プロローグ

・南米大陸にて。
 機械帝国ムーの政治機械は突如出現した状況を探査すべく、周辺へ索敵を開始していた。
 この時、北米にはアメリカ合衆国、南米大陸には地理的要因からメソ・アメリカ3大帝国のマヤ、アステカ、インカの内インカ帝国のみが出現していた。
 新世代型の思考ルーチンを持つ政治機械により人類抹殺を完了していたムーでは第2次計画として人に似せ、人間に奉仕することを当然とするアンドロイドタイプの抹殺が進められていたのだが、その急遽計画は変更された。
 ムーの戦闘デバイス群は出現位置、南米ベネズエラから南下しインカ帝国に属さないアーリーアメリカン達を虐殺しながらインカ帝国へと向かった。
 しかし、ムー帝国内の親人類派(拝人主義)のアンドロイド達はそれを阻止すべく、絨毯攻撃を行っていたムー本隊に先行しインカ帝国へと潜入した。
 彼らは人間と見分けのつかないアンドロイドを交渉役として派遣し皇帝と会談した。
 ムーのアンドロイド達は皇帝に対して国民の避難と皇帝一族の亡命を提案した。
 だが、インカ帝国皇帝は侵略の事実を認めながら撤退を拒絶した、皇帝は帝国内で特殊な教育を受けていた少女へ命令を与えた。
 彼女の名は「アーヤ」、生け贄として隔絶された教育を施された彼女は歓喜と共にそれに答え、自らの命を喜びと共に太陽神へと捧げた。
 生け贄を捧げ、戦いの決意を示す皇帝。
 だが、アンドロイド達はロボット3原則に抵触するその行為を見て混乱した。
 そして彼らはロボット3原則の第0条を適用。
 第0条:ロボットは人類に危害が掛かるのを見過ごしてはならない。
 彼らは秘密裏にインカ帝国の首都北部に防衛線を築く一方、インカの姫を籠絡し亡命政権を確立し首都脱出計画を発動していた。
 ここらへんの認識の違いが彼らを創り上げた文化とインカ文明の文化の違いであろうか。インカでは女子供を優先させない。
 結果、彼らは国民を南米大陸からオーストラリア大陸へ避難させる事には成功したが、インカ帝国を再興させることには失敗した。
 だが、彼らにとって何よりも大切なのは人命である。
 そう言う意味ではこの計画は成功したと言えるだろう。
 何しろ、ムーの戦闘デバイスを迎え撃ったインカの戦士達の装備は石の斧などの石器が中心。
 いくらムーのアンドロイド達が戦闘に参加したとは言えその結果は余りにも悲惨な物であった。
 戦闘から1年後、南米大陸から人間は姿を消してしまったのだから。


スーパーSF大戦 第13話



くろがねの体<前編>




Aパート


 富士のすそ野にある宇宙科学研究所、だが、現在配置転換などで大慌てとなっていた。
 時空融合の後に連合日本政府が施行した政策もあり、宇宙科学研究所の経済母体であった光子力宇宙科学研究財団がM&Aによって国立科学研究所SCEBAIの研究部門のひとつとして吸収合併されてしまったのである。
 かつて、マジンガーZが暗黒大将軍率いるミケーネの軍勢に破れた後、それまで眠っていた天才科学者の血統が目を覚ましたのだろうか、ロボット工学に関して異様なまでの才能を発揮した甲児はNASAの研究機関へと赴任した。
 その後グレートマジンガーのピンチに、強化したマジンガーZと共にNASAの研究機関から駆けつけた兜甲児は、つい最近まで宇宙科学研究所にてグレンダイザー用の強化パーツであるダブルスペイザー等の開発を行っていたのだ。
 しかし、今では何の因果かM&Aによる人事異動の余波によりグレンダイザーの活躍により退役したマジンガーZとグレートマジンガーが展示されているスーパーロボット博物館の整備主任として赴任していたのだ。
 そして甲児の恋人のマリアは激しい戦いの末ベガ星連合軍を退け、右門大介ことデューク・フリードがフリード星へと還った後も宇宙科学研究所にてダブルスペイザーのテストパイロットを続けていた。
 そんなある日、甲児の元へボスがやって来た。
「いよう、甲児ぃ」
「あっ、ボスじゃないか。・・・久しぶり・・・だな」
「すまんだわさ甲児。力になれなくてよぉ」
「え、イヤなに。ボスの責任じゃないさ。それに俺はマジンガーZの整備が出来るだけでも充分充実してるんだぜ。それにしてもボス、お前が光子力宇宙科学研究財団の御曹子だったとはなぁ」
「ふん、今じゃしがない風来坊よん。まぁオレにはこっちの方が性にあってるだわさ。今のオレにはボロットだけなのよん」
「ふ〜ん。それじゃオレと同じか」
「まぁそういうことねン」
 ふたりは肯き合うと大声で笑い始めた。

