時に新世紀元年五月、後に「RYOMA」の名の元に世界的な大企業として大成功を遂げる「海援隊」誕生の瞬間であった。

SSFW外伝−「海援隊がゆく」−


第9話「加治首相と四国圏の女神達」



 ドンドン、パーーン。

「…それでは本四連絡ルートの再開を祝しまして加治首相、田中国土相、橋本主席、坂本四経連会長にテープカットをお願いいたしましょう」

 パチン
 わーーっ
 ププーッ、ブーーン。
 新世紀2年4月下旬。四国圏は徳島、鳴門市の「大鳴門橋・本四連絡橋「明石〜鳴門ルート」再開記念式典の会場である。ちょうど今、来賓の加治首相を始めとする人々の手によってテープカットが行われ、二日前からの徹夜組を含む一般車両の通行が開始されたところであった。
 時空融合の影響によって、この「明石〜鳴門ルート」を含む3本の本四連絡ルートは完全にその機能を停止していた。四国側が明治時代になってしまい、橋が完全に消滅していた「尾道〜今治ルート」、またそれよりは状況はひどくないものの「児島〜坂出ルート」もその機能を完全に失っていた。しかし、この「明石〜鳴門ルート」は北側の本州と淡路島を結ぶ「明石大橋」は無傷で残っており、南側の四国と淡路島を結ぶ「大鳴門橋」も破損を起こしていたのは一区画だけであったため、この「明石〜鳴門ルート」は早期の再開が期待されていた。が、その再開が融合後一年たったここまで延期されてしまったのにはとある訳があったのである。
 その訳というのは、橋の構造上に関わる問題であった。元々「本四連絡橋」というのは鉄道も道路も利用できるよう橋桁の上部に道路、下部に鉄道という二階建て構造になっている。しかし、この世界に出現した「明石〜鳴門ルート」に関しては、北側の明石大橋についてはこの二階建て構造になっていたものの、大鳴門橋に関しては何故か鉄道部分がなく道路だけという何とも中途半端な構造になっていた。当初はこのまま道路だけ再開させてしまおうという案もあったのだが、四国圏の上層部からの「そんなもったいないことするんじゃない。使えるものはちゃんと使えるようにしなさい!!」という命により、急遽復旧作業が延長され、大鳴門橋に大改造が行われ鉄道部分が設置、この度無事に本州と四国が鉄路でも結ばれることになったのである。
 話を戻して

「…それでは加治首相、田中国土相。こちらのお車へどうぞ」
「ありがとう」
「おお、こりゃすまんことで」

 がちゃ、バタン。

「ようこそ加治首相、田中国土相」
「今回の四国訪問の間、ワシらが首相達の案内役を務めさせてもらうぜよ」

 そういうことである。今回の来賓である加治首相と田中国土相に差し回された車には案内役という形で、「橋本 大二郎」四国圏自治政府主席と「坂本 龍馬」四国経済団体連合会会長が既に乗り込んでいたのであった。

「おっと、こちらは橋本主席に坂本四経連会長。それはありがたいことですがお二人ともお忙しいのでは?」
「ああ、それなら平気です。優秀な部下もおりますし」
「たまにはんなことでもして気抜かんとやってられんぜよ」
「そりゃ、とてもよく分かりますなあ」
「「「「あははははは…」」」」
「…さて、橋本主席。質問してよろしいですか?」
「ええ、加治首相」
「本日このようにして本四連絡ルートが再開された訳ですが、この橋が四国に与える影響としてはどのように考えられてますか」
「そのことなら…経済的なことが大きいゆえに、坂本さあから説明してもらうがいいでしょう。なあ坂本さあ」
「ん、んじゃ説明させてもらいますがな、この橋は本州と四国を、もっと言えば関西圏と四国圏を直結する形で結んでおりますきに」
「つまり、この坂本率いる海援隊を筆頭に経済的に高成長を続ける我が四国圏と、りんくうタウン及びリ・ポートピアプランの二つの大規模プロジェクト、そして関工共に引っ張られる形で経済発展を続ける関西圏が鉄道・道路の陸路で直結された。ということです」
「そういうことですな」
「この経済的に高成長を続ける二つの地域が直結されることによるメリットなどと言う話は首相にとっては「釈迦に説法」でしたの」
「まあ、確かに説明されるまでもないわな。例えば高い技術力を持つ中小企業がわんさかと存在しておる関西圏と、TSLを有し、西日本の物流の拠点となっておる四国圏との結合じゃ。考えただけでも高い効果を産むのは分かり切ったことじゃ。そういった物が数え切れん組み合わせで存在する。こりゃとんでもない経済波及効果を生み出すぞ」
「確かにそうですね。四国圏と関西圏。両方とも高度な技術力と工業施設、それを支える有能な人材が多く存在する地域です。この二つの地域の直結ですからね、日本経済にも非常に良好な影響を与えることは当然と言えるでしょう」
「だが、もうちょっと細かい面で見るとそうもいかんのじゃなかったかの、坂本会長」
「ああ、そうですきに。田中さあの言っておられるんはこの橋の位置が関西圏において偏っちょるちゅうことですのう?」
「うむ、そういうことじゃ」
「確かにそうですね。地図を一見すればわかりますように、この橋の関西圏側の入り口である「明石」は関西圏でも神戸側に近いところにありますね。ということはこの橋によるメリットも神戸側が多く得ると言うことになりませんか」
「その通りですね加治首相。りんくうタウン側もその点は敏感に感じ取っておるらしくて、我々にこんなプランを持ちかけてきました」

