時に新世紀元年五月、後に「RYOMA」の名の元に世界的な大企業として大成功を遂げる「海援隊」誕生の瞬間であった。
第9話「加治首相と四国圏の女神達」 Bパート
「…ちゅう状況で今んとこKCS(海援隊・カーゴ・サービス)はTSLを「客船」・「貨物船」・「貨客船」、その他改造型のすべてを合わせて27隻保有し運行しちょります。主な航路としては「東京−高知」、「上海−下関−高知」、「基隆(キールン)−那覇−高知」、「大泊−小樽−新潟−出雲−下関」んで「苫小牧−仙台−東京」ってとこですっちゃ」
四国圏上空を南へと飛ぶ四国圏自治政府専用MATジャイロ(鰹シ山航空機改良型)である。
その機内には四国圏視察中の加治首相と田中国土相。そしてホスト役の橋本主席と坂本四経連会長、それと彼らに随行する面々が乗り込み今夜の宿泊先である高知隆山の「鶴来屋ホテル」へ向かっていた。
そしてその機内において引き続き坂本らによる四国圏の経済状況の説明が行われ、現在は輸送機関、特に四国圏と海援隊が誇るTSLに関する説明が行われていたのである。
「どの航路も旅客輸送に関してはキャンセル待ちが出っぱなし、貨物ん方もどん船も満載でぎりぎりん状況で運んでおるちゅうことじゃったな」
「そん通りじゃ橋本さあ。そん訳で我がとことしてはあちこちの航路にもっとTSLを投入したいとこなんですっちゃが、何分今んとこTSLを作れるんが、海援隊重工の高知港の造船所群と、同じく海援隊重工の神戸造船所だけですきに、自衛隊向けに納入せにゃならん分もあるきに。どんなに頑張ってもちっくりちっくりしか投入が進んじょりません」
「その辺の割り振りはどうなっておりますか?」
「とりあえず神戸の方で作っちょるやつを全隻自衛隊向けに回しちょります。ほいでも何とか納入できるんが月産1隻半から2隻、高知の方とも合わせても何とか月に4からうまくいって5ちゅうとこが精一杯、時にはどう頑張っても3隻がやっと完成するちゅうとこですっちゃ」
「ただ海援隊重工の方で今度九州の方の造船所の購入話がついたそうですきに、もうちと速いペースで投入ができるじゃろちゅうことじゃったのう。坂本さあ」
「そうなんじゃがのう、ただドックの改修工事と、技術者の養成をせにゃならんちゃからの、此処しばらくはこん状況が続くっちゃの」
「なるほど」
「ま、今んとこはそんな状況ですがの、将来的にはTSLの航続距離を勘案に入れましての。台湾か香港、それと越かシンガポール(獅子ヶ港?)辺りに中継基地を設置しましてな、天竺と日本をTSLの直通便で結ぼうと考えちょります」
「さらに西に伸ばせば中東を経てエマーンとも結べますからの、夢は広がるっちゅうとこですな」
「そういうことですか」
「そういうことですっちゃ…と。そろそろ見えてきましたの」
MATジャイロが彼らを乗せて進む、やがて隆山湖が見えてくる。そしてその湖畔に広がるのが四国圏最大級の温泉街である隆山温泉街、その中でも最大級の規模を誇るのが「四国の迎賓館」である「鶴来屋ホテル」である。
「はあぁぁ、これはまた」
「とても大きなホテルですね」
「四国圏でも最大・最高級のホテルですからの」
「えっと、五つの別館を従えた本館十五階建て、じゃったかの」
「それに将来は全天候用の多目的ドームを含めた総合レジャー施設計画を構想ちょるしの…、と、着きましたの」
本館裏のヘリポートにMATジャイロが降りていく。そこには「四国圏の女神達」を中心とした出迎えの人々が歓迎に待ち受けていた。
…
とりあえずパーティーの始まる前の加治首相の部屋である、そこには加治首相といつも一番身近にいるメイドロボ「セリオ=アユミ」がいた。
「…マスター、こちらにパーティーの衣装の用意が出来ました」
「ああ、ありがとうアユミ」
コンコン
「マスター?」
「ああ、どうぞ」
「首相。すまんが失礼させていただく」
「「「失礼しまーす」」」
そこには「四国圏の女神達」のメンバーである「ラリー=シャイアン」四国圏自治政府財務委員長、そして「高原 彩理」潟Cーディス営業本部長、「柏木 千鶴」鶴来屋ホテルグループオーナー、そして「真田 三月」四国電通社長兼ジャストソフテム営業本部長が姿を見せていた。
「どうされましたか?」
「初めてお逢いする。四国圏自治政府財務委員長「ラリー=シャイアン」だ。で、こちらの彼女らが…」
「ああ、あなたが加治首相のお気に入りのセリオさんね」
「あんまり見た目は普通のセリオと変わらないけれど…」
「でも、土台がいいし、これでしたらあのドレスが似合うかも」
「あら、それならあの方がいいんじゃないかと思いますが…」