 その頃、バードス島で世界征服の構想を練っているDr.ヘルの元に偵察に出ていたあしゅら男爵から連絡が入った。
 怪潜水艦ブードからの偵察で日本の状況を確認していたのだが、マジンガーZの存在が確認されたとの事であった。
「なに! マジンガーZ! あ奴めまでがこの世界に来ておるというのか。ええい忌々しい奴め」
 Dr.ヘルは憎々しげに顔を歪め、旧来の敵を罵った。
 あしゅら男爵はそんなDr.ヘルをモニターから見ていたが、Dr.ヘルが落ち着いてきたのを見計らい、ひとつの手を提案した。
「そこでDr.ヘル様、ひとつ良い物を見つけて置きました」
「なんじゃ。その良い物とは」
「ははぁ、盟主Dr.ヘル様。実は海底に沈んでいた特殊運搬船を発見したのですが、その中に「古代怪獣ゴモラ」と云う巨大生物が積まれていたのです。1ヶ月以上も海底に沈んでいたらしいのですが、現在もゴモラは生きています。凄い生命力を持つ怪獣です」
「ふむ、なるほどな。つまりそれを制御して日本を襲わせて、マジンガーZの対応を見ると。そう言う訳か」
「はい。無駄に機械獣を消耗することなくそれを知ることが出来ます。ただし・・・」
「なんじゃ。言ってみぃ」
「はは、残念ながらこの怪獣のコントロール装置は発見されませんでした」
「何ぃ?! それではその怪獣をどのような方法で戦争に利用するつもりだったのだろうか。う〜む、理解しがたい」
「全くで御座います」
 実はこのゴモラ、戦争利用の為捕獲されたのではなかった。
 EXPO70、大阪万博の目玉として古代館に出展する為にゴモラザウルスの化石を発掘していた中谷教授がたまたま生きたゴモラに遭遇し、こりゃラッキーとばかりに日本へ運搬していた等と云う事は彼らの想像を超えていた。
「ふむ、では仕方あるまい、適当な場所で放てばそれなりに役に立つだろうて」
「ははぁ。流石はDr.ヘル様、仰せの通りで御座います。」
「ふふふ、なになに。ふふふはははははは、フハーハッハッハッハッハ」
 彼らの暗い野望は、この世界の混乱でも削がれることなく、かえって燃え上がっているようだった。
「それではDr.ヘル様。指示をお願いいたします」
「よし、では憎っくきマジンガーをおびき寄せるため、奴の基地と近い場所・・・うむ、ここが良いな・・・。あしゅらよ、新ヤイヅシティーへ侵攻せよ」
「ははぁ、盟主Dr.ヘル様ぁ」

