時に新世紀元年五月、後に「RYOMA」の名の元に世界的な大企業として大成功を遂げる「海援隊」誕生の瞬間であった。

SSFW外伝−「海援隊がゆく」−

第3話「企画本部長のお仕事」




「…これはいったいどういう事なんですかっ!説明してくださいっ!!社長っ!!!」
「じゃ、じゃからのう田鶴子さあ。我らはこの新世紀に乗り遅れんよう新しい仕事を次々となあ…」
「それは分かりますがっ!だからってなんで我々がゲーム作りなんて物をしなければならないんですかっ!!」

 新世紀元年八月、四国は高知県、高知市内にある商社「海援隊」の本社社長室である。
 この部屋の主であって、またいきなり怒鳴り込まれておろおろしながら答えているのが「海援隊」社長の「坂本 竜馬」であり、  おっかない顔をして社長室に乗り込んできていきなり怒鳴りつけたのが企画本部長の「福岡 田鶴子」女史である。

 彼らの会社は元々高知県を中心とした四国にて商売を行っていたのだが、今回の時空融合による混乱に巻き込まれてしまった。だが彼らはこの混乱を逆にチャンスとしていち早く新たなる商売へと乗り出し、四国全土を商売相手に大成功を収めつつあったのである。そして、急成長を遂げる彼らの会社の新たな取引相手として様々な企業が名乗りを上げ、さらに次から次へと多様な新しい商談を持ち込んで来ていた。そんな海援隊を訪れた企業の一社にとあるゲームメーカーがあり、新たなゲームの企画を求めて彼らに仕事の依頼を持ち込んで来たのである。
 この話を聞いた坂本は大喜びで企画を開始したのであるが、その秘密裏に進められていた計画を聞きつけた福岡女史に怒鳴り込まれたと言うわけである。そして上のやりとりの後、怒鳴り込まれ弱りに弱った坂本は、福岡女史を説得するため慌てて緊急会議を招集しこの企画に参加した(といっても重役連中のほとんどなわけだが)社員連中をかき集めたのであった。



「ですから社長。今我々は大阪営業所の活動のバックアップとか東京進出計画の推進とそれに伴う調整とかTSLの改装計画とかいろいろやるべきことが多すぎて大変な時期なのはお分かりのはずですっ!こんなあっちこっちで少しでも人手と時間の惜しい大事な時にゲーム製作なんて全く畑違いの仕事に手を出してる余裕なんか有るもんですかっ!」
「ま、まあ田鶴子さあ。ちょっとこっちの訳も聞いちゃくれんかの。な」
「そ、そうじゃ、じゃからの話を持ち込んできたこの会社、「シスタムソフト」っち言うんじゃが、今までも「Great strategy」とかいろんなパソコンゲームの開発を行っちょった会社なんじゃけどな。今回の時空融合からこっち、なんぞ大きいのやら小さいのやらロボットはうじゃうじゃ出てくるわ怪獣はがちゃがちゃ暴れるわ現実の世界がそんじょそこらのゲームの世界を追い越しちょったような状況じゃろ」

副社長「中岡 慎太郎」


「そんでその「シスタムソフト」の連中も困ってのう、今までの企画じゃ現実を越えるどころか追いつくこともできんちゃ。じゃがこんな新世紀でも現実に負けんような面白いゲームが作れんのんかっちゅうことで、藁をもすがるちゅう感じで我々んところに企画の依頼が持ち込まれたっちゅうわけじゃ」

営業本部長「武市 半平太」


「なんせ坂本さあは四国一のアイディアマンじゃっちゅうことで評判になっちょうし、我らの企画力とか行動力は折り紙付きじゃ言うことにもなっちょる。それを見込んでっちゃちゅうことじゃ。男としてこれは断れんじゃ」

総務部長「池 内蔵太」


「そういうことじゃ田鶴子さあ。ほれ、こないだから社内に募集をかけたでの。もう既にこないにいろんな企画が社員連中から集まっちょる。あとは良さげなもんを選ぶだけじゃからの。良ければ田鶴子さあもこん中から選ぶのに協力しちゃくれんかの」
「いつのまにこんな事まで…。わかりました。微力ながらお手伝いさせていただきます」
「お、おう。分かってくれたっちゃか」
「でも社長」
「な、なんじゃ」
「何故今までこの話を私に秘密にしたのかはだいたい分かります。が、今度からこういう話に関してはちゃんと企画部を通してくださいね」
「あ、ああ」
「あと、こんな話を持ち込んできたのは…(ギロ)、板垣君、後藤君、あなた達ね」
「「あ、あう」」
「ゲーム開発って聞いて大喜びで持って来たんでしょう」
「「あうあう」」
「…いいこと、会社は遊び場じゃないのよ」
「「(ぶんぶん)」」(無言で激しく頷く)
「…それでは社長。始めましょうか」
「あ、ああ。じゃ、まずはこれじゃ」
「…総務課よりのお願い。最近ゴミの分別が守られておりません。きちんと古紙・燃えるゴミ・燃えないゴミ・空き缶など分けて捨てるようにして下さい…」
「あ」
「…いいですわ社長。そこで企画の要点だけ読み上げてくださいな」
「は、はひぃ(なんでこんなんがこんなとこにあるんじゃああ)」



「ヒゲのイタリア親父が、カメの化け物にさらわれた姫を救うため、野を越え山越えキノコやカメを倒しながら進んでいく2D横スクロールアクションゲーム」
「却下」



「『最後の幻想』という名前で、『クリスタル』とか『マテリア』とかそういうモノと関わりながら冒険をする本格派RPG」
「却下」



「『波動拳』や『昇竜拳』などの技を駆使し並み居る強敵と戦う2D横画面対戦型格闘ゲーム」
「却下」



「『ビックハイパー』なる宇宙戦闘機を操り『クリスタルコア』などの敵を倒し進む横スクロールシューティング。赤い敵を倒すことにより手に入る『カプセル』を手に入れることにより様々なパワーアップが可能」
「却下」