 あるファイルが橋本主席の手から加治首相に手渡される。一読して

「友ヶ島水道トンネル…ですか」
「ええ、四国への中継点である淡路島に渡るのに、神戸側の明石海峡からでなく、りんくうタウンにほど近い「友ヶ島水道」をトンネルで経由して四国圏と結びつけよう。ということじゃそうです」
「なるほどのう。確かにこれなら四国圏への距離が遠くなると言う「りんくうタウン」側の不利な点もなくなるわけじゃなあ」
「そういうことですきに。ただ神戸には海援隊重工の神戸ドックがあったりもして、りんくうタウンと直結させることはうちら四国側にあんまりメリットがないもんですからの、例えば最初建設費については折半ちゅうてきたんですが、向こうが7でこっちが3、ちゅうな具合にしたっちゃです」
「なるほど、それならば問題なさそうですな」
「まあそういうことで…。おっ、そろそろですな」



 本日1番目の視察地「四国電気通信株式会社」
 説明役:四国電通社長「真田 三月」

「…ご覧いただいたように我が社の主要な事業の一つといたしましては、旧NTTの事業を引き継ぎまして、四国圏内における通信網の構築・維持・補修を行っております。また時空融合当初より、圏外の規格の異なる通信網と円滑な通信を行うために、徳島の名東町に「四国圏外通信センター」を設け、圏外との通信の維持管理をとりおこなっております…」

「なあ坂本さあ」
「ん、なんじゃ橋本さあ」
「なんで三月さんがこんなところで説明をしておるんじゃ?確か今日の昼間は男性陣がそれぞれの会社の案内をして、女性陣は夜のパーティの用意だっていうことじゃなかったかの?」
「ああ、なんでもイーディスの方で説明をするはずじゃった長船さあが突然都合が悪くなったとかで、急遽仁村さあがそっちに回ったんでな、説明をする人がおらんようになったんで、そんで鶴来屋の方に連絡をとって三月さあに来てもらったそうじゃ」
「ふうむ。でもそれなら実際に開発の指揮を執っておるあの天才美少年でも引っ張り出せばよかったんじゃないかの?」
「そりゃ開発しちょる本人じゃからそれなりの話はできるじゃろうが、あん不愛想をそんなことに出すのは好かんぞ」
「ま、そうか…」
「本人もやりたがらんじゃろうしな」

「…また、我が社のもう一つの大きな事業として「四国圏共同次世代コンピュータOS開発計画」に基づきまして、本計画の中核企業として、次世紀のコンピュータOSの標準を目指し、新型OS「フォーチュン」の開発を進めております。これにはこの四国が有する情報技術の全力を投入し、また我が社においては「四国圏外通信センター」の運営にて得られた日本各地に出現したそれぞれのコンピュータOSの技術をも盛り込み、全コンピュータOS分野におけるデファクト・スタンダードを目指しております…」

「そいでな、説明に関してなんじゃがな、最初は高原さあにイーディスの方に来てもらうつもりだったそうじゃが、「準備の時間がどうこう…」とかで、一番先に始まって終わる三月さあが出てきたんじゃと」
「そういうこと…か」
「そういうこと…じゃ」
「だが、女性陣はそんなに時間をかけて何をやらかそうというんだ?」
「それはな…想像せん方が身のためじゃと思うぜよ」
「それも…そうじゃの」