Bパート


 アスカがレイのことを理解し、彼女の悲しさに気付いた日から既に3日間が過ぎていた。
 あれ以来、以前にも増してアスカは仲間であるレイに気を回すようになっていた。
 それは保護者としてとアスカは考えていたのだろうが、実際は初めて対等の力を持つ友達を持った喜びから来ていた。
 アスカもゾンダー化された後に護少年の手によって浄化され、鬱積したストレスや心のトラウマまで昇華していたのであったが、生来の攻撃的な性格からシンジを取り合うライバルとしてレイには一定以上のつき合いをしていなかった。
 しかし、今は違った。
 人付き合いの苦手な、いや、人間相手のコミュニケーションの術を知らなかったレイに積極的に教育を施そうと云う義務感にも似た感情を持っていた。
 そのせいだろうか、思わずシンジがゾッとする様な事をアスカはレイに提案したのだった。
<シンジの回想>
 あの日以来、レイはアスカにベッタリしていた。それは思わずシンジが嫉妬してしまうくらいであった。
「・・・アスカママ」
「ねぇレイ、お願いだからアスカって呼んでよ、アタシはアナタのママになるつもりはないんだからね」
「ダメなの・・・」
 赤い目をうるうると潤ませ、指をくわえてジッとアスカを見つめるレイ。
 たじたじっとなったアスカは後ずさり、卓袱台に背中が当たった所で止まった。
「えっとぉ・・・アハハハ。ふぅ。ね、レイそんな仕草どこで憶えたのよ」
「クラスメートのアヤメさんに教えて貰ったの」
「くっ、あの女、余計な事をぉ」
「使ってはいけなかったの?」
「え、いやその・・・つまりね? そう言うゼスチャーは好きな男を落とす時に使う物なのよ」
「・・・シンジくん」
「むぅ・・・。とにかく、アタシはレイとは仲の良い親友、友達になりたいの」
「友達」
「そうよ。だからレイからも積極的にアタシに話し掛けて貰いたいの」
「でも・・・私・・・何を話せば良いのか・・・分からないの」
「そうっか・・・イキナリは無理か。そうよねレイって静かすぎるし」
 そう言うとアスカは何かを考え始めた。
 レイはそんなアスカを興味深そうに見つめていた。
 そこに夕食の洗い物を済ませて一段落付け、台所から麦茶を三つお盆に乗せてシンジが卓袱台に来た。
「アスカ、レイ、麦茶注いだから飲んでよ」
 シンジは麦茶を卓袱台に並べながらふたりに言った。
 もっともアスカは考え事に夢中で聞いてなかったが。
「ありがとう、シンジくん」
 そう言うとレイはさっきのポーズ、指をくわえてうるうる目で見つめる攻撃をシンジに行った。
 二重の意味でドキッとした表情を浮かべたままシンジはレイに聞いた。
「な、どうしたのレイ。あ、そうだね何かお茶請け持って来なくちゃ」
 シンジは何やら物欲しそうなレイの顔を見、最近食欲魔人と化しつつあるレイの胃袋が、早速腹を空かせたのだと見当違いの見当を付けてしまい、買い置きの菓子袋を取りに台所へ戻ってしまった。
 この様に、未だ言葉とゼスチャーのTPOが理解できていないレイであった為、アスカはそれをどうにかしようと天才的な頭脳を閃かせて考えた。
 レイの身近にいる人物で、最も明るくて、カラッとしていて、美人と言えば・・・・・・。
「リツコは理知的だけどマッドだし・・・ミサトは論外。GGGではスワンはかなりキてるけどお色気過剰だし。学校のアヤメは男勝りだし、・・・他には・・・あっ! なぁんだ、アタシがいるじゃん」
 そうしてひとりで納得するとアスカはレイに向き直った。
「レイ!」
「なに?」
「アナタには絶対に女の子らしくなって貰いたいの、アナタの家族、ううん友人として」
「女の子らしく・・・」
「そうよ、だからレイ、これからレイはアタシの真似をするのよイイわね」
「ええーっ!」
 突然大声を上げたのは台所から戻ってきたシンジだった。
 シンジはアスカがレイを普通の女の子にしようと考えているのを知り、アスカも優しくなったなぁと感慨深い物があったのだが、アスカの「アタシの真似をするのよ」と云うセリフを聞き思わず絶句してしまった。
 <シンジの想像>
 あるいつもの朝の事。
 いつものように朝食の準備を済ませ、ふたりの眠り姫を起こすべくシンジはまず右隣のアスカの部屋へと向かった。
 鍵を使って彼女の使っている部屋の中に入ったシンジはアスカの個室の戸の外からアスカに目を覚ますように声を掛けた。
「アスカーっ朝だよ早く起きてよ」
「すかーっ」
 しかし聞こえてくるのは気持ちよさそうな寝息ばかり。
 覚悟を決めたシンジは戸を開けてアスカの個室に入り寝息をついているアスカの横に立つと、布団の上から彼女を揺すった。
「ねぇアスカ、朝だよ起きてよ。早くしないと「又」遅刻しちゃうよ」
「う〜ん」
 しばしボーっとしていたアスカであったが、次第に目の焦点が合ってくるとジーッとシンジの顔を見つめだした。
「アスカ」
「シンジィ?」
「朝だよアスカ、早く起きてよ」
 その言葉を聞いていたアスカは突然目を見開くと大きく口を開いた。
「キャー!エッチ!チカン!バカ!変態! 勝手にアタシの部屋に入るなっていつも言ってるでしょー!」
 バッチーン!! 物凄い音と共にシンジの右の頬に真っ赤な紅葉が浮かんでいた。
 はぁっとシンジは溜め息を吐くと今度は左隣のレイの部屋へ向かった。
 鍵を使って彼女の使っている部屋の中に入ったシンジはレイの個室の戸の外からレイに目を覚ますように声を掛けた。
「レイーっ朝だよ早く起きてよ」
「すかーっ」
 しかし聞こえてくるのは気持ちよさそうな寝息ばかり。
 覚悟を決めたシンジは戸を開けてレイの個室に入り寝息をついているレイの横に立つと、布団の上から彼女を揺すった。
「ねぇレイ、朝だよ起きてよ。早くしないと「又」遅刻しちゃうよ」
「う〜ん」
 しばしボーっとしていたレイであったが、次第に目の焦点が合ってくるとジーッとシンジの顔を見つめだした。
「レイ」
「シンジィ?」
「朝だよレイ、早く起きてよ」
 その言葉を聞いていたレイは突然目を見開くと大きく口を開いた。
「キャー!エッチ!チカン!バカ!変態! 勝手にアタシの部屋に入るなっていつも言ってるでしょー!」
 バッチーン!! 物凄い音と共にシンジの左の頬に真っ赤な紅葉が浮かんでいた。
<シンジの想像終了>
「うっうっう、やっぱりボクはいらない人間なんだ」
 突然うめくと部屋の片隅に座り、ブツブツ言いだしたシンジを見てアスカは不満を持った。
「ちょっとシンジ、レイが女の子らしくなるのがイヤなの?!」
 もしそんな事いったらどうなるか分かってるんでしょうね、と言った視線でシンジを睨み付けた。
 いや、そんな事は無いんだけどね。とシンジは顔に縦線を浮かべたままポツリと「呟いて」しまった。
「アスカがふたりもいたら身が持たないよ」
「な!」
「だって・・・まだボクが女装した方が女らしい・・・ってハッ!」
 シンジは自分が非常に拙い事を口走っているのに気付き口を塞ぐと同時にアスカを見る。
 直ぐさま自分がシンジよりもガサツだと指摘されたアスカが鉄拳を振るうのではと考え身を竦めたシンジであったが、しかしアスカは予想を裏切る反応を見せていた。
 キラリーンと目を輝かせたアスカがシンジに期待を込めた視線で見つめていたのだ。
 滝の様な汗を流して必死にさっきのセリフを否定するシンジ。
「えっあっうん。勿論アスカの提案は最高さ、非の打ち所も見あたらないよ。流石はアスカだなーっ凄いや」
 必死になって乾いた笑いを浮かべたシンジであったが、その必死の言葉もアスカには届いていなかったようだ。
「そうねーっシンジって結構女顔だし。カツラをかぶせて化粧をすれば結構・・・むふふふふ」
 まるで悪巧みをしているミサトの様な表情を顔に張り付けつつ、身の毛のよだつ剣呑なセリフを呟きながら何やら想像しているアスカを見て「逃げなきゃダメだ」とシンジは後ずさり始めた。
 こう云う時の「男性社会の女性文化に於ける「可愛い」と云う心理」と云う物は正直男には理解しがたい物である。まぁ男性社会の男性文化に於ける「格好良い」に通じる物があるのだろうが、しかし。う〜む。
 トリップから戻ってきたアスカはクルッと振り返ると微笑みを浮かべながらシンジに提案した。
「ねぇシンジィ、頼んで良いかな」
 両手を合わせて左手を右頬に当ててカワイコぶったアスカは辺りを見渡すがそこには既にシンジの姿はなかった。
「あれっ?」
「碇くんだったら急用が出来たって言って出かけたわ」
「チッ! 逃げられたか」
 心底残念そうな声でアスカは呟いた。
「まぁ良いわ。レイ、女の子らしくなりたいわよね」
「命令なら」
「レイ! 友達としての私の提言よ。私の友人としてアナタを見てて辛いの、アタシ。NERVが、碇指令が何を考えてるか知らないけどアタシにとってレイ、アナタは普通の女の子なの、そうでしょう」
「でもワタシは使徒としての」
「そんな事はどうだって良いのよ。要はレイが人の心を持っている事が肝心なんだから。この世界にはNERVも碇指令もいないわ、アナタを縛る物は何もない、レイはレイの思うとおりに生きていて良いの、誰も私たちに特別な枷をはめるヒトはいないわ」
「でもエヴァの適格者だわ」
「それは私たちの長所よ特色よ他人に誇れる特技なのよ、誰にも貶められる物じゃないわ。他人に誉められる価値を認められる、良いことだもの。レイが適格者だからって誰かに文句言われた? そうでしょう、だから私たちは精一杯幸せを求める権利があるのよ、誰にも文句は言わせないわ」
 ねっ、とアスカは一気に喋るとヒートアップした心を冷ますように息を整えた。
「3人で幸せになろうよ、レイ」
「・・・うん。アスカ」
「と、言うワケでぇ話は戻るけど女の子らしくなるため〜に! アタシの真似をして女の子っぽい性格になるのよレイ。じゃないと」
 そこでセリフを止め、レイの気を揉たせるアスカ。
「(ボソッ)シンジに嫌われちゃうかも」
 一気に動揺し、オロオロし出すレイ。予想通りの反応にアスカはニヤッと笑いを浮かべた。
「でも大丈〜夫、ま〜かせて。明るいレイになることが出来たらきっと、」
「きっと?」
「アタシのライバルになれるわよ、レイ」
「それって」
「そう。ここにシンジが居ないからレイにだけ告白するけど。・・・アタシはシンジが好き。何故かって言われたら・・・何故かな? そう、アタシがゾンダーに心を凍らされて、それまで散々シンジを傷つけてたアタシを、シンジは守ってくれた。いつも庇ってくれてた、アタシを必要としてくれてた。それをこの前マザマザと気付かされたの。その時アタシの中にあったシンジに対する特別な想い、今まではアタシの地位を奪う競争相手に対する敵対心、嫉妬の心だと思ってたけど・・・これは「愛」だわ。間違う事無き真実の愛だったのよ!」 うっとり。
 アスカは恋する乙女の顔で告白した。しかし、レイはそれとは対照的に何処か悲しい表情で呟いたのだった。
「そう、・・・なら私はここにいてはいけな」
「バカなこと言わないでレイ、言ったでしょ3人で幸せになろうって」
「でも、アスカがシンジくんを好きだというのなら、私は邪魔者でしかない。私はアスカに嫌われたくない。なら私が消えればそれで・・・」
「そんなのイヤよ。そんな事したら一生許さないから」
「アスカ」
「アタシはシンジをアナタに渡すつもりはないわ」
「なら」
「でもね、アタシたちはまだ14歳だし、まだまだこれから、人生始まったばかりじゃないの! 選択の幅は果てしなく広いのよ、レイ。だからね、魅力的な女の子になろうよ、ネ」
「・・・・・・・・・ウン! よろしくお願いしますアスカ」
「よろしい! 大変良く出来ました!」
 うふふふふ、と2人は笑みを浮かべたのだった。
<回想終わり、尚、シンジは後日にこの会話を2人から聞いたのである>

