インターミッション/リターンofブラックプリンス−プロローグ




奥秩父、山中。


 ここには世界の破壊を企む秘密結社が存在した。
 その名はYUZAME。
 <世界温泉化計画>と言う冗談の様な名称の世界的な環境破壊テロの実施を推し進めてきた組織であった。
 しかし、時空融合後にそれを察知したメデューサら妖怪軍団により、制圧された。
 元々極地の地殻を破壊しマグマの熱により極地(南極及び北極海周辺の陸地にある氷河群)に存在する膨大な量の氷を溶融し、海水面を上昇させて風呂好きな人間に迷惑を掛けようと云う「地球温泉化計画」を実施しようとしていた彼らであったが、動機は兎も角、その結果は空恐ろしい物であった。
 その計画を実行する為にYUZEMEは地中を掘り進む能力を持つ巨大ロボットを開発していたのであったが、アシュタロス大戦に於いて壊滅させられたアシュタロス派の妖魔軍団の敗残兵たるメデューサ率いる妖怪軍団はそれを強奪し、人間に対する恨みを晴らしてくれようぞと、人類断種を敢行しようと画策したのである。
 YUZAMEの計画していた<地球温泉化計画>とはすなわちホットスポットを現出させようと云う物であった。
 ホットスポット−−  一説には地球の過去に発生した大絶滅の原因かも知れぬと推測されている現象である。
 それは地殻の下に密閉されているマントル層のマグマ塊が直接海中もしくは地表に直接現れる事で引き起こされる数世紀単位の長期に渡って引き起こされる大噴火による災害である。
 巻き上げられた火山灰等のミストによって短期的には地球気温の極度な下降による寒冷化、そしてその後に訪れる火山性温風とミストによる温室効果によって顕在化する灼熱地獄が数世紀から数万年もの長期間に渡って発生し、地球生物相は壊滅的なダメージを受けるのだ。
 そして、マグマの熱に耐えられるYUZAMEの巨大ロボットはそれを行うのに最適であったのだ。
 人間に怨みを持つ者達の集まりである妖怪軍団はホットスポットを引き起こし、人類断種を敢行を成し遂げようとしていたのである。
 しかし、ロボットの建造、操縦は人間に手によってでしか成し遂げられない事であった為に妖怪軍団達はYUZAMEの構成員達を虐殺する事は出来なかったのだ。
 妖怪軍団によって制圧された旧YUZAMEのロボット作成グループでは、以前とはかなり効率が下がったが、着々とロボットは完成に近付いていったのである。
 そしてそれは世界の誰にも知られる事無く、地中深くにて着々と進められているのであった。

 しかし、その事実に最も近付いている者達がいた。
 それは大宮市の地下基地にある現在日本連合の防諜組織の一部門に組み込まれている旧温泉Gメンの3名、コードネーム「草津」「指宿」「御所掛」である。




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