瀬戸内海に面する呉、ここは明治維新後の海軍創設以来日本の海軍力の母港として栄えていた。
 ここの海軍廠直轄の軍港には数々のドックがあり、様々な艦種のフネが生み出されていった。
 その中でも最も大規模な造船ドックにて戦艦「A−140」は建造されていた。
 この時空統合の時点で既に艦体は進水式を行えるまでに完成していたが、今回の騒ぎにより艤装直前で工事はストップしていた。
 第2次世界大戦後の戦訓により、電子戦装備を施されていないただの戦艦は射程距離の短い実用的でないフネに過ぎないことが判明していた。
 しかし湾岸戦争時のミサイル母艦としての役割やエマーン派遣艦隊での迎撃戦、その戦訓から護衛艦隊の被害を集中して受ける役割を担当する目的として強固な装甲が役に立つ事、優秀な防御兵装の搭載が可能になった事からステルス性を向上させたイージス戦艦に設計変更する事で日本のシーレーンを守る事が可能であるとされたのだ。
 その為、艤装直前の超々弩級戦艦「大和」を護衛艦隊の被害想定担当の対空打撃特大型護衛艦「やまと」として艤装を行う事が閣議決定された。
 新・艦政本部設計立案によるその仕様を以下に示す。

1.主機関:
・トカマク型核融合炉+神崎重工式蒸気タービン4基4軸・発電用タービン 可変ピッチスクリュー採用により最適値にて航行可能。最高速度35ノット
2.補助機関:
・ディーゼルエンジン+発電器
3.兵装:
・主砲46センチ45口径3連装砲2基計6門(水上目標に対する砲戦は想定され難いため門数を削減された)
・多目的VLS(垂直発射式口径変更型誘導推進弾発射管)30基(内6基は煙突ミサイル)
・20センチ荷電粒子砲 1基
・30ミリバルカンファランクスCIWS 10基(内移動射撃台6基・普段は装甲シャッター内に格納されている)
・20ミリレーザーファランクスCIWS 17基(壁面埋め込み型)
・対潜アスロック投射機 6基
4.装甲:
・NMC甲板+衝撃吸収材+対レーダー耐レーザー用セラミック防御板+レーダー波吸収塗料
・バルジ部発泡材充填。
5.艦形:
イージス艦の様に傾斜装甲を採用しステルス性の向上を図る。
その為、前鐘楼を廃止し船体と一体化し、水平線に紛れ込む効果を施した物に変更。
6.探知機:
・電波探知機(通常型・3次元レーダー・超水平線レーダー)
・水中音波探知機
・水中聴音機
・無人偵察機
7.囮装置:
・電波発信機
・光学偽影投射装置
・熱線投射装置(フレアー)
・疑似音波発生器
8.その他:
・耐レーザー塗料:青色レーザー反射用に群青色をしている。
・船体冷却用水噴霧装置:日光や光線砲等の攻撃により船体の加熱から赤外線を発生させ敵の攻撃目標となってしまう為、水が蒸発する際の吸熱効果を利用した気化熱冷却装置である。
・艦底気泡発生器:バルジ部の拡張に伴って船体に掛かる抵抗が増大した事から、水中抵抗の軽減を目的とする。
 艦底に無数の気泡を発生させて海水の抵抗を減らすことが出来る。
・操舵用電磁推進器:電磁推進実験船ヤマト−1で実験された六管型内式電磁推進器の強化版を艦首に4基、艦尾に4基(何故6管なのかと言えば、6管それぞれに発生する強大な磁場を相互に打ち消すためである。装置外部に漏れ出す磁場は地球上の自然界と同等である。)これにより、静止時に360度ターンが可能。
・ロボット乗員:人的不足を補うため、ロボットを補助要員として採用。来栖川重工製
@HMX−12b−JSDF:Multi−type・生活班
AHMX−13b−JSDF:Serio−type・航法班整備班
上記機種はロボット3原則を遵守している為、直接の戦闘行為を行う事は出来ない。

   以上が最も冒険的と後世に評価された自衛隊史上最初で最後の戦艦の基本設計である。




スーパーSF大戦


第14話 くろがねの体<後編> a−Part.