「そこ、聞いてますか」
「「はいぃぃぃ、聞いてますぅぅぅ」」



 本日2番目の視察地「株式会社ジャストソフテム」
 説明役:ジャストソフテム開発本部長「四加 一樹」

「…我が社の主な事業の一つと致しましては、オフィス向けのパソコンアプリケーションの開発が上げられます。皆さんもご存じのように我が社が開発・販売を行った日本語ワープロソフト「太郎」シリーズは市場で高い評価を受け、現在に至るまで日本語ワープロソフト業界におけるスタンダードとなっております。またこの「太郎」を中核に表計算ソフト「三郎太」、プレゼンテーション用ソフト「華子」、電子メール・スケジュール管理ソフト「五郎丸」などを有機的に組み合わせたオフィス用統合ソフト「太郎Office」も非常に高い評価を受けております…」

「ここと四電通、それにイーディスのおかげで情報通信産業は四国の産業の柱になっちょうからの」
「ああ、高松にも中小規模のソフト会社が集まってきとるからの。「徳島〜高松〜来瀬」。こんそれぞれの都市を結ぶラインを「シリコンロード」と呼ぶ人もおるそうじゃ」

「…また、日本語ワープロソフトに関して必要不可欠な日本語FEPに関してですが、我が社においては「A−Talk」を開発し、また融合後数多く出現したパソコンOSに対して互換性を持たせるよう汎OS対応化を行いました。この結果、日本語FEPにおいても我が社の製品である「A−Talk」シリーズがスタンダードの地位を固めつつあります。また、この汎OS対応化の過程において我々は現存する数多くのコンピュータOSに関して非常に多くの重要な技術と情報を得ることが出来ました。現在その技術を生かし「四国圏共同次世代コンピュータOS開発計画」において「四国電気通信」と共に主導的な立場を得るに至っております…」

「OS開発の方は何処まで行っちょったかの」
「ああ、そろそろ機能評価型のβ版のプロトタイプが仕上がるそうじゃ」
「もうちょいっちゅうとこかの」
「そうじゃの」



 午前中の予定をこなし、加治首相一行は空路にて徳島を離れ高松に向かった。本日の今後の予定は、四国圏自治政府の行政府庁舎で昼食・会議後、来瀬市にて潟Cーディス視察。その後、本日の宿泊地である高知隆山の「鶴来屋ホテル」へ入ると言う予定になっている。 その移動中の機内(四国圏自治政府専用MAPジャイロ(鰹シ山航空機改良型))にて

「…というわけで坂本会長」
「ん、なんですかな加治首相」
「四国圏の産業の状況についてお話を願いたいのですが」
「そうじゃの、日本国内でもトップクラスの経済成長率を誇る四国圏の状況を、トップ企業たる海援隊グループ社長の目から説明して貰うの面白いかもしれんの」
「そ、そりゃのう、いきなりそんなん言われても何の準備もできちょりませんが」
「いいんじゃ坂本さあ、詳しいことは行政府の方について幾らでも説明できるからの、ここではおおざっぱなことでええんじゃ」
「そうかの、それではの…あ、橋本さあ、あん話はしたかいの」
「あん話?」
「ほら、あれじゃ…」
「あ、あーあーあれか、そういえばまだじゃいの」
「こん話は通しとかんとまずいじゃろ」
「そうか…んじゃ頼むぜよ」
「ん、そいではの…加治首相、今からする話はこん四国圏でも特級の機密事項に当たる話なんでどうか他言無用にお願いするぜよ」
「え、ええそういうことなら他に話すことはしませんが」
「田中さあもよろしくお願いするっちゃ」
「あ、ああ、了解ですわい」
「ん、ではのお二人とも、こん四国圏にある別子銅山はご存じですかの」
「別子銅山?聴いたことがあるような」
「愛媛の東部地域にある銅鉱山のことですね。最盛期には産出量が東洋一の規模を誇ったとか…」
「さすがですなあ。で、その別子銅山がどうしたんですかいの」
「ん、今首相が言われたように一時は東洋一の規模を誇った銅山ですからの、こん時空融合後、わしらもその辺りを詳しく調査したんですきに」
「ほうほう」
「そうしましたらの、なぜだか分かりませんが地層がぐしゃぐしゃになっちょりまして、残念ながら坑道とかは結構潰れてましての、一時はあきらめたんですがの」
「なるほど」
「そん後諦め切れませんでの、海援隊と自治政府共同で地下の調査をしてみたんですっちゃ」
「どうなったのですか」
「結論から申し上げますっちゃ。こん四国圏の別子銅山は地下にとんでもない量の銅鉱を持っちょうおります」
「現在の推定埋蔵量は二百億トン。ただしこの数字は今後の調査で増えることはあっても減ることはありませんです」
「経済省から出ている統計データから計算して、こん埋蔵量を国内消費量で割った可採年数は約5000年、勿論こん数字も分子の埋蔵量が増えれば当然大きくなりますきに」
「なんと…」
「それは…」
「そういうことですっちゃ、わしらがこんデータを公開せんで機密事項としたんもお分かりですっちゃろ」
「このデータが流れたとすれば銅の価格は大暴落、それに引きずられて金属市場は大混乱となるのは目に見えておるな」
「せっかく軌道に乗り始めた日本の景気に大ブレーキをかけることになりますね」
「そういうことですっちゃ。そこで首相にお願いがあるんですっちゃ」
「なんでしょうか?」
「取り敢えずこんデータは今のまま機密事項に。別子銅山からの産出量はこっちでコントロールして何とか値段を軟着陸する形で持っていくようにしますきに。どうか公正取引委員会とか江戸川さんたちの案件にならんようにしてもらえんですじゃろうか」
「そういうことですか。うーむ」
「よいのではないですかな、首相」
「そうはいいましても」
「別に私欲を貪ろうと言うわけではないようですし、経済政策の一環と言うことで、いいと思うのですがな」
「国土相が其処まで言われるのでしたら…、わかりました。江戸川君と公正取引委員会の方には話を通しておきましょう」
「ありがとうございますっちゃ」
「しかし、資源エネルギー庁の方には正確な状況が判明次第早急に報告書を提出して下さい。国の資源・経済問題にも関わることですので」
「了解しました。できるだけ早く報告を出せるようにいたしますきに」