 あれから小1時間経った9時頃、シンジは立ち読みしていたコンビニから恐る恐る自室に戻ってきていた。
 彼の部屋のテレビの前にはアスカとレイが和気あいあいとした感じで座りながらテレビを見ていた。
 シンジは彼女たちに気付かれないように忍び足で個室に戻ろうとしたのだが、シンジの火蜥蜴達がやっと帰ってきた飼い主に喜びの声を上げて飛びかかっていったので直ぐにバレてしまった。
「あ、シンジお帰りぃ〜」
「え〜と。あ・・・シンジ・・くん、お帰りー」
 律儀に真似しようとするレイにシンジは、もう自分の人生は終わったも同然と感じてしまった。
「アハハハ・・・ハ。た、ただいま」 トホホのホ
「シンジィ、何処行ってたの?」
「何処に行っていたの、シンジくん」
 アスカは悪意に満ちたニヤッとした笑いを浮かべ、レイは罪のない微笑みを浮かべ、シンジに尋ねた。
 実はレイの微笑みの方がシンジを追いつめる効果が大きかった。
「イヤ、そのちょっとコンビニに行って来たんだ・・・、その明日の朝のパンをね、ハハ」
「ふ〜ん。エッチな本とか買ってないでしょうね」
「なななな何言ってんだよイキナリ」
「アスカ、えっちな本てナニ?」
 アスカは鋭い追及を続けていたのだが、思わぬ伏兵に状況は覆された。
「え、つまりその」
 狼狽するアスカの隙を見てシンジは再度逃走を図るが、レイの矛先を逸らす為に利用されることになった。
「シンジ、説明しなさいよ」
「ええ! そんな事、そんな事ボクから言える訳ないだろ!」
 逆ギレ(?)したシンジはふてくされて座布団を枕に横になってしまった。
「ちょっとシンジ」
「ねぇアスカえっちな本てナニ?」
「ううっ、詰まりね、オトコ達が欲情の矛先として手軽に手に入れることが出来る冊子で、主に女性の裸の写真や絵、異性についての誇張、理想化された話が載ってる事が多いって訳よ」 真っ赤。
「ハダカ、碇くんが前、更新されたカードを届けに私の部屋に来た時、私の」