 今日は平日、3人のエヴァチルドレン達も学校へ行かねばならない日である。もっとも本人達にとって学校とは自分が生きていることを実感できる貴重な場所であるのだが。
 現在時刻午前6時、普通の中学校の生徒ならクラブの朝練に参加する意気果敢な者達を除いて布団の中で惰眠を貪っている時間帯であるのだが、この3部屋の主夫を自認する碇シンジは既に起き出していた。
 彼は起き抜けに水をコップ一杯口に含むと、眠気覚ましに洗面所へ行き顔を洗った。
 そこで彼を布団へと誘おうと頑張る睡魔に別れを告げ、彼の日々の戦場たる台所へ向かうと今朝の朝食と昼の弁当の用意を始めた。
 シンジはふと気付きテレビに近づくと、チャンネルを捻りいつもの放送局を映し出した。
 すると丁度番組が始まったばかりのようで、軽快な音楽と共に番組タイトルが歌われた。

『朝のおはやうモーニングゥ!』

 台所に戻ったシンジの耳に司会の男性が本日の日付と曜日を行っているのが聞こえてきた。
 それを聞き流しながらフーンフンと鼻歌をもらしながらシンジは料理に没頭していた。結構幸せな時間なのだろう。
 彼の料理には一切の手抜きがなかった。
 そう、彼の存在がなければこの世界に来たエヴァチルドレンは酷く悲しい生活をしなければならなかっただろう。
 それはさて置き、前夜に仕込みを入れていたお陰で、物の数分で準備の整ったシンジは2人を起こしに行く7時までの時間、テレビの前に座って過ごしていた。
『本日は新焼津市からの生放送です。さぁて、今日のスペシャルゲストはこの方です、星野スミレさんようこそぉ』
『皆さんおはようございます、星野スミレです、よろしくお願いします』
 彼女の顔を見た時、シンジの表情に軽い驚きが浮かんでいた。
 新人アイドルならともかく、大物アイドルが若者の視聴率の低いこの時間帯の番組に出演するのは珍しいことだったのだ。
『それでは本日一番のニュースです。まず始めに、先日政府首脳会議で決定されました中華共同体との貿易問題について加治首相は次のように発表しました・・・』