 四国圏自治政府・行政府庁舎にて
 本日の昼食メニュー:「讃岐うどん御膳:月」

「…四国圏の経済に関してはまず圏内の各地域がどの様な時代背景を持って融合してきたかに大きく影響されちょります。まあ、おおざっぱに言えば四国圏は東から西に行くほど時代が遡っておるちゅう訳なんですが」
「なるほど」
「四国圏の東側、徳島・香川に関しては大体西暦2015年からそれ以降、中部の高知中央部と愛媛東部が2000年くらい、四国圏西側に当たる愛媛中・西部、高知西部は第二次大戦前から大正・明治なんてとこまで戻っちょりますきに。んで四国の最西端に当たる佐田岬半島なんぞは年代特定不可能、全くの無人状態になっとりましたっちゃ」
「ほう」
「ま、あとは所々のポイントで其処だけぽこんと年代も関係なく出現しちょるもんがあったりしちょります。無人の佐田岬半島に伊方原発だけがどどんと出てきちょったり、別子の銅山は何時だか不明、高知市内にも「はりまやばし」だけ木造で出現しちょりました」
「まあ、ここらあたりに関しては日本国内何処の地域も同じじゃな」
「そうですね。まとまって出てくるところもあればそこだけ島のように周囲とは違う世界を持って出てくるポイントもある。そういうことですね」
「ま、なんでそうなっておるんかはようわからんちゃが、四国圏の経済構造ってのは、結構その辺に影響を受けちょりますな」
「そういうことですっちゃ、大まかに言えば東部の香川・徳島側に高度な技術を持った工業地域があり、中央部もまあまあ、西側は手工業が主。ちゅうところですの」
「まあ、そんな状況下においてもですな、例えば松山では松山航空機の設立により航空機工業関連が発達して来ちょりますしな」
「ほうほう」
「あとはですな、無人となっていた佐田岬半島一帯を利用しましてな。ほど近い伊方原発と連携を持たせる形であっこに原子力産業を集積しつつあります」
「原子力産業を?」
「そうですっちゃ。明後日にでも視察して貰うことになるっちゃが、まず核分裂燃料生産工場、核分裂燃料再処理工場、核廃棄物再生処理施設、核融合発電実験施設。んでもって今建設中なんじゃが、民間用核融合型原子力発電所、んで水素燃料生産プラントも設置しますっちゃ」
「この施設群により原子力サイクルは完全に閉環してちょります。あとはくさった花火、あ、要するに核兵器の事っちゃです。そういうもんを安全に処理することもできますっちゃ」
「ふむ、一つ質問よろしいかな」
「なんですっちゃ?」
「今出てきた中で一つわからんのがあるのじゃが」
「「核廃棄物再生処理施設」とはどういう施設なのですか?」
「ああ、そいのことっちゃ」
「詳しい理論とかはわしにもよくわからんのですっちゃ。ただ原子核のベータ崩壊とかを中性子線を当てるんことによって人工的に加速して放射能を無くしてしまうとか何とか…」
「んでおまけとして、崩壊をさせた原子核によって有用な資源の産出が行えるとか…」
「こん辺は明後日聞きにいったら詳しく教えてくれますきに、それまで勘弁してくんさい」
「そうですか、判りました」
「ただ聴いても判るかどうか疑問だがな」
「そいもそうじゃの」
「「「「あはははは………」」」」