「えーでもあの白い方もいいと思うけど…」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
「マ、マスター」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
と、彼女たちの勢いにさすがの加治首相も口を挟む間もなく、三人の女性陣にセリオ=アユミはどこぞへ連れて行かれてしまいましたとさ。
「こ、これは…」
「非常に申し訳ない、首相」
「どういうことですかラリーさん!!」
「おっとと、まあそう怒らんでくれんか。別にとって食おうというわけではないのだからな」
「それはまあそうですが」
「ただ、いつも首相の身近にいるメイドロボの話をあの連中が聞いたらな、「それなら一緒にパーティに出ていただきましょう」ということになってしまってな」
「はあ」
「今頃はあの連中の着せ替え人形になってるころだろうな」
「そういうことですか…」
…
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
「やっぱりこちらの方が」
「それならレースの大きい方もいいんじゃない」
「だったらこうすると…ほら」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
「あ、あのその…」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
…
「まあ、そういうわけゆえ。しばらく私とお相手していただけると幸いなのだが」
「そうですか…、ああ、そうそう一つご質問よろしいですかな」
「なんなりとどうぞ」
「それではお言葉に甘えて。ラリーさんは四国圏財務委員長の他に公安担当の職も兼ねられておられましたな」
「ええ、一応そういうことになっておりますが」
「国の秩序治安維持を預かる最高責任者としてお聞かせ願いたいのですが、この四国圏の治安維持関係についてはどうなっておりますかな」
「そのことですか。ま、治安維持機関と言っても四国圏は日本連合の一自治政府にすぎませんからな。別に軍を持っておるわけではない。ま、当たり前と言えば当たり前ですな」
「それはそうですな」
「というわけで、治安維持機関となると警察となります」
「その通りですね。その警察力、つまり「四国圏警」と言うそうですが、聞いた話によるとかなりの実力を持つそうですが」
「ま、その辺の実務的な面は置いておくと致そう。でまずは「四国圏警」の形態的な面から行かせていただく」
「ええ」
「これにあっては、融合前の香川・徳島・愛媛・高知の各県警を「四国圏自治政府」のもとに統合したものであって、規模が違うくらいで組織的には他の地域の警察組織と変わらないですな」
「なるほど」
「その代わり能力向上とモラル強化には気を使わせていただいたが」
「ええ、私がいた世界でも警察官による不祥事は大きな問題となっておりましたから、その点に力を入れていただけるのはありがたいですね」
「住民の治安維持というのは政府の基本的でかつ重要な仕事ですからな。それが出来ないような政府ならさっさと潰れてしまった方がよい」
「ううむ、過激な意見ではありますが、正論かも知れませんね」
…
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
「ネックレスは…これかな」
「やはり真珠がよろしいですね」
「イヤリングとあわせてさ」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
「ですからその…」
「セリオさんどれがいーい?」
「じゃあこのシンプルな方で…ではなくてその」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
…
「組織的な詳細を話すと、四国圏警のトップとして「四国圏警本部長」に「秋山 真之」、その下で直接治安維持に当たる「四国圏警警備部長」に「秋山 好古」を、また「秋山 好古」君には「圏警機動隊隊長」を兼務させております」
「なるほど」
「他、刑事部長として、「藤堂 俊介」。あとは交通・地域・生活安全などの各部からなっております」
「警備・刑事・交通。それに地域・生活安全。なるほど、一般的な警察組織と変わりませんね」
「そうですわね。あとは一応四国圏にもレイバー等の大型土木機械が大量に投入されておりますからね、その対策の為にレイバー隊も保有しております」