 シンジは時間まで熱心にニュースを見ていたが、いつもの様にふたりのお姫様を起こそうと両隣の部屋へ向かった。

 午前8時半、カモメ第1中学校2年1組にて。
 朝礼が始まる直前になって初野アヤメが椅子をクルリと回してシンジの方を向いた。
「あ、シンジくんおはよう」
「おはよう、初野さん」
「ちょっとぉ、私のことはアヤメって呼んでって言ってるでしょ」
「あ、ごめんねアヤメさん」
「もう、」
 シンジはごく気軽に挨拶を交わしただけであったが、アスカとレイの視線がなぜか痛かった。
「で、何かあったの? 何か教室内が騒がしいけど」
「あ、やっぱり聞いてないんだ。それじゃ私が一番に話すワケね」
「うん、多分そうだと思うけど」
「よしよし、へっへっへー実はね、今日このクラスに転校生がやってくるんだって」
「へーっ、ここの所立て続けじゃない?」
「そうよね、碇くんやアスカとレイが越して来てからだから約1ヶ月くらいだっけ? 」
「あれ、もうそんなに経つっけ? 早いなぁ」
 シンジは感慨深く肯いた。
 この世界へ飛ばされてきてから、それは色々とあった。
 特にアスカの心情が劇的に変化したのが大きい、ただし表面上は相変わらずであったが。
「それでどんな子なのかな、可愛い子だと良いけど・・・うっ」
「シンジィィィィィィィ」
 それまでアヤメと楽しそうに話すシンジを見て嫉妬の炎を内に秘めていたアスカは、その恐れを知らぬセリフと共にシンジの後に回り、彼のコメカミに握り拳を押しつけた。
「可愛い子だと、何が良いのかしら」
「え、えっと、そ、それは・・・」
「うんうん、それは?」
 ここでシンジの脳裏に電灯が点ったような閃きが走った。
「それはもちろん、か、可愛い子が増えればアスカに惹かれる奴が少なくなるからさ」
「えっ・・・(赤面)」
「おおー、シンジくん言うじゃ〜ん。熱いよ、コノォ!!」  バキッ!!
 プロレスに熱中するアヤメの日頃の訓練で鍛えられた鉄の肘がシンジの脇腹に決まった。
 顔に縦線を入れたシンジは無言でうずくまった。
「って、ああゴメン、大丈夫?」
「え、ぅうん。大丈夫」
「ちょっとアヤメ、少しは手加減なさいよ。」
「なになにぃ」  ニィーっ
 アヤメは少し人の悪い笑みを浮かべるとアスカに顔を近づけた。
「つまり『私のシンジに手を出さないで』って事ぉ?」
「な、・・・・・・フフン、ちょっと違うわね『私たち』の、よ」
「えっ・・・」
 正直なところ、予想外のセリフがアスカの口から出てきたのでアヤメはびっくりした。
「それって」
 アヤメはアスカを指さし、自分を指さした。
「アスカと私のこと」
「ちっがぁ〜うっ!! アタシとレイに決まってるじゃない」
「あ、なぁんだ。つまんないのぉ」
「全く、アンタは油断も隙もないんだから」
「へっへっへ〜」
 そんなこんなで朝のホームルームはいつもより騒がしい雰囲気の中で、5分遅れで始まった。
 学級担任は教壇の上から教室内を見回すと苦笑を浮かべながらLongHRを始めた。
「まったく、何処から噂が広まるのか知らんが、ウワサの転校生を紹介しよう。カヲルくん、入りたまえ」
 かおると言う名前に教室内の男子がざわめいた、が、一瞬後に女生徒の黄色い悲鳴が上がり、男子の間には落胆が広がった。
 教壇に上がった男子は短長髪に延ばした白髪と赤い瞳の端正な顔にキザな笑いを浮かべていた。
「では自己紹介をしたまえ」
「はい、先生。ボクはカヲル、渚カヲルです。天涯孤独の身ですが、どうぞよろしく」
 カヲルが比較的大きな口の端を上げてニコッと笑うとまたもや女生徒の黄色い悲鳴が上がった。
「あー、カヲルくん。こう云う場合は黒板に自分の名前を書くのが約束という物なのだよ」
「はぁ、そうなんですか。どうも済みません先生。どうもボクはそう言う知識を持っていないようなので」
「そうか、まぁ今からでも良いから書いて置きなさい。」
 カヲルはくるりと後ろを振り返ると黒板の引き出しからチョークを取り出し、【渚カヲル】と書き記した。
「あぁー、彼は事情で、時空統合前後の記憶を失っている。学力には問題ないが、一般常識に戸惑うことが多いようだ、皆も気を付けて優しく彼に接するように。さて、カヲルくん、君の席は左から2列目の一番後に用意して置いた、あそこの椅子に座りたまえ」
「はい、先生、ありがとう」
 学級担任が念を入れてカヲルに説明したのには訳がある。
 彼が今日始めて職員室に足を踏み入れ、学級担任が座りなさいと言ったらカヲルは隣の先生の机に腰掛けてしまったのだ。
 事前に彼についての説明が成されてなかったら、一悶着あったことだろう。
 彼が後の座席に向かって歩くと女生徒の熱い視線と男子生徒の冷たい視線が彼に注がれた。中には男子生徒の熱い視線もあったかもしれない。止めてくれ
「よろしく、おとなりさん」
 カヲルは目を線にして笑いながら左隣の席の女生徒に話し掛けた。(教室中の嫉妬84%)
 しかし、彼女は無関心そうにチラッと彼を見ると左の席の男子生徒に視線を戻した。
 その視線先には碇シンジが居た、シンジは彼女の視線に気が付くと照れた笑いを浮かべた。
「レイ、何かボクの顔に付いてる?」
「いいえ、シンジくんの顔を見てると何か嬉しいの」
「へ、へぇそうなんだハハハ」
 ラブコメ二〇〇パーセントのATフィールドに包まれ、カヲルの視線は弾き返された。
 シンジの左隣からは逆に絶対零度に近い視線が向けられていた。
 この様にカモメ第一中学校2年1組の教室最後列で激しい嵐が吹き荒れている頃、朝から続いていた公開番組「朝のおはやうモーニング」で異変の最初の兆候が見つけられていた。