「わーっ!わーっ!わーっ!わーっ!わーっ!わーっ!!」

 シンジはレイがとんでもない事を言い出そうとしているのに気付き大声を出してそれを防ごうとした。しかし!
「全裸を見た上に、私を押し倒して右の乳房に手の平を押し当てたわ。それが欲情すると言う事なの?」
 意外な話から意外な事実を知ったアスカは怒り狂った。
 しかもレイの話し方ではどう考えても、獣欲に駆られたシンジが無理矢理無垢なレイを汚したという風にしか取れないではないか。
 怒髪天を突く。怒り心頭。殺意の波動。それらを合わせて3を掛けた様な勢いでアスカは怒った。
 彼女の背後からドス黒い紅蓮の炎が音を立てて燃えているのをシンジは確かに見た。
「シ〜ン〜ジィ〜!!! 私のハダカを覗くだけに飽きたらずレイのハダカまで、フフフフフそこへ直れぃ! プログレッシブ・ナイフの錆にしてくれる」
 シンジ大ピンチ
「ちょっちょっと待ってよアスカ。アレは事故だったんだ、アスカは本当にボクがレイの部屋の鍵を開けて無断で侵入した挙げ句に無理矢理押し倒すなんて、そんな事ボクに出来るわけ無いじゃないか、アスカ、本気でボクがそんな事すると思ってるの? 冷静に考えてみてよ」
「・・・・・・・・・そう言えばそうね。シンジにそんな度胸がある訳ないか。もしもそんな度胸があったら可憐でか弱い美少女のアタシはとっくにシンジに手込めにされてるわよね」
「・・・どうせそうだよ」
「良いわ、レイにも問題が有ったんだろうから」
「納得してくれて嬉しいよアスカ」
 シンジはアスカの機嫌が通常に戻ったのを確認して安堵の溜め息を吐いた。
「でも嬉しかったんでしょ?」
「うん」
 アスカの確認にシンジは思わず左手の感触を思い出してしまい、エヘヘヘと頬を緩ませてしまった。
「この、バカシンジ! 」
 バッチーン! とシンジの右頬にモミジが浮かんだ。因みに今後は左頬がレイのモミジの指定席となった事をお知らせしておこう。

 さて、ひと騒動が終わり拗ねたシンジが機嫌を直した二二時頃、最近3人がテレビで良く見るようになっていた歌番組が始まった。
 オープニングが始まり、元の世界では人気者であった二人の司会者が前に出てきた。

「夜の「ヒット・紅白」歌「合戦ーっ!!」今晩わーっ」 ワーッドンドンパフパフ
「今晩はー。さて今日も豪華ゲストメンバーで構成された夜のヒット紅白歌合戦。司会は私、三浦浩一と」
「浅丘 恵でお送りします。では早速、今日も皆様方からのリクエストが多かったこの2組の登場です、どうぞ」
「はい、まずは歌手に女優に忙しいアイドル、星野スミレさんとぉ」
「人気ロックバンドNOVAの皆さんで〜す」 ワーワーワードンドンパフパフ
 司会の2人の紹介と共にドライアイスのスクリーンの向こうからひとりの如何にも清純派アイドル然とした格好の16歳位の可愛らしい女の子と、革ジャンGパンTシャツといったラフな格好をした5人構成のバンドのメンバーが現れた。
 NOVAのメンバーは銀髪をした白人女性ひとりに日本人男性4人で構成されていたが、その主役はハッキリとボーカルの白人女性と彼女が寄り添っている日本人男性であることが見て取れた。
「今晩はー」
「こんばんは、星野スミレです」
「どうですか、星野さん。貴女のいらした世界の人口はそう多くないですので知名度は低そうですが。うまくやっていけそうですか?」 そんな事聞くなって感じの台詞だな。
「はい、ハッキリ言って私の応援をしてくれてた人達と離ればなれになってしまったのは悲しいですけど。こうして又皆様の応援を頂けて大変嬉しく思っています」
「なるほど、頑張って下さいね」
「はい。がんばります」
「さて、今日の歌は新曲だそうですね」
「ええ、私が作曲の先生に無理に頼んで作ってもらった曲なんですけど。私の世界でむかし活躍していたあるヒーローに捧げるつもりで歌います」
「へぇ、ヒーローですか」
「ええ。私がギャングに襲われた時に助けてくれたことも有るんです。でも、数年前に星の世界に行ってしまって・・・。もう会えないとは思いますけど・・・もう一度会いたいと思ってるんです」
「おやおや、まるで初恋の相手みたいですね」
「え、ええそうですね。(ポッ)」