「ふむふむ…、あとはと。そう言えばラリーさん、まだ話しておられないことがありますね」
「あ、ああ。ご存じでしたか」
「勿論です。五十嵐君から聞いておりますよ。ただ一度きちんとその詳細をその部隊を成立させたご本人からお聞きしたいと思いましてね」
「やれやれしょうがないですな、首相も人が悪い。どうしても私の口から言わせる気ですね」
「ま、こういうことも必要なことですから」
「違いないな」
「では、お願いします」
「それでは…、この部隊は四国圏警の特殊部隊となっており、指揮権は圏警本部長直下に来ております。名称は「All-round Mobile Police」の頭文字をとりまして『AMP』」
「圏警本部長直下と言うことは、その隊の隊長は圏警の各部の部長と同等になるわけですね」
「そう言うことになります。また、非常時の際には圏警本部長を飛び越して私が直接指揮を執ることもありますな」
「公安委員長直下ですか。それでは…」
「まあ私の元々の古巣ですからね。それによっぽどの緊急事態…デフコンで言えば4か3程度…まで行かないと私が直接指揮を執ることはないですな」
「そういうことですか」
…
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
「じゃこれをこうして」
「手袋はこれですね」
「指輪はこれっと」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
「じゃ、ポーズとってみて」
「こ、こうですか…」
「そ、良い感じよ。じゃあ撮りますよー」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
…
「それでは続きを。現在の隊長は「磯崎 真奈」。組織的には彼女の指揮下に総勢5名の女性で構成されております」
「…たった5名?それも女性のみですか?それは一体どういうことです?」
「まあ、女性と言ってもただの者達ではありませんが」
「超能力者の部隊ということですか」
「超能力というか…、首相。一つご質問をよろしいか」
「は?ええ、かまいませんが」
「ん…、やはりずばりお聞きいたそう」
「はい」
「そ、それは…」
「最近、我々四国圏の有する諜報機関が手に入れた情報なのですがな、連合政府の完全な機密事項となっておりますな」
「…」
「ああ、情報漏洩などは考えなくてよろしい。その点に関しては流石なものです。我々も偶然に掴んだようなものですからな」
「…」
「で、手に入れた情報を分析してみると、どうも「AMP」の隊員である香津美=リキュールや闇雲那魅が使っている力がどうやらそれらしい」
「…」
「また、別の情報分析によれば、連合政府はこの霊力という物に非常に関心を持っており、何らかの機関を持って研究を行っている」
「…」
「そして未だ解明されていないにしろ、研究するだけの価値を持った分野である。ということですな」
「…」
「ふふふっ」
険しい顔で詰め寄っていたラリー=シャイアンであったが、突然微笑みを浮かべ、がらりと口調を変え続ける。
「もし明かしていただけたなら、我々もその理論構築のお手伝いが出来るかも知れません…」
「は?」
「ふふっ」
「どういうことなのですか?」
ピピピピ
「と。首相、失礼します。…ああ、私だ」
「…」
「そうか。そろそろだな。了解です。それではそのように」
ピッ
「そろそろ彼女らの方も準備が終わるようです。この話はまた後に致しましょう」
「あ、ああ…、はい。では私も支度します」
「しかし首相。随分あの子を可愛がっておられるようですな」
「あ、う、それは…」
「まあよいでしょう。私は失礼いたしますが、首相の方も用意が出来ましたら連絡を下さい。アユミさんのところへ案内いたします故」
「あ、はい。っと…?」
「それではまた後刻」
「あ、あ、はい」
バタン
「…そこまで、ご存じでしたか…」
そして、案内の鶴来屋ホテルの「足立」社長と共にある部屋の前に現れた加治首相である。
「こちらになります」
「ああ、ありがとう」
「いえ、では」
コンコン
「なんでしょう?」
「加治首相をお連れいたしました」
「ちょうどよかったですわ。入って貰ってくださいな」
ガチャ
「じゃーーーん」
「加治首相、如何でしょうか?」
「うふふ、いいでしょう」
そこには純白のパーティドレスに身を包み、幾つかのセンスの良い装飾品で飾られた「セリオ=アユミ」が立っていた。
「マスター…」
「ア、アユミ…」
「…」
「…」
「いかがですか?」
「少し説明をさせていただきますと、このドレスは四国産のシルク製で」