 今日の「おはやうモーニング」は新ヤイヅ市の中央人工島の岸壁沿いにそびえ立つ見晴らしの良いビルの展望台から放送されていた。
 ニュースの報道が終わった司会者は、芸能関係の記事を紹介する前にゲストの星野スミレに話題を振った。
「さて、芸能コーナーに入る前に、ゲストの星野スミレさんにこの新ヤイヅシティーの感想を聞いてみましょう。この展望台からの景色は新ヤイヅシティー1の展望と言われているのですがどうでしょうか」
「はい、この市を取り囲んでいる外輪山ですか、360度に迫る山が迫力ありますし、何より海の水が綺麗で・・・あら?」
「どうか、しましたか」
「ええ、目の前の港なんですけど、何かおっきい影が水の中に見えたような」
「ええ? この高さからですか? もし、見えたとしたら物凄い巨大な怪獣かなんかでしょうか、ははは、まぁなかなか楽しい冗談でした。さて、」
「あ、ウソウソ、やだわ何アレ」
「どうしたんですか」
 スミレが素っ頓狂な声を上げた物だから、外見にこやかに司会者がそちらを振り返ると丁度それが立ち上がったところだった。
「4カメ! 外を写して下さい、早く!」
 それでもプロの報道根性を捨てなかった司会者が指示すると、素早く4カメのカメラマンが携帯カメラを担いで展望台の外の景色を写した。
 その瞬間、関東圏のテレビに巨大な2本の角を頭の横に張り出した全高50メートル身長75メートルの怪獣が映し出された。
「お、お、驚きです! 今、私たちの目の前に信じがたい光景が映し出されています。ここ、新ヤイヅシティーに怪獣が、怪獣が出現しました」
 どよどよとした声と怒号がスタジオ内に響いた。
 海中から立ち上がった怪獣は桟橋に足を掛けると、そのまま中央人工島に立ち上がった。
 地響きを立てて怪獣はメインストリートを中央シンボルタワーへ向けて歩き出した。
 それを発見した人々は先を争って脇へ逃げ出した。
 身長50メートルの怪獣がゆっくり歩くだけで、時速100キロを超えるスピードが出る、怪獣が進む方向に逃げることは死を意味する。
 ビル街の真ん中を進む怪獣は尻尾や腕、足を街路脇の建造物にぶつけ、町並みを簡単に破壊した。
 しばらくすると怪獣は星野スミレがいる展望台の目の前を、全ての物を威嚇するように横切っていった。
「新ヤイヅシティーの方々に提言します!! 今すぐ、落ち着いて中央島から避難して下さい! 未だその筋からの連絡はございませんが、私個人の意見としてここは余りにも・・ハイ?」
 司会者は目の前に現れた現実の脅威と、それに蹴散らされる人々の姿を見たせいで非常に興奮しながら喚き立てていたのだが、進行係から1枚の紙が手渡されるとプロらしく落ち着いた調子でそれを読み始めた。
「ただいま自治体から自衛隊に出動要請が成されました、またそれに合わせて新ヤイヅシティー周辺5キロ圏内の全ての住民に避難勧告が発令されました。全ての民間人の方々は速やかに避難して下さい。繰り返します」
 彼の放送は、放送を東京のキー局の特別報道番組に引き継ぎ放送スタッフの避難が始められるまで繰り返された。