 本日3番目の視察地「株式会社イーディス」
 説明役:イーディス「仁村 桐生」

「…我が社の主な事業と致しましては、みなさんもご存じのことでしょうが、現在大人気のネットワーク対戦ゲーム「デンジャープラネット」を運営しております。また、その端末店舗となる「コニーパレス」をフランチャイズ形式で展開し「デンジャープラネット」の全国展開を行っております。また、我が社の持つ優秀なコンピュータ技術を元に身障者対応のシステム構築を行っているほか、「四国圏共同次世代コンピュータOS開発計画」に参加し、その開発の一翼を担っております…」
「「デンジャープラネット」ですか、話には聴いておりますが、どのようなゲームなのでしょうか?」
「おお、首相もでしたか、実はわしもなんですよ」

 にやり

「…やってみるっちゃります?」

 坂本が言う。手にはDPのディスクが…。



「…とりあえず加治さあ、そいの操縦は一番簡単なモードになっちょります。前のレバーを行きたい方向に倒して移動、足下のペダルで方向転換。向きたい方を踏んでくんさい」
「そしたらば、右手のスロットルレバーでスピードのコントロール。ボタンを押すとジャンプするっちゃ。んで、レバーのトリガーを引けば攻撃。こんモードの時はセミロックオンせんと弾が出なんきに、前の丸が赤くなったときにトリガーを引いてくれっちゃ。要は慣れっちゃね」
「おっとこれは…」
「いやあ、なかなか難しいもんですなあ」
「そういえばこの「デンジャープラネット」では自分の好みの機体を選べると聴いとりましたが…」
「ああ、はい、そうですきに」
「今回はこっちで用意させてもらいましたんに乗ってもらっちょりますがの」
「ちなみに坂本さあが乗っちょるのが「超時空要塞2015シリーズ:RX-78GP03デンドロビウム」改「オテントサマ号」じゃったの」
「んで、橋本さあが乗っちょるんが「超時空要塞2015シリーズ:MSZ-006Zガンダム」:武装強化型」じゃの」
「んで加治さあが「超時空要塞2015シリーズ:RX-93 Hi-ν-GUNDAM」で」
「田中さあのは「超時空要塞2015シリーズ:MSZ-010 フルアーマーZZ-Gundam」ですっちゃね」



「…んじゃそろそろお二人とも操縦に慣れたとこで行ってみますかいの」
「そうじゃの…っと、あの辺でやっとるな」
「んじゃ行くかいの橋本さあ」
「おし、行くぜよ坂本さあ」

 ゴゴゴゴゴーッ

「…行ってしまいましたね」
「忘れられたかな」
「置いて行かれた方が良かったかもしれませんよ」
「君は…?」



「あれは「ガーベラ・テトラ」かの?」
「それにしちゃ…ずいぶん赤くないかの」
「赤い「ガーベラ・テトラ」?どっかで見たような気がするの」
「そういやわしもどこかで…」