「その生糸を愛媛管区の伊予三島にある最新鋭の紡績工場で織り上げて絹布を作ったわけで」
「そして香川のとある服飾工場でCAD・CAMの技術を生かして立体裁断・縫製」
「装飾品の方も冶金・宝石研磨・金属加工などさまざまな技術を駆使してみました」
「つまり、「四国圏の総力を投入して製作した」『四国圏最高級のドレス』、と言う訳になりますね」
「さてその結果は…」
「お二人の反応を」
「観察させていただければ」
「「「一目瞭然」」」
「なんですが…?」
「どうやら」
「成功…みたいですわね」
「マスター…」
「アユミ…」
「それでついでに言えば、この「ティアラ」と「ベール」、それで「ブーケ」なんて持って貰うと…」
「まーさーに「ウェディングドレス」なんですけど」
「必要…なさそうですわね」
(いわゆるひとつの「らぶしーん」なんですが、私にゃ書けねっす。適当に想像してくんさい)
「さて」
「それでは」
「これも」
ぱしゃっ
「「「うふふふふ…」」」
…
そんなこんなもあって本日のパーティーの会場である鶴来屋ホテルの大宴会場「千歳の間」である。
そこではパーティーの開催前の時間を利用して老若男女を問わず様々な人々が集い歓談していた。
例えばその一隅を見ると、そこにはどことなくみすぼらしく見える青年と超絶の美女という長身のカップルが何やら話し合っていた。
「ねえ美貴ちゃん、やっぱりぼくどこか場違いな気がするんだけど」
「ここまで来て何言ってるんだ鷲士。坂本社長から直々の招待状まで貰って来てるんだし、いまごろそんなこと言ってる場合じゃないぞ」
「でもさ、美貴ちゃんならこういうとこも似合ってるからいいけど、でも、こんな首相もいらっしゃるような本格的なとこにぼくなんか…」
押され気味でも選択の権利は彼にあるようにも見えるが、そうは問屋が卸さない。美貴が持ち出したもの――ある人はそれを最終兵器と呼ぶ。彼女はハの字眉で顔を上げると、ギュッ、と鷲士の手を握り、
「わたしのコト、キライ…?」
「まさか〜、うーん。いいよ〜」
これだ。 ニッコリ笑って答えたものの、瞬時に我に返って、鷲士は口を押さえた。あれれ?どうして――泳がせた目がそう言っているが、もう遅い。結局いつものパターンであった。
美貴はお澄ましモードで、体を離した。緩急織り交ぜ、狙い通りの場所に落とす。美貴が悪意のない悪魔と呼ばれる由縁である。
とどめのつもりか、美貌は反論を許さない微笑を浮かべ、
「うん。なら問題ないね、しゅーじ。もっと胸を張って堂々として。ほら、見てみなよ。あの子達なんか…」
「…それじゃ美沙ちゃん。この件に関してはこのまま進めちまっていいんちゃの」
「そうね池さん。残念だけど私たちだけじゃあれの運用は出来ないし、かといってただ捨てたりすんのも惜しいしね」
「そういうことですね、ボス。その点海援隊のみなさんのバックアップさえあれば資金面も問題ないですし、技術面の協力もいろいろと面白いものが出来そうですわ」
「今までいろいろお世話になってるしねー。この辺で返しといてもいいかなって感じかな」
「それはお互い様じゃな。我らの方もいろんなもんを得とるきに。例えば…彼かの」
「彼?」
「あれ、じゃ」
「…というわけです田鶴子さん。総合的には「フォーチュンOS」については現在のところ計画を15%ほど上回る速度で開発が進んでいます」
「うん、よしよし。これならデバックの方に思い切って時間を回して、より完成度の高い製品を発売することが出来そうね。OK。これも樫緒君が頑張ってくれたおかげだわ」
なでりなでり。
「…頭をなでるのはやめてください」
「あらら、いやだった?でも顔を真っ赤にしてそんなこと言っても説得力ないわよ」
「なっ…」
「…樫緒ってマザコンの気があったかな」
「うーーん、どちらかと言うと田鶴子さあがオモチャにしちょるようじゃなあ」
「美沙ちゃんに樫尾くん、いったい何の話をしてるんだ…」
「(汗)ま、まああの二人は特別だとしてもさ、しゅーじ。せっかく私がパートナーに選んだんだから、もっと胸張って堂々としてよ」
「う、うん」
…
そして時間となり、パーティー開催の時刻である。
開会の辞として今回のホスト役の一人である「坂本 竜馬」四国圏経済団体連合会会長が壇上にあがった。
「こん度は大鳴門橋開通とそのついでに四国圏の状況を見て貰うっちことで、加治首相と田中国土相に来て貰ったわけじゃが、ま、方々の歓迎の意味を込めてこんな席を設けさせてもらったちゅうことじゃなあ」
ぴゅーぴゅー
いえーい
「ん、ま、堅っ苦しいんはここまでにして、みな、楽しんでくれっちゃ!!」
おー!!