「犬チックな幼なじみとかとてつもなくおしゃべりな同級生とか非常に無口な魔法使いの先輩とかおっちょこちょいなアンドロイドとか格闘ブルマー少女とか超能力を持つ後輩とかアメリカ人の留学生とか大阪な委員長とか様々な女性との交流を通して学園生活を体験する恋愛シュミレーションゲーム」
「却下」
「これがええのに(ぼそ)」
「…なにか(ギロ)」
「なんでもありましぇん」



「あーーーっもうホントにろくなのがないわねっ」
「そ、そうか(ええのもあったと思うんじゃが)」
「なにかおっしゃいましたか武市本部長」
「な、何も言うちゃおらんぞ。なあ坂本さあ」
「そ、そうじゃ。あ、あのな例えばこれなんかどうじゃ」
「これは…、戦略型戦争シュミレーションゲーム?」
「そうじゃそうじゃその通りじゃ。じゃが只の戦略型戦争シュミレーションでは今までにあったんと変わらず新鮮味に欠ける。じゃによっていろんな設定とかにこの作品を使ってみたんじゃ」
「『要塞シリーズ』:著『荒巻義雄』…」
「そ、そいで使う兵器とかにはこっちの作品も混ぜてみたんじゃ」
「『機動戦士ガンダム』:製作『サンライズ』…」
「…なるほど」
「ど、どうじゃろ」
「…面白いかもしれませんわね。少なくともこっちの「上級生」とかいう18禁ゲームよりマシですわ」
「「あ、それわしらが書いた企画…」」
「…板垣君、後藤君。」
「「は、はいぃぃ」」
「あとで私の部屋まで来なさい。お話があります」
「「は、はひいぃぃ」」
「(くわばらくわばら)じゃ、じゃあ田鶴子さあも認めてくれたことじゃし、相手さんにはこんな企画はどうじゃっち出してみるんでええかの」
「そ、そうじゃの。じゃできるだけ早うに企画書書いて相手と相談するっちゃ(早うせんと田鶴子さあの機嫌が悪くなるばかりじゃあ)」
「なにか」
「「な、なんでもありましぇーん」」

…このような裏事情を孕みながらもこの新しいゲームの企画はメーカー側に提示された。この企画は採用され、直ちに開発が開始される。数ヶ月後、この企画は「超弩級要塞2015」として完成し、驚異的な大ヒット作となった。この成功は様々な要因で苦境に立たされていたゲーム業界を救い企画に関わった「海援隊」の名をさらに高めることになる。だがその影にとある女性のお怒りと二人の男の涙が有ることは全く知られていないし知ることでもないのかも知れない…

…「ったくアンタ達は何考えて会社に来てるのっ!!」…
…「「ご、ごめんなさぁぁぁぁい」」…

<あとがき>
どもどもこんにちは。小さな一読者でございます。
今回の作品なんですが…やっぱり短いですね。
どうやら自分にはこれ以上長くするのは無理みたいです。えへん。 へ(__へ)☆\(-_-メ)(←この部分:まるしぃ「 岡田"雪達磨"信良」さん)
内容の方ですが…相変わらず本編とのからみが少ないです。
設定的に四国は安定していて中央に波及する事件とか起こしにくいし。
ま、その方が勝手にやれていいのかも。あはは。
さてさて今回の新キャラ企画本部長の彼女については…自分で書いててもすごいなあ。
と言っても性格なんかほぼオリジナルだし(ああ、また投稿規定から外れる)。
モデルはあのいわゆるところの金髪黒眉泣きぼくろのマッドなあの人をベースにあとは熊耳さんとかいわゆる委員長キャラをちょっと多めに混ぜてみました。
題名なんですが、分かりますよね。彼女の「お仕事」は(仕事じゃないのよ)子供っぽい「海援隊」の悪ガキ連中の委員長というか保母さんというか、まあそんな感じです。
あとは彼らの言葉なんですが。
自分的にはほぼあきらめの境地です。
もうどうにもなりません。あう。
でも、今回は書いてて楽しかったですね。
作品の中のゲームの企画については、実際のゲームを元にしてるんですが、結構有名どころばかりなんで分かると思います。
さて次は…彼らの東京進出についてかと。予定は未定ですが。
では、この辺で。小さな一読者でした。

<アイングラッドの感想>
 まずは、小さな一読者さんありがとうございます。
 あいかわらず海援隊の面々は元気でいいですねぇ。
 ますます世界が広がって行って嬉しい事です。
 メインのストーリーは勢い会戦や紛争が多くなってしまうのですが、正常な社会活動のためには海援隊の人達のように働くオジさん(オバさんも、・・・・・・あ、田鶴子さんが怖い顔をしてこちらを見ているような気が<汗>)が必要なのです。
 まぁ、それはともかく、私が外伝用に作ったゲームの設定からこの様な話を作ってしまうとは、なかなかやりますね小さな一読者さん。
 実はスーパーSF大戦の初期の基本設定は本編の様なリアルワールド異世界融合ものにするかコンピュータープログラム(電脳)世界(グロブロー/要塞シリーズ)を舞台にさまざまな世界のデーターを呼び出して戦力として使う超弩級要塞物の2種類を考えたんですが、結局ご存知のようになったわけです。
 しかし、せっかく作ったグロブロー世界の設定を使わないのも勿体無いので外伝のネタにしてみたのですが・・・、意外と色々関連が出来てきて面白いです。
 さて、ここの所滞っていた本編の続きを書かなければ。
 ではでは。





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