衛隊の火力を物ともしなかった敵に一矢報いたのだ。
 これにて一件落着かと思われたのだが、その敵は肩の付近からくすんだ煙を上げつつ再び海面から顔を出したのだ。
 そして12発目が接近しつつあるのを感知した敵は、その方角にむけて荷電粒子砲を発射した。
 空中で撃破された鉄鋼弾の破片が虚しく降り注いだ。
 敵は50メートルまで浮かび上がると砲弾の飛んできた方向を探したが、ナガトの姿は水平線の向こうに隠れており見つからなかった様だ。
 もちろん高度を上げればバレバレなのだが、彼はそれに気付かなかった。
 苛立った様子の敵はナガトの方向に向けて荷電粒子砲を放った。
 だが、地球は丸みを持っている。
 それは水平線をギリギリ掠めるとそのまま直進した。
 質量を持った弾頭と違ってビーム兵器は直進しかできない為、地上では有効射程が限られてしまうのだ。
 ビームは艦隊の上空を通り過ぎてしまった。
 しかし、全くの無駄では無かったのだ。
 荷電粒子砲のビームから分離した核爆発時の電気パルスを遙かに凌ぐ強力な電子の塊が艦隊の電波探知機や通信機の全てを焼き切ってしまったのだ。
 火薬庫に誘爆しなかっただけ幸運と言えるのかも知れない。
 もはや艦隊には第2次世界大戦時と同じ射撃管制しか出来なくなっていた。
 敵はもはや反撃の気配が無くなったことを感じると、ナガトを完全に無視して本来の目的地へと向かった。




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