ぱちぱちぱちぱち
「…しかし驚きましたな」
「ん、なんですっちゃ田中さあ」
「いやあ、坂本会長のスピーチですわい。いつもあんなんですかの」
「まあ、長々と話してもだーれも聞きませんからの。そん席の目的だけずばっと言いましてな、あとは2秒で済ますっちゅうことですの」
「なるほど、こいつはいいですなあ。わしも次回から坂本流を使わせてもらいますかなあ」
「「はっはっはっはっは…」」
そして宴の席がはじまった。
その賑やかにて華やかな会場の一角にて。
二人の何れも海援隊の重役がなにやら談話中であった。
一人は海援隊のグループ企業である「海援隊金属」を担当する「中岡 慎太郎」。もう一人は同じく「海援隊ケミカル」を担当する「武市 半平太」である。
「…というわけじゃあ武市さあ、福岡の赤池炭坑の先月の産炭量は先々月に比べ120%。その他の筑豊地区も宇部・防府方面も長崎・有明地区も全ての炭坑でフル稼働で産出中じゃ。やっぱレイバーの大量投入は正解じゃの」
「そうかそうか、ケミカルの方もな、石炭液化プラントがなあ、新しく小倉と高知に建設中じゃし、多度津のやつも今治のやつも24時間操業でフル稼働中じゃ。今治は特にのう、呉の海自の基地に直接燃料を送るための海底パイプラインを引いたからの」
「ん?呉へかの?海自の方じゃ確か軍艦の動力に普通のエンジンをやめて「核融合炉」を使っちょるはずじゃなかったかの」
「まあ大型艦はな、ただ小型艦の方は相変わらず普通のエンジンじゃ。一隻一隻は小さくとも、数が多いからの。それなりに消費するしの、大型艦も補助として使うしの」
「そういうことか」
「そうじゃ。それに多度津の方もな、対岸の倉敷の水島コンビナート、ここへ海底パイプラインで液化したやつを送ってな、一体化した石油化学工業を行っておる」
「水島コンビナートか…、結構いい値だったがの、全部まとめて買い取ったんは正解だったのう」
「まあのう。原料の供給から加工、そして製品の生産まで一貫生産しちょるからの。こいつは価格競争に大きな武器じゃ」
「そうじゃな。金属の方も国内だけっちゃなく海外でもいろいろ採掘をおこなっちょるしの。加工の方もな、八幡の製鉄所も手に入れたし、高松・小松島・仁淀と高炉を作って製鉄をやっちょるしの。別子の銅山からは相変わらずとんでもない量の銅鉱石が出ちょるし、そいつで新居浜の製銅所はフル稼働しておる」
「えーとじゃなあ。確かそん他にも兵庫の生野銀山、島根の江合鉄山、石見銀山、んで鹿児島の串木野金山じゃったっけ」
「そうじゃ、他に人形峠のウラン鉱山を含むがの。結局西日本の主な炭鉱・鉱山は海援隊で買い占めさせてもらったじゃいの」
「鉱山だけじゃないぜよ。田鶴子さあがやっちょるんじゃが、島根の出雲でじゃ、「米子―松江―出雲」の各都市を結ぶ地域においてうちとこの地域開発計画が動いちょるしのう」
「他にも工業・商業・流通・運輸・通信、あといろんな施設だとかを買収・建設したおかげで、四国圏はがっちり握ることが出来たしの、中国・九州地方にも確固たる地盤を作ることが出来た」
「近畿でも、神戸じゃうちとこの造船所と関係の会社がフル稼働じゃし、りんくうタウンでも地元企業に営業面からがっちり食い込んだしの」
「西日本経済はばっちり押さえたっちゃ」
「それも言い過ぎではないがの、だがまだまだじゃ」
「ああ、我らはまだまだ伸びるぞ…」
またある一方では加治首相がアユミ=セリオとともに宴を楽しんでいた。
勿論この席のメインゲストである加治首相の周りには多くの人々が集まっていたが、その人垣を分けてかの女神たちが登場してきた。
<つづく>
どもこんにちは。小さな一読者です。
というわけで(どんなわけだ?)「海援隊がゆく」第9話のBパートをご披露いたします。
…と、また尺を間違えた。
なぜだ。