 そして坂本機、橋本機、そして謎の機体が接触する。

「うわっ…ちゃあ!なんなんじゃこん敵はあ!!」
「うおっ…っとお!なんでガーベラ・テトラがサイコミュなんぞ持っとるんじゃあ!!」
「サイコミュ持ったガーベラ・テトラってえええ!!」
「まさかこん機体はああ!!」
「「田鶴子さあの「QUEEN CRANE」!!!」」
「「なんでこんなとこにおるんじゃああああ!!!」」
『…坂本社長、橋本首席』
「そん声は…うおっとお!!、仁村君!」
『はい、ごめんなさい、坂本社長、橋本首席。自分は田鶴子さんに命じられてあるトラップを仕掛けさせられたんです』
「なんじゃと…うおりゃああ!!」
『そしてご明察の通り、その機体は、操縦しているのはAIですが、間違いなく本物の「QUEEN CRANE』です』
「って…ぬおっ!どういうことじゃあ!!」
『テスト用にデータ取りさせて貰ったやつです。ちなみにAIの方も田鶴子さんの操縦パターンから構築した物で再現性については折り紙付きです』
「じゃからそういうことじゃなくてなあ…うわあっ!!!」
『それについては田鶴子さんから伝言があります』
「「でんごん?」」
『読み上げます。『今回の加治首相一行の案内についてはお二人にお任せします。ただ、そのことを忘れて遊んでいるようなら許してはおきません。お仕置きです。そんなときのためにあちこちに幾つか仕掛けをしておきましたから、もしもどれか発動させてしまったなら、自分の胸に手を当てて、たっぷり反省しなさい』だ、そうです。ごめんなさい。とても自分の口からはこのトラップを話せませんでした。話したりしたら…本当に申し訳ありません!!!』
「「なんじゃそりゃあああああ!!!」」

 どごーーーーーーん!!!

「…と、いうわけなんです。加治首相、田中国土相」
「これは…なんと言うか」
「あわれ…じゃな」
『『田鶴子さあごめんなさーーーーーい』』


 つづく




<あとがき…じゃないか、なかがき>

 どうもみなさま、たいへんお久しぶりです。小さな一読者です。
 前回の投稿から早…ひのふのみ…約4ヶ月ぶりの投稿となります。
「海援隊がゆく」第九話をお届けいたします。
 この第九話では加治首相に四国にお越し頂き、四国圏の各地域を回っていただきつつ、私が作った四国圏の設定を皆様にお目にかけると言うことでお送りいたします。
 今回はそのAパートということになります。
 今回は四国圏の産業の柱であります「情報通信産業」にスポットを当てて書いてみました。
 その他にもちょこちょこ設定が出てますが…
 いいのかな?こんな好き勝手やって。とりあえず本編と矛盾しないようにしましたが。
 他の作者さん達に迷惑にならなければいいけど。
 何かありましたらメールなり何なりどうぞ。


 さて、次回Bパートの予告です。
 今回ご登場いただけなかった「四国圏の女神達」が満を持しての登場となります。
 鶴来屋ホテルの大宴会場「千歳の間」でなにが起こるのか?
 加治首相は彼女たちとのディペートを無事に乗り越えることはできるのか?
 そういえば加治首相付のメイドロボ「セリオ=アユミ」はどうした?(出すの忘れてました。次回は出します)
 では、また。小さな一読者でした。

 さて次回予告も終わったし、さっさと帰ろーっと…うぎゃああああっ!!
(突然地面に空いた穴に落ちていく。そして何事もなかった様に穴は閉じる。そこには「遅筆作者専用お仕置きの間直通通路:作 四国圏の女神達」とあった…)

「お次は誰でしょう?ふふっ」




<アイングラッドの感想>
 小さな一読者さん、どうもありがとうございました。
 とうとう「四国の女神達」が本格的に稼動・・・じゃないな、表舞台に登場の予感がします。
 今までも影響力は大きかったですが、どちらかと云うと影の黒幕的な動きが多かったですから・・・と言って色々と暗躍しているのは変わらずなのですが。
 可憐で華やか・・・近づいたら鋭い刺が刺さりまくりそうですが・・・しかも優秀な才能の持ち主達と来ては文句を云う人も居りますまい・・・ま、写真に性格は写らないと誰かも言っていましたしね。
 いやぁ! 本当に次回作が楽しみです。
 それでは! ・・・・・・取り敢えず感想を云う猶予だけは貰えたようで嬉しいなぁ。
「フフフフフ・・・この世の何が不満なのか知りませんですけれど、そんなに生き急いでいたなんて知らなかったわ。さようなら、アイングラッドさん?」
 ポチッとな。
 彼女が釦を押したと思ったら、・・・自由落下の感触って馴れないと気色悪いなァっていつまでつづくんだこのあなわああぁぁぁぁぁぁっ・・・・・・。
 ぽっちゃん
「続けてふたり、ああ何て哀れな作者共でしょう。お可哀想に・・・ふふっ」




日本連合 連合議会


 岡田さんのホームページにある掲示板「日本連合 連合議会」への直リンクです。
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 提供/岡田”雪達磨”さん。ありがとうございます。


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