「あ、レイ。今のが恋する乙女の表情よ。よく観察しといてね」
「ええ、分かったわアスカ」

「はい、それでは星野スミレさんにはあちらで歌の準備をお願いします」
「ハイ」 パチパチパチパチ(拍手)
 星野スミレはテレビ画面の外にあるセットの方へと歩いていった。
「さて、次は人気急上昇中の人気ロックバンド、NOVAの皆さんでーっす」
「こんちはー」
「よろしく」
「おはようございマーす」
「さてさて(嬉)。今日は何やら重大発表があると聞きましたが!? どんな発表なんですか? ソニィさん」
 司会の浅丘 恵はヴォーカルの白人女性であるソニィにマイクを向けた。
 するとソニィは照れた笑いを浮かべてそっぽを向いているメインギタリストのバードの腕を取ると、強引に引き寄せながら幸せそうに腕を絡めた。
「実は私たち昨日婚約したんです」
「えーっ!!!」 ぅおおおおおおおおおおおお!!!
 ソニィの爆弾発言と同時に会場が悲鳴のような歓声が上がった。



「うっそぉ!! う〜んでもお似合いかもね」
「あれ、でも確かソネットさんて17歳位じゃなかったっけ」
「良いんじゃない、別に。確か通学してる訳じゃ無かったし。個人の自由と思うけど」

「う〜ん。確かにこれは重大発表でしたねー。私もビックリしてしまいました。ドキドキ、同じ女性として大変羨ましく思います。おめでとうございま〜す」 パチパチ
 恵が拍手をすると会場のほぼ全員が祝福の拍手を始めた。まぁ中には男泣きをしながら拍手をしている奴も居たが。
「それでは早速NOVAの皆さんには演奏を始めて貰おうと思います。え〜と曲名をよろしいですか」
「はい、「NOVA.Neon Genesis RUN & RUN(新世紀を駆け抜けろ)」!!!!」
 彼女が叫ぶと同時にドラムスが凄まじい連撃を打ち始めた。
 それに合わせてギターとキーボードも曲を叩き始めた。
 会場の照明が激しい明滅を始め、極彩色のそれに浮かんだソニィは激しいシャウトで歌い始めた。



「う〜ん。相変わらず上手いなぁこの人の歌」
「そうねぇ、魂を揺さぶられると云うか。なんか深みがあるのよね」
「ええ、この子達も好きだと言ってるわ」
 そう言うとレイは同じくテレビの曲に集中している火蜥蜴たちの頭を撫でた。
「あ、そろそろだよ」

 シンジが指摘した頃、曲は間奏・メインギターのソロに突入した。
 すると突然、まるで爆発したように凄まじいメロディーがそのギターから発せられた。
 通常ギターは16ビート、超絶技巧でも32ビートが人間としての限界である。
 しかし、バードが奏でるそれは64ビート。生身の人間では有り得ない指使いに、曲を聴いていた人間は思わず聞き惚れてしまった。
 彼は一体何者であるのだろうか。その正体は各種雑誌で取り沙汰されていたが未だに謎に包まれていた。
 長いようで短い曲が終わると、会場内は一瞬沈黙に包まれたがその次の瞬間猛烈な拍手がNOVAに向けられた。
 ウォオオオオオオオオオオ!!!!!
「はい、NOVAの皆さんでしたぁ」
「それでは続きまして星野スミレさんの準備が出来ましたようなので早速歌って頂こうと思います」
「では、星野スミレで「星に消えたヒト/わたしのパーマン」です、どうぞ!」
 司会が手を振ると、フリフリのフリルがたくさん付けられた衣装を身に纏い隣に設けられた豪華なセットに設えられた階段の上に立っていた星野スミレが非常に澄んだ声で歌い出した。
 この曲は居なくなったヒトに対し自分の思いを切々と歌い上げた物で、始めて聞く人の胸にも響く物があった。