 現在東京湾海底に設営されたMAT怪獣迎撃基地は、時空統合以来の喧噪に包まれていた。
 怪獣退治の専門家たる彼らは怪獣以外の相手は得意ではない。その為今まで現れた敵性体であるゾンダーや使徒の迎撃には参加できなかった。
 しかし、今回は正真正銘本物の怪獣である。
 加藤隊長は先陣を切る戦闘機、マットアロー1号の出撃準備を進めながら本部のオペレーター丘ユリ子に通信を入れた。
「丘くん、今回の敵の分析を頼む」
『ハイ、現在基地の中央電子演算機に敵の情報を入力中です、少々お待ち下さい』
 丘は巨大なスーパーコンピューターの端末から情報を入力していた。
 彼女が最後の入力を終えると、地下深くの冷凍庫に安置された本体が唸りを上げて演算を開始した。
 彼女のコンソールに設置されているリレー回路のカチカチと言う音と共にコンソールの横からJIS規格の機械語がパンチ打ちされたテープとなって流れ出、正面モニターに情報が表示された。
『隊長、情報が出ました。怪獣の名称は「ゴモラ」、ソドムとゴモラのゴモラでしょうか、ゴモラは強靱な体躯から出される強大な破壊力を武器にしていますが、高熱火炎攻撃などは出来ないとされています。情報の出所はS.S.S、科学特捜隊のムラマツキャップとなっています』
「科特隊か、確か光の巨人のサポートを受けていたとかなんとか、MATにもそう言うのが居れば・・・、いや彼らはあくまで科学調査隊だ、対怪獣戦のプロとしてのセリフじゃないな。丘くん、了解した。それでは私と南のマットアロー1号は先行しゴモラに対して攻撃を開始する。岸田と上野はマットアロー2号にて追いかけてきてくれ。それではマットアロー1号、緊急発進!」
 加藤隊長は海底に位置する格納庫の緊急射出口にマットアロー1号をセットすると、緊急射出口を開いた。
 途端に海水が緊急射出口に満ち、海水流が止まった事をセンサーが感知するとウィンドウ側の信号が赤から緑に変化、固定用フックがリリースされた。
 マットアロー1号は水流ジェットを吹かし、海面へと急上昇した。
 海面から飛び出した瞬間、エンジン経路の強制排水と共に燃料に点火、水蒸気を吐き出しながら高度一〇〇〇〇メートルまで急上昇した後、マッハ3にて一路新ヤイヅシティーへ飛び去った。

 Gアイランドのカモメ第1中学校でのんびり授業を受けていた碇シンジは、気を抜いていたのか集中力が途切れた事もあり、窓から見える海を眺めていた。
 すると突然、海面から2機の飛行機が飛びだしたかと思うと飛行機雲をなびかせながら空を飛んで行くのを見た。
 流石に大音響が発生していた為、教室中の生徒が窓へ駆け寄った。
 アスカは席から立ち上がり、音のした窓の方を振り向く。
「なになに、なんなのよ一体。敵襲?!」
「違うよアスカ、水中から飛行機が飛んでったんだ」
「はぁ、シンジあんたまさか寝ぼけてたの? 飛行機が水の中動けるわけ無いでしょ」
「でも見たんだ・・・」  ブスッ
「あ、アッでももしかしたらこのへんてこりんな世界だったらあるかもね、ペンギンみたいに水中を飛ぶ飛行機が。でもそんなのなんに必要なのか分かんないけど」
 ピンポンパンポーン
 教室に設置してあるスピーカーから、注意を促すメロディーが流れた。その為教室の喧噪が一瞬静まった。
『2年1組の綾波レイ、碇シンジ、惣流アスカ、保護者の方から連絡が入っています。至急校長室に出頭しなさい。繰り返します、2年1組の綾波レイ、碇シンジ、惣流アスカ、保護者の方から連絡が入っています。至急校長室に出頭しなさい。』
 すると、教室中の視線が3人に集中した。
「「「保護者」ってダレ?」」
 アスカとシンジは顔を見合わせた。
「えっと、先生」
 シンジは立ち上がり、上目遣いに先生に訊いた。
「うむ、早く行きなさい」
「すみません」
 そそくさと3人は外へ出ていった。
 教室にいた生徒達はその様子を眺めていたが、3人が外に出た途端廊下からアスカの声が響いてきた。
「ちょっとシンジ! 私たちが呼び出されたのに何でアンタが謝らなくちゃいけないワケ!?」
「授業中に個人的な用事で抜け出すんだから、仕方ないじゃないかぁ」
「何でもないのに直ぐに謝るんじゃないわよ」  ゲシッ!!
「あ痛て!! まったく最近アスカ凶暴じゃないの?」
「なんですってぇ、言いたい事はそれだけかぁ!!」  パッシィィィン!
 いつもの事ながら相変わらずの夫婦漫才に、それを聞いていた2年1組から大爆笑が沸き上がった。

