スーパーSF大戦

第1話−かわりはじめたうつつ世−



・西暦2015年−第3新東京市地下−セントラルドグマ・

大気圏外より落下してきた第10使徒サハクィエルを受け止めた3機のエヴァンゲリオン、零号機、初号機、弐号機ではあったがその直後に起こった大爆発に巻き込まれた。
その爆煙が収まった後、3機のエヴァンゲリオンの姿は消えていた。
発令所の日向オペレーターがエネルギー反応、光学全ての探査機器を用い走査したがその姿はどこにもなかった。

「駄目です、全ての機器からエヴァンゲリオンの反応が消えています。跡形も・・・ありません」
「そんな、シンジくん! 」

碇司令、冬月副司令揃って第3新東京市を離れている折り、全ての権限をになっている葛城ミサト三佐は警戒警報の解除を撤回し、新たなる驚異に対する警戒を命じた。

「どういうことなのリツコ」
「わからない、理論上あり得ないわこんな事。」
「わからないじゃないでしょ。どうにかしなさいよ」
「マヤ、記録を呼び出して」
「はい、使徒消滅のマイナス10秒から再生します」

伊吹マヤがキーボードを叩き、MAGIに記録の解析を始めさせた。

「あっ、ここです。見て下さい。」

マヤが何かに気付き、メインパネルの横にサブを開きエネルギー量を表示させた。

「これは・・・? ATフィールドとは異なる反応ね。何かしら」
「どういうこと」
「分からないけど、エヴァンゲリオン3機は消えてしまったらしいわ」
「消えた? 消えたって撃破されたってことなの? シンジ君達はどうなったのよ」
「多分一緒ね」
「リツコぉ! ATフィールドがあの子たちを守ってくれるんじゃなかったの? 話が違うじゃないの」
「守っているわよ。多分今もね」
「なによ一体、分かるように話しなさい。」
「さっきの反応からすると多分、空間歪曲場によって次元の壁に穴が開いた可能性があるわ。つまり・・・            」
「多・分・なんなのよ」 イライラ
「別の世界へと行ってしまった可能性が高いわ。でもそれは私たちから永遠に離れたって事。つまり消滅したのと同義だわ」

ミサトは一瞬茫然としていたが、すぐに立ち直ると赤木リツコ博士に懇願する調子で言った。

「ねぇ、赤木博士。どうにかならないの? 」
「無理ね。現代科学では手の出せない領域だもの」
「そんな、原因は何?」

「不明です。」
「どうしようもないと言うの?」
「そうよ、葛城三佐」
「そして私たちは使徒の撃退もかなわず、このまま滅び去るのみ、か」
「そうね、こうなったらもう打つ手は皆無だわ。」

発令所全体に深い沈黙が降りた。
ここにいる誰もが、現在の状況が未来の何を示すのか知っているからだ。
           ・
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           ・
          ピピッ
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           ・
          ピピッ
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           ・

オペレーター3人衆のひとり、青葉シゲルのコンソールから警告音が響いた。

「待って下さい、これは。ジオフロント直上、第3新東京市上空に使徒出現! その数、多数! 」

葛城ミサトは唇の端を吊り上げると、ひきつった笑いのまま硬い嘲笑を上げる。

「くっくっく、随分とあっさりした結末じゃない。あ〜ぁ、私の復讐もここで潰えるわけね」
「そうね、こんな事だったら JAを接収しとくんだったわね。無駄なあがきだけど」
「でもせめて、自分の引導くらい自分で渡したいわね。タイミングもいいし、リツコ、ジオフロント全域の自爆を提議するわ」
「却下します。今となっては地下のアダムを消去してもサードインパクトは防げないわ」
「!? アダム、第1使徒が地下にいる?」
「あら、わたし今なんか言ったかしら。気のせいじゃないの? 」

リツコの下手な誤魔化しを莫迦にするようにミサトは冷笑を浮かべた。


「フ、復讐するは我にありってね・・・。リツコ、これは命令よ。」
「あなた個人の復讐に付き合う必要はないわ。悪いけど、さっきのセリフは間違いなの、アダム第1使徒は存在しないわ」

ミサトはリツコを睨み付けた。そして、言いつけた。

「ウソね、・・・」
「本当の事よ、間違いではないわ」

しれっとして流すリツコにミサトは内心激怒していたが、表情には表さなかった。
その怒りを行動で表現しようと、彼女の襟首を掴み上げようとした瞬間、ジオフロントは大きく揺れた。

「何なの?! 日向君報告を」
「はい、使徒の攻撃です! ジオフロントの特殊装甲板第6層までが一撃で打ち抜かれました。この分では、内部に侵入されるのも時間の問題ですね」
「防衛システムは!? 」
「兵装ビル稼働率は30%、ですが、その効果はまったく認められません」
「万事休すか ・・・・・・。日向君、日本政府に伝達、戦略自衛隊に出動を要請して。
日本中のN2爆雷のありったけをNERVジオフロントで起爆し、自爆装置を同時に起動すれば、ジオフロントの完全な焼却が可能だわ。
今となってはNERV本部を死守する必然性は認められません。
いいわねリツコ。
連絡が付き次第、本部を破棄、撤退します」
「分かったわ、ミサト。マヤ、MAGI のバックアップを松代のMAGI 2号に移します。もしかしたら撤退に間に合わないかも知れないけど、ゴメンねマヤ」
「センパイ、いいんです。センパイと一緒ならわたし・・・」

妙な雰囲気を作るふたり、そしてそれを見て滂沱の涙を流す男子職員が2人。
断続的な揺れが続くジオフロントであったが、時折ことなる振動が混ざり始めていた。
それに気付いたミサトは青葉に解析を命令した。

「これは、ジオフロント大深度、ヘブンズドアーより・・・これは! パターンブルー! ATフィールドの発生を確認しました! 使徒です! 」
ヘブンズドアーの内部から目映いばかりの光があふれ出していた。
やがてその光の奔流の中から光の巨人が現れた。
光の巨人は天を仰ぐと、背中から二条の光の柱が際限なく伸び始めた。

「アンチ ATフィールドの発生を確認。フィールド部更に拡大、このままではジオフロント全域が勢力下に入ってしまいます。」
「アダムが復活したというの? このままじゃサードインパクトが起こってしまう。リツコ、何か抑える手だてはないの?」
「初号機も、レイもいないこの状況では何をしても無駄ね。自爆するなら早くした方が良いわよ。・・・苦しまずに逝けるかもね。」
「クッ、もういいわ。わたしは死ぬまで抵抗を続けるわよ。負け犬に用はないの。終わっちゃいないのよ、私の使徒への復讐は!」

「エネルギー更に増大中。このままでは空間が引き裂ける可能性があります。」
「ATフィールドとアンチATフィールドが周期的に変化しています。生体の維持に影響が出ています」
「装甲板で封じ込めない?」
「無理です。あらゆる物質を透過しています。その割に生命体には干渉するんですからね、やってられないっスよ」
「こうなったら自爆しか残された手段は無いか。日向君、日本政府への伝達はどうなっ−−−ブツッ!



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