「これはこれで良いよね」
「うん、でもアタシはやっぱりさっきのNOVAの曲の方が好みだな」

 曲のタイトルは間抜けっぽく聞こえたが、曲の出来は素晴らしかった。
 また、女優としても活躍している星野スミレが感情を込めて歌ったのだ。
 すぅ、と最後のフレーズを終えるとNOVAの時とは違い深い感動が会場を包んでいた。
 パラパラとまばらに拍手が上がり、次第にその数は増え、最後には会場の全員が立ち上がって拍手を上げていた。
「はい、星野スミレさんありがとうございました。いやぁ素晴らしいの一言に尽きますね」
「ええ、全くです。わたしなんか思わず涙が出てしまいました。さて、次は中継です。銀座の香月さ〜ん」
 司会の恵がマイクで呼びかけるとバックにあった巨大なスクリーンに映像が入った。
「は〜い、こちらは銀座にある帝國劇場から中継でお届けしております、今はですねぇ丁度帝國歌劇団の皆さんの劇が終わって、今から歌謡ショウが始まろうとしている所でーす」
「ははぁなるほど、それで準備の方はよろしいのでしょうか?」
「ハイ、もう間もなく始まる筈です」
 チョーンと云う拍子木の音と共に、舞台に掛かっていたカーテンが頭上へと引き上げられて行った。
 すると客席の方から歓声と共に囃し声が上がった。いよっ、待ってました。大統領。キャー、マリアさまー。
 カーテンが引き上げられると、そこには過剰なまでに飾り立てられた女性7人が立っていた。



「あっ、あの人達ってこの前の・・・」
「本当、確か帝國華撃団のメンバーじゃなかった? 確か華組とかなんとか。でも・・・あの大神隊長の姿が無いけど」
「やっぱり、女性の中に男ひとりじゃ辛いんじゃないかな」
「それもそうね、きっと戦闘時だけの隊長なのね」
 大神一郎、言われ放題。

 こんな調子で所々に突っ込みを入れながら彼らはテレビの歌番組を見終わったのであった。
「それじゃ2人ともお休みー。朝食は作っとくから自分で起きてよ」
「つーんだ。お休みシンジ」
「お休みなさい、シンジくん」
「うん、じゃあねー」

Cパート


 MATの憂鬱。
 MATとは、MonsterAttackTeam、つまり怪獣退治の専門家である。
 彼らは一九八〇年代に激増した怪獣退治に特化した装備を持つWDOの下部組織である。
 彼らは怪獣退治に最も有効な兵力として、現場に急行出来、その機動性によって怪獣を翻弄させ更に怪獣の吐く火炎放射に耐えられる装甲を持つ航空機を3種類持っていた。
 マットアロー1号・対怪獣戦専用VTOL/自衛隊が首都防衛用に開発したスーパーXを参考に全身をチタン合金で覆った超高速可潜VTOL戦闘機である。主開発社はBAe(ブリティッシュ・エアロスペース)社であり、ハリアーで培ったVTOL技術を有効利用している。最高速度マッハ3。
 マットアロー2号・対怪獣戦専用VTOL/自衛隊が首都防衛用に開発したスーパーXを参考に全身をチタン合金やハイコンポジット材で覆った高機動ファン駆動VTOL戦闘攻撃機である。主開発社はパナビア社。純粋な戦闘機と云うよりも高機動を可能にした戦闘ヘリコプターと考えた方が分かりやすい。最高速度マッハ1.5。
 マットジャイロ・対怪獣戦補助用高機動ヘリコプター/自衛隊が首都防衛用に開発したスーパーXの戦訓を生かし耐熱性を向上したダグテッド・ファン形式の局地輸送ヘリである。主開発社はベル社。怪獣が暴れている目前に強行着陸しMATの地上部隊を搬送する目的で開発された。優れた防御力と意外な牽制攻撃力、そして優れたコストパフォーマンスからMATで最も多く生産された機種である。最高速度マッハ0.88。
 以上の3機種を持ったMATであったが、彼らは怪獣退治の専門家、この世界には未だに怪獣の存在は発見されていなかったのだ。
 その為、現在MATは組織存亡の危機に立たされていたのである。(いつもの事であると言えなくもないが)
 加藤勝一郎隊長は苦悩していた。
 ここ、東京湾の海底に存在するMAT基地の司令室には彼の他には誰もいなかった。
 かれらMATでは連合日本政府に対し怪獣の存在を各種資料を用いてアピールしたのだが、「非常識だ、そんな生物が自然界に存在できるはずがない」と全く相手にされなかったのだ。
 そのため、彼らMATは現在組織解体の準備が進められ、その戦力は自衛隊に組み込まれてしまいそうになっていたのだ。
 何しろ彼らの対地攻撃能力と耐弾能力は群を抜く物があったからだ。
 いくらMATの前身が各国の軍事組織からの供出部隊であったからと言え、流石に忸怩たる物が加藤隊長にはあった。