今回のお話で「加治首相VS四国圏の女神達」をやってしまおうと思っていたのに。
なぜこーなる。
鶴来屋への移動と、準備と、宴会の冒頭シーンだけで此処まで伸びてしまった。
なんでこーなるんだ。
そりゃ自分だってこの際手持ちの設定を出来るだけ公開しようとは考えた。
その結果がこれかい。
なんと女神達が登場してくるシーンの前でこうなってしまった。
こ、これは間違いなく殺される。
だけじゃすまないな。
あはははは。
さてと、ここは逃げの一手だな。
やはり。
だがその前に。
何とか次回予告だけでも。
次回はこのままこの続きから始めます。
つまりいきなり「加治首相VS四国圏の女神達」「ラウンド1」です。
どぞよろしく。
ではさようなら。
捜さないでください。
「「「甘いっ!!!」」」
どがっ!!!
「こ、今回は若手の三人でしたか…」
ぐぶっ
「さーてと、今度はこれを田鶴子さんのとこへ持っていかないとね」
「でしたらこう足を掴んで…」
「引きずっていけばいいか」
きゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃいきゃい
ずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずるずる
教訓:女神達は若手だろーと誰であろーととにかく恐ろしい。
<Ver.2>
岡田“雪達磨”さんたちと話し合った結果、本話のなかで重大な設定ミスが発覚しました。
このまま放置すれば、日本連合の設定を勘案した結果、四国圏ごと崩壊しかねません。
ので、緊急改稿を行わせていただきました。
関係の皆様には多大なご迷惑をおかけいたしました。
謹んでお詫び申し上げます。
<アイングラッドの感想>
・・・・・・・・・キックオフ? 最早この意味がわかる人は存在するのだろうか?
ラブラブですねー、加治さんヒューヒュー!
「私の加治さんをからかう人は・・・例え神だろうが小動物だろうが容赦はしません・・・。覚悟してくださいね(にこっ)」
ア、アユミさん?
「アナタにさん付けで馴れ馴れしく呼ばれるいわれはありませんよ?」
その手に持つ鈍く光る得物は一体・・・ちょほいと待たれい! 君にはロボット3原則を参考にしたOSが組み込まれているので無かったのではなかったと?
「はい、勿論人間の方に危害を加えるなんて・・・でもアナタは人間では無いですから問題は無いんですよね」
ちょっ・・・確かにこの世界の人間では無かとですが(>_<) >
「ホラ大丈夫じゃないですか・・・フフフフフ。ではポチっとな」(ノ-_-)ノ......*~●
ダッシュ(((((;^^)
・
・
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・
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・
ドッカーン!
「悪は滅びました。めでたしめでたし」
俺の何処が悪なんだぁ〜!!
「心覚えなら幾らでも・・・特に・・・この投稿があってからどの位経っているか憶えてないんですかァァァ!」(#-_-)凸
あうう・・・皆様ごめんなさい・・・。(T T)
「御免で済めば」(-_-#)
「死刑執行人は」(-_-#)
「いりませんわ」(-_-#)
をぅっ・・・女神様の面々が・・・いつの間に!?
「判決は?」
「当然・・・」
「くっくっくっくっ」
あぁあぁあぁあぁあぁ〜・・・(沈黙)
岡田さんのホームページにある掲示板「日本連合 連合議会」への直リンクです。
感想、ネタ等を書きこんでください。
提供/岡田”雪達磨”さん。ありがとうございます。
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