 新ヤイヅ湾内は古代怪獣ゴモラの出現により大混乱になっていた。
 投錨していた数百隻の船舶は我先に舳先を太平洋に向け、騒ぎに巻き込まれまいとして一斉に動き出したのだ。
 その隙を突き、海底にて一隻の潜水艦が湾内に侵入を果たしていた。
 あしゅら男爵が駆る怪潜水艦ブードである。
 怪潜水艦ブードは水中から人工島に潜入させていた鉄仮面部隊からの情報を受け取り、マジンガーZの出動を今か今かと待ち受けていた。
 しかし、島内から民間人の待避があらかた済んだというのに(負傷した民間人の救出や消火活動の為、未だ多数の公務員達が立ち働いていた)島内に展開されている戦力は元々この島の防衛組織が保有していた有人&無人戦車が4輌1チームとして10チームでしかなかった。
 あしゅら男爵は怪潜ブードの中で苛ついていた。
「マジンガーZはまだ現れないのか!」
「はっ! 報告では未だにマジンガーは姿を現しておりません」
「ううむ〜、兜甲児めぇ臆したか。しかし、それはそれで好都合という物。この混乱を突きこの一帯をDr.ヘル様の支配下に置く事は容易・・・。よし、地上の鉄仮面部隊に連絡、これより直ちに地上制圧部隊を編成しこの都市を占拠する。ブード浮上用意、浮上後直ちに機械獣軍団を揚陸開始。直ちに行動を開始せよ」
「ははっ!」
 あしゅらの指示を受けて、格納庫では機械獣達が眠っているベッドに覚醒信号が打ち込まれていった。
 それまで灯の消えていた機械獣たちの目に光が溢れ、彼らは雄叫びを上げた。
 怪潜ブードは水中からその姿を現すと、港に突進しその巨体を桟橋へ乗り上げた。
 そして船体前方の強襲揚陸用の口を開くと中から機械獣20体が凄まじい勢いで混乱している都市へ乱入した。

 富士山麓のSCEBAI研究所、そのコントロールセンターは喧噪に包まれていた。
 特に騒がしいのがこのSCEBAIの所長である初老の岸田博士である。
 彼はその年齢を感じさせない張りのある声を電話の受話器に浴びせながら状況を確認していた。
「なに? それでは今回の敵はいつもの異星人ではないと言うんだな」
『はい、70メートル級の巨大生物に、それとは別系統で動いているらしい二〇メートル級のロボット兵器が二〇体の確認できます』
「ふむ、そうか分かった。それでは監視任務は今うちからB−17が飛び立ったからそれに引き継ぎ、貴様は直ぐに未亜と絢、和美を迎えに行って来い」
『ええーと、ハイハイ分かりました。未亜さんは下宿に居ますね。後、絢さんは予備校で勉強中と。アレ、博士、和美ちゃんは今そっちに居るみたいですよ』
「何? どうして分かる」
『はぁ、この前緊急事態に備えて電波発信機を組み込んだ腕時計をプレゼントしときましたんで。もっとも未亜さんは直ぐに外してしまったようですが・・・。まぁ下宿に仕掛けといた隠しマイクで現在位置を確認してますんで大丈夫ですが』     大丈夫じゃない
「分かった、和美はこっちで探すとしよう。研究所員B、ARIELパイロットを確保してこい」
『了解しました』
a−Part終了。b−Partへ続く。



<a−Part後書き>
 プロットが長過ぎました。幾ら書いても終わらない〜。ヘロヘロ
 さて、今回、意味ありげな新登場人物、渚カヲルくんが登場しました。
 彼の正体はやはり使徒なのか、それとも・・・。まだ秘密です。
 さて、冒頭の防空打撃大型護衛艦「ヤマト」の仕様は仮決定です。
 俺ならこうする、と云う意見をお持ちの方は是非、意見をお送り下さい。
・但し、余り新型のエネルギー機関は使えませんのでご注意。(例:波動エンジン・光子力エネルギー等)
 何故かと云えば、艦体の大部分が核融合炉とその防護施設で占められている為です。  それではまたb−Partでお会いしましょう。


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b-part


日本連合 連合議会


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