Dパート


 16年前に宇宙から落下した巨大隕石により巨大なクレーターと化してしまった静岡県焼津市であったが、その後官民共同による一大プロジェクトにより日本有数のハイテク都市として再生していた。
 クレーターを形成している外輪山は太平洋側が途切れクレーターの中心は巨大な湾となっており、良質の港として機能していた。
 その中央には大規模港施設と巨大な高層ビルが建ち並ぶ人工島が築かれており、活発な経済活動が行われていたのだ。
 クレーターの内側は広大なベッドタウンとして整備されていた。
 何しろ、この土地を所有していた人達のほとんどが隕石落下の際に死亡していたのでそのどさくさに政府の特別施策によって強制接収され、中央人工島に勤務する者達に提供されていたのだ。
 中央人工島の中心にそびえ立つ高さ500メートルを誇るシンボルタワーには、国防軍の司令部が存在していた。
 このシンボルタワー、外観が巨大な宇宙船のような姿をしており、市民達の間には拾った宇宙船からサルベージした技術によって大幅な技術発展が可能になったのだと、冗談交じりで囁かれていたのだが・・・。
 さて、人が集まれば当然その家族の子供が通う学校も必要となる。
 その内のひとつ、外輪山の頂上付近に私立女子グラビトン学園はあった。
 今のように朝の登校時間ともなればブレザーに身を包んだ女生徒たちが群を成して坂を登っていたのだが、最近それに変化が現れた。
 グラビトン学園校門前。
 夏にも関わらず、冬服を着込んだ女生徒がひとり、腕を組んで佇んでいた。
 登校してきた女生徒たちは長髪に縦ロールを掛けたその美少女と校門の周りに立ちはだかる巨大な人影を興味深そうに眺め失笑を漏らしていた。ここの所毎朝の騒ぎを皆楽しみにしていたのだ。
 その時、砂煙りと共に坂道を100キロオーバーで駆け上がってくる赤い髪の女の子と、彼女に手を引かれた金髪の女の子の姿が目に入った。
 その途端、女生徒たちは黄色い歓声を上げた。
「キャーA子よー」
「今日は一体どんな戦いをするのかしらぁ」
 ・・・・・・ドドドドド!!
 足音が目前まで迫ると彼女は腕組みをし、校門の前に立ちはだかった。
「待ってたわよA子。今日こそは本当に決着を着けて上げるから覚悟なさい」
「うげ、B・・・美子さん。あ、あのぉ〜、せっかく今日は早起きして遅刻しなさそうだしぃ、通してくれませんかぁ」
「フン! 笑止! 貴女の魂胆なんて私には全てお見通しなのよ!」
「はぁ?」
「貴女はいつだってそうだったわ、いつも私の大事な物を笑って奪って行く、この悪魔っ子が・・・私が眠れぬ夜をどれだけ過ごしてきたか貴女に分かって!?」
「いえ、だって私が転校してきてまだ4日目だしぃ。貴女のことなんか私全然知らないわ」
「ふん、しらばっくれるつもりなら思い出させて上げるわ。貴女ゆりかご幼稚園出身だったわよねぇ、そこに貴女が突然やって来て以来私とC子の間に入り込んだのよ」
「えっ!? ゆりかご幼稚園、13年前・・・、ゆりかご・・・う〜んんんんんんん・・・?   あっ! 思い出した!!」
「えっ? ナニナニィどしたのAコぉ」
「ホラホラァ、ゆりかご幼稚園にいたじゃない、おかっぱ頭で顔にブツブツがあっていつもC子イジめていた子、あの子の名前が確かぁ・・・ブツ、ブテ、ブタ、ブト・・・え〜と・・・そう! B子!」
「やっと思い出したようね、そうよ私がそのB子よ!」
「それで? そのB子さーんがどーかしたーんでーすカー?」
「くっ、バカにし切ってるわねA子ぉぉ。・・・13年前の恨み、今日まとめて払ってやろうって言ってんのよ!」
「はぁ? バカみたい・・・・・・・・・・行こっかC子」
「うん! らんららんららーん」
 A子は傍らのC子に声を掛けるとB子を無視して校舎へ踏み出した。
「ちょっとちょっとちょっとぉ! 決着を着けるって言ってんでしょ」
「そんな昔のことなんか知りませんよーだ、バッカじゃないの?」
「な・ん・で・すってぇぇええええ!!! 問答無用!! 嵐山5号、やってお仕舞い!!!」
「「「ハッ!」」」
 B子の命令と共に身長15メートルの4機の重機動メカが動き始めた。
「全く聞き分けのないヒトね、C子ゴメン、先行って代返しといてくんない?」
「うんわかったぁC子さきいってるねぇ。やっほーぃ」
「さて、そこまで言うんだったら相手したげるわ!カンプないくらいにね!!」
 A子は不敵な笑みを浮かべ、シッカリと大地を踏みしめるとファイティングポーズを取った。

 決戦だ!!



 後編へ続く。 

<前編の後書き>

 さて、皆さん。今回の元ネタを全部知っているヒトが何人いらっしゃるでしょうか。
 ハッキリ言って、作者以外にこんな守備範囲の広いヒトはぁ・・・・・・いますね。
 さてさて、今回は生身ユニットの増強期間です。彼らが活躍するかしないかはまだ分かりませんが。
 まぁ出来ればブルーソネットさんとバードさんには活躍して貰いたくないって感じですかねぇ。個人的に。お幸せに。
 他にも生身でロボットと戦える人達が出てくる予定はあります。隣の国、中華共同体はGIANT ROBO The Animation.の世界と設定してありますのであの濃い人達が出てくる可能性があります。
 さてさてさて、そして遂にロボット物の王道、マジンガーシリーズの参戦です。
 私はマリア・グレース・フリードさんのファンですので、兜甲児の恋人は彼女に大決定とさせていただきます。
 また、ここに出ているスーパーロボット博物館は「グレンダイザー対グレートマジンガー」を参考とさせて頂いております。
 それではそれでは。
1999.7/29。EINGRAD.S.F
あと2日で世界を滅ぼせるのか!?


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